【036】おきもちこばなし その1~鏡の中に映るものは~【おきもちくん】
皆様こんにちはこんばんは!当noteには二回目の参戦となります、おきもちくんです。
まずは宣伝から!
来る三月一日、餅果実文舎の第三回合同誌、『あちら』『こちら』が頒布開始となります! 確か、前回の合同誌発売に合わせて寄稿したnoteには、「前回より超パワーアップしてます(意訳)」みたいなことを書いた記憶があるのですが、今回は更にパワーアップした内容になっていますよ~。第二回から続投のメンバーに加えて、新たに六名の方の個性溢れる作品を収録したゴージャスな仕上がりとなっております……! 是非是非、多くの方に手に取って頂ければと思います。購入や作品の詳細などは餅果実文舎の公式Twitterアカウントをチェック!
さてさて。今回のnoteでは、本合同誌のテーマである「かがみ」にまつわるちょっとしたお話をしようかなと。
題して、「おきもちこばなし」
記念すべき第一回では、鏡は鏡でも、車のミラーにまつわる小咄をお届けします。第一回、などと銘打ったものの果たして次回があるのか、書いている当人にもまるで分かりませんが早速はじめて行きましょう。
海外旅行の際に、街に止まっている車のサイドミラーを見ると、なんだか文章の書かれたシールが貼られていて違和感……海外に行った方から、こんな話を時折聞く事があります。
これは一部の国に特有の文化で、アメリカやカナダ、インドなどでは、安全上の理由から自動車の運転席側サイドミラーに、必ずある警告文を記載することが義務づけられています。
その一文がコチラ。
“Objects in mirror are closer than they appear”
……なんだか含みのある文章ですね。
直訳すると「ミラーに映るものは実際より近くにあります」。
自動車のサイドミラーは鏡面が凸になっている関係で、後方車両や歩行者が実際より近くにあるように映るようになっています。なので、ミラーに頼らずしっかり後方確認しろよ!……というのがこの警告文の趣旨な訳ですが、このなんだか意味深な文章もあってか、音楽や映画など様々な場所で引用されるモチーフとしても有名です。特に知名度があるのは、映画『ジュラシックパーク』のTレックスからジープに乗って逃げるシーンでしょうか。
ピクサーの『トイストーリー2』なんかでもオマージュされた有名なショットですね。
ミラーに映る危機は実際より近くに……という緊迫感溢れるシーンですが、この警告文を使った演出は、比較的近年の作品でも見られます。
例えばこちらの『トランスフォーマー:ダークサイドムーン』では、このショットをオマージュしたとおぼしきシーンが登場。
同シリーズのスピンオフ作品『バンブルビー』では、物語のラストシーンで登場。遠く離れても心は近くに……主人公ふたりの別れと深い友情を象徴するアイコニックなシーンです。
……というように、作品によって一文の引用の仕方は様々です。そういえば、実写版のトランスフォーマーってスピルバーグがプロデューサーでしたね。セルフパロディかな?
トランスフォーマー繋がりで更に踏み込んだ話をすると、実写シリーズを五作に渡って監督したマイケル・ベイは元々、TVコマーシャルやMV制作でキャリアを積んだという経歴があります。そんな彼が過去に監督したMVの中にこんな作品が。
Meat Loaf - Objects In The Rear View Mirror May Appear Closer Than They Are
前述した『バンブルビー』のラストシーンにも影響を与えたという本作、過去への郷愁を感じさせるさながら短編映画のような仕上がりになっています。曲の歌詞と合わせて非常に涙がちょちょぎれる内容でオススメ。「人生がハイウェイみたいなものなら、そのとき魂はただの自動車に過ぎない」という一節が特に良いですね。
ということで、あの一文が引用された様々な作品について見てきました。何気ない警告文から、これほど豊かな表現が生み出されているとは本当に驚くばかりです。是非皆さんも、この一文をどこかで見かけたら、その意味について考えてみると面白いかも。思うより近い鏡の中に、あなたは何を映し出しますか?
それでは、今回はここまで! 次回(未定)をどうぞご期待下さい。サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ!
2022/02/15 おきもちくん
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