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【論文紹介 #1】 LLM(大規模言語モデル)とレコメンドモデルの合体!

2022年ChatGPTの登場により、生成形AIや大規模言語モデル(LLM)への注目が集まっています。企業も色々なアイディアを出し合い、ChatGPTを使った事業への取り組みも動き出したことでしょう。(詳しくは下記参照)

そこで今回はレコメンド機能とLLMの良いところを組み合わせて、会話型のレコメンド機能を作ろう!といった論文を紹介します。原論文は下記になります。


導入

レコメンド機能とは

レコメンド機能は膨大なユーザー行動データを活用し、価値・体験を提供することに優れています。しかし、現状はレコメンド内容に対しての説明や会話するような汎用的なタスクは困難です。そのため、あ

LLMとは

大規模言語モデル(LLM)は、人間との対話において顕著な能力を発揮することができます。これはLLMの学習段階にて、人間の作り出した様々なテキストを学習していることが起因しています。

レコメンド機能とLLM

LLMは人間との対話は流暢にこなすことができますが、人間の行動や購買パターンの知識が不足しています。そこで、レコメンドモデルとLLMの間のギャップを埋め、それぞれの長所を組み合わせて、汎用的で対話ができるレコメンドモデルの作成を試みます。


構想

InteRecAgentのフレームワーク

【引用】Recommender AI Agent: Integrating Large Language Models for Interactive Recommendations

基本的にLLMは頭脳として機能し、レコメンドモデルはドメイン固有の知識を提供するツールとして機能します。ユーザはChatGPTを使うような感覚で、自然言語を使ってLLMと対話し、LLMはユーザーの意図を解釈します。

Information Query

ユーザーからの問い合わせ対応
・「このゲームの発売日はいつですか?」
・「値段はいくらですか?」
といった問い合わせに対応するために、LLMに情報問い合わせる

Item Retrieval

アイテムの検索に関する機能です。会話内でユーザーの意図を満たすアイテム候補のリストを提案します。その上で検索条件には大きく「ハード条件」、「ソフト条件」に分類され、どちらも満たす必要があります。

ハード条件とは
・「人気のあるスポーツゲームが欲しい」
・「100ドル以下のRPGゲームを紹介してほしい」など

ソフト条件とは
離散的な属性で明示的に表現できない要求のことです。
「Call of DutyとFortniteに似たゲームが欲しい」のような意味的マッチングモデルを使用する必要があります。

この両方の条件に対応するためには、複数のツールを組み込む必要があり、SQLツールを使用し、アイテムデータベースから候補を見つけることを採用しました。

Item Ranking

ランキングツールは、ユーザーの過去データや会話中の嗜好を考慮することで、パーソナライズされたコンテンツをユーザーに提供する上で重要な役割を果たします。ランクづけを効果的に行うことでinteRecAgentはより満足度の高いユーザー体験を提供することができます。

LLMはこのような多様なツールで補完することで、様々なユーザーからの問い合わせに対応することができる可能性があります。

実験

今回提案されたInteRecAgentとChatGPT4に対して、ユーザーが与える入力からの出力結果を比較します。

【引用】Recommender AI Agent: Integrating Large Language Models for Interactive Recommendations

図 3: (a) 雑談、(b) Steam ゲームドメイン、(c) Amazon Beauty e-commerce

実験(a)

(a) chit-chat

(a)雑談において、InteRecAgent は GPT-4 の機能を維持しながら、次のような特徴を備えています。
・ドメイン固有のデータをクエリする追加能力
・ドメイン固有のデータ(商品数など)を照会する機能
結果的により正確な情報を提示できるようになりました。

実験(b)

(b) Steam game domain

(b)はユーザーの入力条件が複雑で、ユーザーの履歴や様々な要求を含んでいます。GPT-4の出力は、Northgardが2Dと誤認した3Dゲームを除き、ほとんどが条件と一致しています。InteRecAgent の応答は、ユーザの条件に忠実であり、特に、ユーザの履歴にある後続のゲームRimWorld が含まれており、その優れたランキング性能(Item Ranking)に起因しています。

実験(c)

(C) Amazon Beauty e-commerce

(c)はGPT-4はAmazonプラットフォームに存在しない商品をレコメンドしています。これに対して、InteRecAgent は、ドメイン内のツールを活用することで、ユーザの要求に対してより正確な回答を提供します。

実験結果は、InteRecAgentがレコメンド関連タスクにおいて、既存の汎用LLMと比較して優れた性能を発揮することが示されました。
InteRecAgentは、レコメンドモデルとLLMの長所を組み合わせることで、高度な会話型レコメンドシステムの開発に道を開く可能性を示唆することができました。

まとめ

Recommender AI Agentとは

  •  大規模言語モデルを統合したインタラクティブなレコメンドシステム

  • 従来のレコメンドモデルは、ユーザーの行動データを活用して特定の領域のアイテムをレコメンドすることに優れているが、説明や対話などの多様なタスクには苦労している。

  • 大規模言語モデル(LLMs)は、命令の理解、常識的な推論、人間との対話などの能力を持つが、特定の領域の知識や行動パターンには乏しい。

  • InteRecAgentという効率的なフレームワークを提案し、LLMsをレコメンドモデルと統合することで、多様でインタラクティブなレコメンドシステムを実現する


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