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かたつむりから進化したい

 久しぶりに、ひとつ年下の彼についていま感じることを綴ってみる。あの日以来、数回会った。仕事終わりに長距離のランニングに付き合ってもらったし、彼の友人も紹介してもらった。
 
 わたしのことを彼はどのように説明したのだろうか。ただの友達としてだったら少しやだな、と思ってしまうことは欲張りなことなのだろうか。心が読めたなら、アナタの中身を真っ先に覗きたいと思う。 
 
 先日は有給だったので、彼とキャッチボールをして、カレーを作って、パフェを食べた。まるで付き合いたての恋人のようだが、そうではない”ただの友達”。
 
 優しい人だから、きっとわたしと同様の友達はたくさんいるのだろう。勝手に想像を膨らませるわたしの悪い癖。後から傷付かないよう自分自身で予防線を張る。いつだって期待して裏切られることが怖い。
 
 初めて彼にデートに誘われた。嬉しくて仕事も頑張れた。けれど当日になってその予定は消えた。仕方がないのだが、とてつもなく寂しくてショックで、自分の心を別のもので埋めた。
 
 

悲しいより悲しいことってわかりますか。悲しいより悲しいのはぬか喜びです。

ドラマ『カルテット』より


 別のもので埋めても更なる孤独と虚無に抱かれるだけだった。ぬか喜びをしないためにも現実や孤独にしっかりと向き合わないと前には進めない。彼と会う前は覚悟を決めるのだが、会うと楽しくて居心地がよくて、自滅しなくてもこのままでもいいんじゃないか。わたしの中の天使か悪魔かよくわからない何かがそう囁く。
  

 26歳と4か月と少し。好意を寄せてくれるひとがいると、そのひとと上手く話せなくなる。本当のわたしを知ったら好きじゃなくなるよ、と考えて距離を置く。随分こじらせた女だと我ながら呆れる。一歩踏み出すことがしぬほど怖い。


 話は変わって、彼のイメージを更新してみる。
飲み物でいうと爽健美茶、デザートでいうとでっかいイチゴののったパフェ、服でいうとオーバーオール(着ているのを見たことはない)、季節でいうと暖かくなりだした春のはじめ、そんな感じ。やっぱり好きだな。


 春滑り込みギリギリセーフの葉桜ピクニックをしたり、お昼にたこパしたり、大阪の美術館でアートを感じたりデートみたいなこともした。


 いつかの木曜日、残業続きの職場を急いであとにした。狭い狭いテーブルでやきとりを囲んでビールを飲んだ。隣に座っていたおじさん4人に絡まれ、会話の中で何度も”彼はいい男だよ”と言われて面白かった。(いい男でもあるし、悪い男でもあるんだよ、心の中でそう返答した。)


 gwに何も予定を入れていないわたし。誘ってくれた彼。これで最後にしよう。岩盤浴で一日中汗を流した。夜ご飯は汚めの居酒屋。彼の好みは田中みなみのようなセクシーで賢いオンナだと知った。


 いつも帰り際は曲がり角までチラチラとこちらを振り返ってくれる。そういうとこだよ、ズルい男。結局今日も何も伝えられないまま。次会ったときに絵を描いたのを見せてよと言われた。すぐ描いてラインで送るよと返すと、次会ったときの楽しみにとっておきたいから今度でいいと言われた。ね、ずるいヤツ。


 最近は仕事も落ち着いて、本も読めるくらいには心の余裕が出てきた。なので今の思いを伝えてみようかと思う。

 

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