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棚から落ちたぼたもちは、するりと何処かへ

先日、こんなnoteを書いた。

ここで記したアルバイトの応募が書類選考を通過し、面接に行くこととなった。
(応援してくださった方々、ありがとうございました)

***

乗り換えを2度はさんで、電車に揺られること約1時間。
高層ビルがあちらにもこちらにもそびえ立つ都会の真ん中で、深呼吸する。

漠然と、いつか行けたらいいなあなんて思っていた企業が、目の前にある。
こんな建物なんだ、と、しばし観察する。

約束した時間の10分前に、その建物の門をくぐり、受付で名前を告げた。

***

1時間後、私はぐったりとしていた。

研究の話は、思っていたよりもしっかりとできた。担当の方の受け答えぶりから、これまでに会ったどの民間企業の方よりも、深く広い知識を感じた。
ここで働くことができたらさぞかし勉強になるのだろう、とわくわくした。

でもただひとつ、「やらかしたな」と思うところがあった。今回のアルバイトの趣旨とは噛み合わないと捉えられるような受け答えをしてしまった。

「ああ、やってしまった」
ぐったりと重い足取りで帰りの電車に乗り込んだ。

***

結果が出るまで、まだしばらくかかるらしい。
でも、もうダメなんだろう、という気持ちでいる。

「もともと棚からぼたって落ちてきたようなことなんだから、気にしないの。ぼたって落ちてきて、またそれがぼたってどっかに落ちてっただけなんだよ」

慰めなのかよくわからないことを、恋人が言っている。確かに、棚から転がり落ちてきたぼたもちは、するりと私の手をすり抜けて、何処かへ行ってしまった可能性が高い。確実に掴めなかったことが悔しい。

悶々としている私に、彼が「ねえ」と声をかける。

「ぼたもちってなに?」

いきなり真顔で問うてきた彼に笑いながら、落ち込んでてもしゃーないな、と、作業を再開すべくパソコンを開く。いつしか、一人前の研究者としてまたあの方々と話ができることを目指して。


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