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忘れ去られたニット帽。

今日の買い物帰りに、道端のポールにニット帽が被せられているのを見た。

明らかに既製品ではなく、手作りで少し網目の粗いニット帽。

きっとお母さんか誰かが編んでくれたのだろう。

防寒具としてはあまり機能しなさそうだが、これを探している子どものことを考えると、少し胸がキュッとなった。



私も子供の頃、母親が編んでくれたマフラーをなくしかけたことがあった。

その時はもう涙目である。

だって、世界でたった一人の母親が自分に作ってくれたものだ。

既製品のプレゼントをもらっても嬉しいが、手作りとなるとその思い入れは段違いである。

もちろん母親は機械でも編み物職人でもないので、そうそう何度も作ってくれるわけでもない。

仮になくしたことを伝え、「また作ってあげるよ」と言われたとしても、そのマフラーが戻ってくるわけではない。

寒い中外に出て、たとえ風邪を引いたとしても、そのマフラーを探し出したい気持ちでいっぱいだった。

程なくして見つかったので良かったが、見つかるまでの喪失感や不安、落ち込みようは半端なかった。

この帽子をなくした子どもも、どこかでそんな気持ちを抱えて過ごしているのだろうか。

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