見出し画像

日本語の授業について説明します②

続きです

ここでは技能実習生の日本語の特徴や気になる授業態度、日本語の上達について話したいと思います。

技能実習生の日本語の特徴

技能実習生は日本に来る前の数カ月間、母国の研修センターで日本語を学びます。日本人の先生に習う人もいるようですが、現地の先生に習う人が多いようです。

日本へ来たばかりの技能実習生の多くは、日本語について以下のような問題点があります。
①日本語が聞き取れない。
②文ではなく、単語で話す。
③発音が悪い。

上の3点について少し説明します。
①日本語が聞き取れない。
これは文字の通りです。教師や職員の話す日本語が聞き取れず、理解できません。スピードに慣れていない、単語がわからないなど原因が考えられます。

②文ではなく、単語で話す。
「これは何ですか?」「ほん。」のように、答える時に名詞のみで答えたりすることを言っています。
実習生には「ほんです。」や「ごはんを食べます。」のように「~です。」「~ます。」を使うように指導しています。
職場で話すときに、いきなりため口では、いろいろ誤解されてしまうので、まずは丁寧に話すように指導しています。

③発音が悪い。
ちゅくえ」、「じゅうびんきょく」のように、「つ」が「ちゅ」になったり、「ゆ」が「じゅ」になったりします。またイントネーションにも問題があります。
これは出身や個人によって差がありますし、すぐに矯正できるものでもありません。まずはその発音が正しくないと意識してもらうことから始まります。

日本に来てからの1ヶ月の日本語学習では勉強時間が短すぎ、目を見張るほど上達する人はなかなか現れません。
しかし、これから3年を通して徐々に上達していくための基礎を、学び方を学ぶ期間としてはとても意義があります。

授業中の技能実習生の様子

技能実習生は元気に話す人が多いです。
ですが、授業になると、とたんに元気がなくなり様子が変わる人もいます。
これは技能実習生に限らないのですが、以下に授業中の気になる態度・様子を挙げてみます。

・集中できない。落ち着かない。きょろきょろする。
・(声に出して)あくびをする。
・伸びをする。
・私語。
・姿勢が悪い。

このような実習生には落ち着いて授業を受けるように促します。
できないようなら、直接悪いところを指摘します。
人の話を聞くときに腕を組んだりしている人もいるので、それは印象が悪いことも伝えます。
授業に限りませんが、基本は、「落ち着いた態度で人の話を最後まで黙って聞く」です。

どうすれば日本語が上手になるか?

「どうすれば日本語が上手になるか?」ですが、日本語がぺらぺらな日本人にはなかなかわかりにくいテーマです。
それでは、日本語を英語に変えて、「どうすれば英語が上手なるか?」というテーマならどうでしょうか。
このテーマなら書店に様々な本が並んでいますし、一度くらいはこのことについて考えたことがあるのではないでしょうか。

書店に並んでいる本は、たくさんの人が外国語学習について経験談、研究成果を述べているのですが、これをすれば必ず上手になるという方法は、実践が難しい、続かないことが多いようです。

「どうすれば外国語(日本語)が上手になるか?」という質問については、外国語のレベル(習得状況)や語学への適性、外国語習得の経験(既に1つ以上覚えたことがあるか)によってアドバイスが異なります。

日本へ来たばかりの技能実習生へ答えるとするなら、「日本語に触れる時間を増やしてください。」です。
外国語(日本語)は接触する時間を増やせば増やすほど上達します。
そんなこと当り前じゃないか!と言われるかもしれませんが、この単純な原理を忘れている人が多いように見受けられます。

例えば、中学や高校の時、試験前に一夜漬けで必死に覚えた経験はありませんか。
その時覚えたことはずっと覚えていたでしょうか。
私はすぐに忘れてしまいました。おそらくよほど記憶力が良い人ではない限りすぐに忘れてしまうのではないかと思います。
試験前の一夜漬けのように、無理やり覚えたこと、短時間で覚えたことは頭に残りにくいのです。
ですから、実習生には、まずは外国語(日本語)に接触する時間を増やすように話します。

日本語に接触する時間を増やすとは?

「日本語に接触する時間を増やす」とは、一日の中で日本語に触れる時間を増やすということです。
初めのうちは、好きなアニメを見る、ドラマを見る、漫画を読む、新聞を読む、絵本を読む、単語を眺めるなど、自分が好きな方法で日本語が身近にある状態を作ってほしいと思います。もちろん字幕・翻訳付きのものでかまいません。

そのような中で気になる単語を覚えたり、好きなフレーズを覚えたりしていくことで日本語に触れる時間が多くなれば、日本語に慣れてきます。インプットを増やすことで頭の中に日本語が蓄積されていきます。

日本のドラマ、アニメなど、日本のことはあまり好きではないという人もいます。YouTubeで母語解説している日本語動画などもあるので、毎日できそうなことから日本語に触れてほしいと思います。

日本語に触れることが日常化できたら、単語を覚える、聴解の練習をする等「日本語学習」の時間を増やしていきます。
このように徐々に学習のハードルを上げていきます。

技能実習生は教室で日本語を学ぶ期間はとても短いですし、仕事を始めたらなかなか先生に日本語を習う時間は取りにくいです。
よって自習せざるを得なくなるのですが、そのような状況ではなかなか勉強を続けていくことは難しいです。
そのような実習生のことを考えて、当センターでは、配属後も日本語学習が継続できるように、『いろどり日本語オンラインコース』を紹介しています。
このオンラインコースはベトナム語やインドネシア語など9か国語に対応していて、無料で利用できます。

授業中にこのコースに登録してもらい、実際にそれを使って各自勉強してみる時間を設けています。
1人でも多くの実習生に日本語学習を継続してほしいと考えています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?