記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

春アニメ⚾️初見感想 #忘却バッテリー

2024年の春アニメは最高でしたね。
どれも名作で一つにまとめきれなかったので、それぞれ感想を更新します。
今回は「忘却バッテリー」です!

※原作未読・アニメ初見の感想です
※感想にはアニメ1話〜12話までのネタバレを含みます

⚾️忘却バッテリー

アニメを見て声出して笑うくらい面白かったです!
クスッと笑うことはあっても、ここまでゲラゲラ笑えるのって案外ないですよね?ただ、ギャクアニメ枠かと思いきや良い意味で裏切られました。




■シリアス?ギャグ?

アニメ視聴前は”シリアスもの”だと思っていました。
野球のバッテリーを組んでいた相手が記憶喪失になって…というあらすじをなんとなく知っていたので、同じく記憶喪失×スポーツの「RE-MAIN」のような展開を想像していました。

いざ見てみると、主人公・かなめけいの唐突な「パ○毛〜!!y( ´Д`)y!!」から始まり、天才すぎてどこかズレてる清峰きよみね葉流火はるかの言動や、藤堂と千早の息の合った掛け合い、唯一のツッコミ要員の山田、そして限界オタクの土屋先輩…などなどギャグが止まりません。どのシーンも会話のテンポが素晴らしくて、本当に声出して笑うくらい面白かったです!

そんな感じで、いつしか「なんだギャグアニメかぁ」と気を抜いていました。


■アニメ6話「やる‼︎」

忘却バッテリーに一瞬で惹き込まれたのは、藤堂のイップスの回(6話)でした。
藤堂がイップスになり、今までと同じように投げられなくなった経緯をじっくりと語っています。静かな口調で明らかにされる彼の経験はリアルで、野球から離れた理由が十分すぎるほどに伝わってきました。

ある試合をきっかけにイップスに悩み、苦しむ様子がありありと映されているので、見ている側としてもすごく心苦しかったです。

藤堂は中学時代、野球部のエースでした。
その自信を打ち砕いたのは「清峰&要バッテリー」です。

忘却バッテリーでは、6話以降でも「天才に及ばなかった側」の苦しみが語られます。圧倒的な才能を前に自信が打ち砕かれる過程を、残酷なほど丁寧に描いています。

ただ藤堂の経験を知ると、自身の経験を小手指野球部に打ち明けられたことだけでも前進しているように感じました。それだけでなく、イップスを克服する覚悟を決めたこと、かつての先輩に再会して涙したシーンを見ると、本当に救われるような思いがしました。実際に先輩とバッティングセンターで再会して藤堂が涙するシーンを見た時は、もはや泣きすぎてしんどかったです。

ここまで来ると、このアニメのギャグとシリアスのコントラストがエグすぎて怖くなりました。6話以降もギャグはバンバン出てくるんですが、どっちかに振り切らず両方しっかりやるのが忘却バッテリーなんですね。むしろ記憶戻ってから、アホと智将のハイブリッド要圭は更にヤバかったです。

▼好きなシーン

めちゃくちゃ笑えるシーンでゲラゲラ笑ったあと、急に心臓ギュッと掴まれるようなシーンが出てくるので、もう視聴者の情緒おかしくなります。。

でも現実でも案外そうなのかもしれませんね。
普段ニコニコ笑っているような人でも、今までどんな経験をしてきて、どのような思いを心の奥底で抱えているのかは分かりません。たとえそれがチームメイトや友人であっても…


■要圭の苦しみとは

藤堂や千早の挫折経験だけでなく、記憶を取り戻した要圭が過去を語るシーンがありました。誰もが認める天才・清峰とバッテリーを組み、要圭自身も智将と呼ばれるほど一目置かれる存在でした。

しかし、藤堂や千早が語る挫折のように、要圭は対戦相手が心を打ち砕かれる瞬間を何度も見てきました。それも間近で。

勝ち続けるとは、その分、負ける人がいるということです。
清峰&要バッテリーは対戦相手に『悔しい』よりも『喪失感』を与え、『絶望』を思わせるような強さがありました。それがいつしか、要圭にも負担へと変わったのだと思います。

12話で清峰は要に「圭は俺(清峰)と野球やってて嫌だったか?」と尋ねました。圭は「昔は覚えてないけど、今よりも上手かったんだから、きっともっと楽しかったはず!」と明るく答えます。

このシーンがすごく印象的で…
智将時代にも、清峰は要に対して気にかかる部分があったのではないでしょうか。

この要圭の心情を窺えたのが、アニメエンディングの主題歌でした。

■マカロニえんぴつ「忘レナ唄」

なんかこの曲聴くと泣きそうになりません?
懐かしいメロディと少し寂しそうな歌詞が印象に残ります。

歌詞の中で特に印象的だったのが「かけがえのない白い星より 追いかけがいのある夢であるよう」というフレーズでした。

智将時代は負け知らずだったのに、まるで勝利主義を否定するような歌詞です。でもこれは、記憶を失う前の要圭が感じていた本音でもあると思います。

相手選手が天才に打ちのめされて絶望する瞬間、あの顔が忘れられなくて、忘れたかったんだと思います。自分が天才の清峰を育てたのだから、その罪まで背負おうとして心理的に負担が生じていたはずです。

記憶喪失後の要圭は、記憶喪失前の心の奥底にある望みを反映した姿に見えました。初めは野球がやりたくなくて、お菓子もラーメンも食べたくて、普通の男子高校生のように友達と放課後遊びたくて。そして、かつて野球をしたことも、野球で対戦した相手のことも忘れてしまいました。

記憶を失った要圭は、清峰葉流火にどのように映っていたのでしょうか。

- - - - - - - - 

それにしても記憶喪失の原因がはっきりしないのは不思議です。
普通アニメやドラマで記憶喪失となると、「事故で突然にー」など原因が明らかなことが多いです。でも要圭の場合、なぜ記憶を失ったのか分かりません。

ただ、記憶を失って新しい仲間と野球を楽しんでいるのも”要圭”だし、放課後に友達とバカ笑いしているのも”要圭”で、かつて智将と呼ばれていたのも”要圭”です。

なぜ記憶喪失になったのか、要圭はかつて何を思っていたのか、再び野球の楽しさを覚えた要圭はこれからどうするのか…

こんなに感情を揺さぶられるアニメだと思っていませんでした。
ぜひ2期に期待したいです!!




この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?