ゴロゴロ大豆のミネストローネ
給食メニューの中で好きではなかったものといえば、真っ先にミネストローネが思い浮かぶ。
シャバシャバのトマトスープにゴロゴロの大豆。
大豆のもさもさ感が苦手でなかなか喉を通らなかった。
「ココアの揚げパンは半年に1回しか登場しないのに、なんでミネストローネは3日に1回も登場するんだろう」
嫌いなものが登場するときの時間感覚は不思議なものだ。
大人になり食べるものを自由に選べるようなった。
スーパーでカップスープを買うときにはポタージュを選び、バイキングのスープバーでは必ずコーンスープにした。
ミネストローネを口にすることはなくなった。
そんな私の人生に再びミネストローネが登場したのは先月のこと。
棚を片付けていると、大豆の水煮缶が出てきた。
半年前に母が送ってくれた段ボールに入っていたもの。
このままでは使わないまま腐らせてしまう。
なにをつくろか。真っ先に思いついたのは、あの大豆ゴロゴロのミネストローネ。
他のメニューは思いつかなかった。
材料はそろっている。
休みの日で気分がよかったのでつくってみることにした。
ニンニクをみじん切りし、オリーブオイルでじっくり香りをひきだす。
ベーコンと玉ねぎを入れて、玉ねぎが透明になるまで炒める。
続いて、ニンニクの香りがついたオリーブオイルをジャガイモにまとわせるように炒めていく。
そして、ついに大豆の出番がやってきた。
缶をあけると、ぎっしりと肌色の豆たちが並んでいる。
とりあえず、半分だけ入れてみた。
最後にトマト缶とコンソメをいれて、しばらくぐつぐつ煮込む。
20分後ついに完成。
ミネストローネとの10年越しの再会。
最初の一口はスープだけをすくって口に運んでみた。
シャバシャバじゃない気がする。
ジャガイモをいれたからか、少しとろみがついている。
スープもシンプルなトマト味ではなく、じっくり炒めたニンニクとベーコンの香ばしい香りがする。
続いて今日の主役、大豆。
スプーンですくった。
給食のものより少し小さい気がする。
食べてみた。
ホクホクしておいもみたい。
大豆の甘味をほのかに感じる。
スープと一緒に大豆を口に運ぶ。
コクのあるトマトスープと大豆がうまくマッチしている。
カレーとごはんの組み合わせと同じくらい違和感がなかった。
これまであれだけ避けてきたミネストローネがこんなにも美味しいとは。
また一つお気に入りのレシピが増えた。
今年の冬はきっとシチュー並みに食卓に登場するだろう。
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