マガジンのカバー画像

ポーランド映画

16
運営しているクリエイター

2021年11月の記事一覧

『パサジェルカ』

監督:アンジェ・ムンク

未完の映画なので何とも言い難いが、眠くなってしまった。割と悪くなかった気がするので見直したい。

『太陽の年』

監督:クシシュトフ・ザヌーシ

こういう映画を見るたびに、人物を通して社会を考えていいのかわからなくなる。ドイツ人とのやりとりからも分かるように、男はアメリカ的ヒロイズムを体現し、J-POPバリの愛の文句を囁く。女はそれに惹かれるが、祖国を捨てることに葛藤する。時代は違えど、ポーランド自由化の道のりに重ねられるのではないか。西側の自由に魅力を感じながらも、祖国から目を背けて生きていくことはできない

もっとみる

『スティル・アライヴ』

監督:クシシュトフ・キエシロフスキ

『デカローグ』製作までの流れがかなり違った。満を持して、かと思いきや、『偶然』、『終わりなし』で国内からの批判に疲れて十戒に立ち返ったという流れなのか。『ふたりのベロニカ』ももう一回見てみたくなった。スチュエル同様に平穏を求めていた監督自身の姿に驚いた。ザヌーシからジャコブまで出演者も豪華なので見る価値はある。ビノシュはもちろん、シャポロフスカさんがとても綺麗

もっとみる

『平穏』

監督:クシシュトフ・キエシロフスキ

初期の中で一番いい。アマチュアっぽくもある。飲み会の場で語られるように、彼は平穏を求め、家庭を欲する。しかし望み通りの相手と結婚すると、仲間と親方の間で板挟みになる。『スタッフ』に似た展開。ラストでは、大家さんに買ってもらったグレーのスーツを着た彼はリンチに遭う。リンチ後の馬のフラッシュバックは明らかに、彼の平穏が崩壊したことの証である。さらにこのスーツは平穏

もっとみる

『スタッフ』

監督:クシシュトフ・キエシロフスキ

個人と社会、窃視、二つの世界。後期に繋がる要素がたくさんあった。乗るのを諦めかけるのに、結局追いかけてしまう主人公の姿に共感してしまう。仕事、自然、あのときああしていなかったら。彼の視点から見た芸術は、純真無垢なものから社会の思惑に左右される脆いものへと変わってしまう。それの是非というより、彼がそれを見たことが大事なんだと思う。舞台裏で上昇するカメラが面白かっ

もっとみる

『フォトグラフ』と『初恋』、『地下道』

監督:クシシュトフ・キエシロフスキ

『フォトグラフ』はドキュメンタリーなんだけど割と編集されている感じがした。切り返しショットもあるし、音声も後付けのところがある。一枚の写真から浮かび上がる社会と人間。夫の昔話のところが一番好き。
『初恋』は初期ケン・ローチっぽい。というか本人が敬愛していた気がする。たまに演者がカメラの方を見てしまっていた。そっけないのに出産シーンはエモーショナル。産まれたての

もっとみる