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JIZO 弐

Mochian Okamoto
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昔、現在の気仙沼大島にある村で、ハマキチという名の子どもとその母親が、端午の節句の前日に、他所の田植えの手伝いに出かけた。夕方、その帰宅途中、「みちびき地蔵」という地蔵の辺りを通りかかった。その地蔵は、明日死ぬ者の魂が亡者の姿となって、天国に導いてもらえるように挨拶に来ると言い伝えられている。母子がその地蔵をしばらく見ていると、亡者の姿になった大勢の村人や牛馬までもが次から次へと挨拶に来て、天へと上がっていった。この様子を見た母親は怖くなり、ハマキチの手を引いて急いで帰宅した。ハマキチの父にその話をしたが、狐にでも化かされたんだろうと取り合ってもらえなかった。 翌日、端午の節句には大きく潮が引くという慣わしの通りに、島の浜辺の潮が引き、ハマキチ親子も含めて大勢の村人が潮干狩りに出た。その年は例年になく大きく潮が引き、沢山海藻が取れたが、村の老人たちはこんなにも潮が引くのは何十年ぶりだと話している。やがて潮が満ちてくる時間になっても潮は満ちてこず、村人たちはそのまま海藻を採りつづけていた。すると遠くから地鳴りとともに山のように高い大津波が襲ってきた。ハマキチ親子は急いで松山に上り、3人とも助かったが、他の逃げ遅れた大勢の村人が津波にさらわれて亡くなった。母親は昨日見たことは本当だったんだと確信した。村の書きつけには、この津波で61人が亡くなり、牛馬6頭が死んだと記されている。みちびき地蔵には今でも花や線香が欠かさずに供えられている。
— 『みちびき地蔵』Wikipediaより

3.11に津波で亡くなられた多くの御霊に対し合掌

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