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プレゼン上手な先生と、ギャップ萌え

プレゼンは、エンターテイメントだ。

どこかの誰かが言っていそうなフレーズが、この先生の発表を見るたび、頭に浮かぶ。

30代後半と、大学の先生の中では若い、この先生。
私の指導教官ではないけれど、同じ分野であるため、何度かこの先生の発表を見る機会がある。そしてしょっちゅう、発表に魅了される。

まず第一に、テンポがいい
発表のスピード感、とでも表せばいいだろうか。早すぎず、遅すぎず、小気味よいリズムで話している。聞いてきて心地よい。

加えて、随所随所でわかりやすい例え話が入ってくる。
ときには、聞き手をくすりとさせるようなジョークだって飛ばす。

さらには、パワーポイントのスライドや話す内容に合わせて、リズミカルに動いている。後ろの方の聞き手まで意識した、大きなジェスチャーをしたり、グラフ内の右上がり線に沿って体までも傾けたり。

スライドや言葉や声に加え、文字通り全身を使って何かを伝えようとする様は、まさしくエンターテイメント。1つの演劇作品かのようにすら、見えてくる。
もちろん肝心の脚本(研究内容)だって、すごいのだ。

「かっこいいなあ」「私もあんなふうになりたいなあ」
すっかり先生のファンになり、気づけばこの先生の同じ発表を、いろいろな場所で合計4回も聞いていた。

この4回のうち、1回だけ、「あれ?」と思った回があった。

この先生の発表を2回目に見たときのこと。1回目とは全然様子が異なり、しどろもどろで、テンポも悪い。

「どうしたんだろう」不思議に思うも、そのわけはすぐさま分かった。

発表を日本語で行っていたから、だった。

この回以外の3回すべて、この先生は英語で発表していた。
でも、この日だけ、日本語。

先生は”日本人”だ。国籍も日本で、母国語は日本語。
でも、海外の大学院で、Ph.Dとよばれる博士号を取っている。

先生のような、海外大学院勢あるあるが、「日本語での発表が苦手」
慣れ親しんだ母国語であっても、必要な勉強や研究活動を英語で行ってきてしまったために、日本語で説明することが難しくなっているらしい。


英語ではあんなにテンポよく発表し、皆を引き込んでいた先生が、母国語であるはずの日本語でしどろもどろになって、「えっと」や「あー」を連発している。

このギャップに、人間らしさを感じて、さらにファンになってしまった。
まさにギャップ萌え。「かわいい」とすら思ってしまった。(失礼すぎて、本人には口が裂けても言えない)

日本の大学院で過ごす私は、先生とは正反対で、「英語で発表!?無理!」な状態。(いつかはやりたいんだけど、なあ)


でも、慣れ親しんだ日本語であっても、あの先生のように皆を引き込むような発表は、全然まだできていない。えっと、あっと、の連発で、しどろもどろ。

だから、まずは日本語で。
エンターテイメントのようなプレゼンを目指して、頑張るぞ。


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