見出し画像

2023年後半、チームみんなでセールス改革を行ってみました

こんにちは、株式会社ベーシックのthe_mochidaです。ferret OneというBtoBマーケでリード獲得を支援するツールの開発・提供をしています。

2023年前半はCSにどっぷり浸かり、エクスパンション向上に関わっていたのですが、後半はセールス部にどっぷり浸かり改革担当として過ごしました。

上期のCSの様子は下記noteで振り返りをしています。

ferret Oneのセールス部は、2016年頃に僕が立ち上げているので古巣に戻ったような感覚で懐かしさを感じました。当時は今よりもっともっとカオスだったなぁ笑
後任に引き継いでから、事業自体もフェーズが変わるなどして一定整ってきていたのですが、上期の数字が振るわなかったこともあって改革が必要になりました。

改革の結果、下期はMRR受注件数共に完全達成できましたので、胸を撫で下ろしながらこのnoteを書いています。(上期は達成率10%という月もあったので逆転満塁ホームランです)
セールスの成績に課題のある部長やMGRの方に読んでいただき、自社の組織を見直すきっかけになっていただけたら幸いです。ちなみに、めちゃめちゃ当たり前の内容です。ウルトラCは書いてません。当たり前のことを当たり前にやる凡事徹底が大事だよね、という話です。


上期セールス部の状態

みんな必死に頑張っていたのですが、一言で言えば「頑張る方向性が違う」状態でした。
例えば、1日の中で4件も5件も新規商談がほぼ毎日入っている。だから追客ができない。だから決着がついてない案件を100件とか200件単位で抱えている。だから優先順位もつけられない。だから新規商談ですぐ決めようとする。

結果的に、新規商談のヒアリングは皆無でサービス説明を上手にするだけとなっていて、提案が満足にできていない状態でした。
サービス自体を目掛けて問い合わせをいただいた顧客なら、サービス説明がメインのアジェンダでいいのですが、そんな顧客ばかりでもありません。
顧客の多くは、「一緒に自社の課題を見つけて欲しい」「困っているけど何から始めたらいいかわからない」というお客様がほとんどなのです。
だからこそ僕たちは顧客の、

  • 事業を取り巻く環境

  • 会社としての目指そうとしている方向

  • 担当者の立場やミッションや想い

  • マーケだけではなく営業も含めた売上向上までのKPI

などなどあらゆることをディスカッションし、顧客と共に課題を特定していった先に、解決策としてのferret Oneを提案することができないと顧客の成功につながりません。仮に受注できたとしてもその後の運用が難しくなり結果的に誰も幸せにならない、ということもあるからです。
ちなみに、場合によっては「いまはferret Oneじゃない方がいいかもしれません」という場合もあり得ます。僕はそれを断り力と呼んでいますが、それについては下記noteで書いていますので、気になった方は覗いてみてください。

ですので、1日の時間の使い方や商談の流れや組み立て、提案内容、追客の仕方や優先順位、などフルリニューアルする必要がありました。

取り組み1:案件優先順位

うちはSalesforceを利用しているので、ヨミのフェーズもSF社が推奨している8段階です。

ヨミ定義

上記表の02部分が1人あたり200件程度あり、精査するところから始めました。
メンバーひとりずつ案件整理をしているとみな一様に「いつかタイミングがくるかもしれないから自分の商談として持っておく」ということを話してくれていたのですが、思い切って全て断捨離しました笑
02が200件とかあっても1件ずつフォローできないので結局持ってても意味ないんですよね。最後に連絡とったのが半年以上前とかザラでしたし、だったらマーケに戻してナーチャリングコンテンツを適切に送ってもらう方が顧客にとっても有益な情報が入ることになるので。
営業の気持ちもわかるんですけどね、「だから成果が出ないんだよ!」と叫びたいのをぐっと堪えたのを覚えています笑
結果的に、一人あたり30件程度にまで減らし、1件ずつ丁寧に決着をつけていきました。

取り組み2:商談内容の見直し

前述した通り、サービスの説明しかしていなかったので、顧客のことをよく知る、というのを徹底しました。受注目指さなくて良いから顧客とferret One以外の会話をしてください、という感じです。最終的にはドクターを目指そうという号令をかけました。
医者ってすごいですよね、初見の人の症状を聞いたり触診したりして、「あなたの症状は◯◯なのでこれを飲んでください」という解決策を処方するんです。特定の病気に誘導することなんてないんです。対症療法と原因療法をきちんと把握し伝えるんです。例えば僕は痛風なのですが、

対症療法:痛みが出たらとにかく痛みを抑える薬
原因療法:尿酸値を高くしないための食生活や適度な運動などの習慣をつける

という感じで、発症して激痛が出た瞬間を乗り切る方法と、痛みが落ち着いたその先の「根本の解決策」と両方提示してくれるんです。

ferret Oneでいえば、例えばサイトで成果が出ないという顧客がいたら

対症療法:訴求を◯◯から◯◯に変更してみる
原因療法:変更したところで正解かわからないので、何度も自由に変更できる状態に変える(何度も変更する際制作会社依頼だとコストがその度かかる)

さらにいうと

対症療法:Wordpressからferret Oneに変更し、サイト改善を内製化することで手数を増やせる状態にし成成功確率を上げる
原因療法:リード獲得後、営業がもれなくアプローチできるフローやルールを確立しておきマーケが売上に貢献するということを経営に示す

などになります。(ちょっと例え下手かもしれません笑)
とにかく、顧客の状況がわかっていないと対症療法だけの会話になりがちで、結果的に顧客社内でプロジェクト化できなかったり、できたとしても推進が難しくなってしまって導入後の運用に支障をきたすケースがありますのでかなり重要です。

原因療法(=本質的な課題の特定)に顧客とともにたどり着くためには、ferret Oneのことを会話するのではなく事業全体のKPIやボトルネックを顧客とディスカッションすることから始まります。そのため、初回商談では極力自社サービスのことは伝えずに、顧客の課題を一緒に突き止めるディスカッションをする、ということを決めました。

セールス / マーケ両方のチカラを高めようという図

左側のセールススキルだけではなくて、右側も必要だよね、ということです。ferret Oneでいうと相対する顧客がマーケ部の方々なのでマーケティングの知見です。これはサービス領域で異なりますが、「人事部相手のサービス」「営業部相手のサービス」など応用が効きます。

結論、顧客のビジネスゴール達成に向けたマーケティング環境や施策の優先順位を提案できるようになること(=医者)、を目指しました。

ビジネスゴール達成に向けた顧客とのMTGステップ

ちなみに、ディスカッションの精度=与件整理資料の精度です。顧客のビジネスゴール達成のためのferret Oneという位置付けで提案できていなければ、真に顧客の課題解決にはなりません。最終的な仕上がり具合はこんな感じです。初回商談でferret Oneのことを話さなくなってから結構よくなりました。

※一部マスキングしています

与件整理の進化に伴い、提案内容も徐々に様変わりしていきました。今までは割と汎用資料をそのまま利用して提案する形でしたが、顧客の状況に合わせてどんなマーケ環境を作るべきか、いまのサイトだとどこがよくないのか、など具体的な提案ができるようになっていきました。

取り組み3:商談以外の時間を作る

1日の中で無秩序に商談が入っていると、顧客のことを考える時間がとれません。Web会議が中心になり、日程調整ツールを顧客に渡して打ち合わせを入れてもらうようになるとより無秩序に打ち合わせが入ってしまいます。
しかも、「お客様の予定が第一です」というスタンスなので、それ自体は否定しないし良いと思うのですが、優先し過ぎてしまうとその大事な顧客のことを考える時間がなくなってしまい、結果的に良い提案ができなくなってしまいます。
そのため、午前中商談禁止令を発動しました。

平日午前中は全てこの予定でブロック

どうしても午前中しかお客様の予定がつかない時は、もちろん許容するのですが、基本的には午前中は自分の案件を整理したり、顧客のためにより良い提案はどんなものかと思案したり、受注までのスケジュールを描いたりなど、商談以外の時間をルールとして設けることにより生産性を高めていきました。

取り組み4:案件カレンダー

上期CSでの取り組みの中にもありましたが、案件カレンダーはやはり絶大な威力を発揮してくれました。

一番左の列が受注までにすべきことと順序

Salesforceではネクストアクション自体は管理できますが、受注までの道のりをどう設計しているのかはなかなか可視化できません。
ともすると、上司から「次は◯◯やっておいて」「はいわかりました」だけでネクストアクションが決まり、メンバー自体はその意味も理解しておらずただ作業をこなすだけになってしまい受注までの道筋を立てる力が備わらない、なんてこともあります。
そのため、この案件カレンダーの出番です。
案件ごとに、受注までにどう進めようとしているのか、出てくるネックは何でどう乗り越えようとしているのか、が左の列に現れます。きちんと描けている人は10個以上のステップが表現されますが、あまり考えられていないと初回商談から3個くらいで受注まで完結しているものがアウトプットされます。その可視化ができるようにし、受注までのステップを描き切る力を養いました。

取り組み5:オールスター商談

商談中に必要に応じて適宜他チームメンバーをアサインすることをオールスター商談と言っています。商談中に「実際にフォローしてくれる担当がどんな人か知りたい」と言われたら、CSを紹介するアレです。
うちではなぜか、セールスが他のチームに何かをリクエストすることのハードルが高く、商談中にアサイン依頼を出すのは稀な状態でした。たまにリクエストするアサイン依頼はかなり頑張ってたんだと思います。依頼された側は大体快諾するのに、なぜか遠慮しちゃってたんですよね。

その不要な遠慮の壁を壊したのも取り組みの一つです。案件をひとつひとつ一緒に確認/進行していく中で、「この案件は◯◯さんに協力してもらいましょう、Slackで依頼してみて。不安なら僕も一緒にメンションしておいてください」と頻繁に言っていました。依頼先はCSに閉じず、制作、プロダクト、マーケ、開発など全部署に依頼しました。新規顧客獲得が事業の重要KPIだと理解している彼らはいつも快諾してくれて、商談のためのinternalにも時間を割いてくれ、商談をうまく進められるように一丸となりました。

他部署との協力体制が円滑になった副次的な効果としては、セールスがデモを行った動画をプロダクト責任者に見てもらい、もっと魅力的に伝えられるやり方はないか、運用までイメージしてもらうにはどの機能をどの順番で見せたほうがわかりやすいか、などをディスカッションすることができ、セールスとしての理想のデモの型がひとつ出来上がったことです。デモが苦手だったメンバーが、一番デモが上手なメンバーに進化したことも嬉しい誤算でした。

まとめ

主な取り組みは以上ですが、細かいものや取り組み中のものはまだまだたくさんあります。
取り組み中で主なところでいうと、

  • ISの復活(いまはうちはIS置いてないんです、でも復活させます)

  • バーティカルラインの確立(業界ごとに営業担当を分ける)

  • 高LTVを実現する受注の方法

  • 高ARPAを目指した提案の進め方

  • SQL率の向上

  • スキルマップの作成と運用

  • 毎月ゼロリセットにならないセールス組織への進化

などなど。

2023年のうちのセールスチームは大躍進を遂げました。下期(うちは7月から)がスタートした時は、ここまで化けると思ってなかったくらいみんな頑張ってくれました。

マーケ主導で下期は展示会毎月出展してリードも増やせたし、アシスタントがレベルアップしたことにより依頼できる幅やケイパが増えたりして生産性向上もできたし、CSやプロダクトとの連携で商談に厚みを持たせられたし、制作との密なコミュニケーションで提案内容もハクがついた。
さまざまなひとたちに支えられながら実現できた成果でした。

冒頭にも触れましたが、上期は散々な結果で達成率10%の月もありました。下期は上期よりも目標が上振れているにも関わらず全指標オール達成で終えることができました。
2024年はさらにサクセス率を爆上げする受注を目指します。現状はCSのパワーで受注後の顧客がサクセスしていますが、セールス時点でサクセスが見える受注をどのように増やしていくのか、を突き詰めていきたいと思います。

最後に

さまざまなセールス組織と勉強会をしたいです!
取り組み内容をシェアしあい、切磋琢磨していきましょう!
ぜひお声がけくださいませ!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?