見出し画像

音源を聞かずに SIX KICKS ROCK'N'ROLLツアーに行ってみた

ということで迎えたライブ当日。
前回の投稿に書いたが、
今回のライブは「 SIX KICKS ROCK'N'ROLLを聞かずに行く」
なんて目標を高々と掲げてライブに行く予定だった。
しかし結局レンタルしてすぐの時、
まだそんな目標を立てる前に一度聞いただけの
「光の魔人」と「ごくつぶし」が良過ぎた。
故に何度か目標を立てた後も聞きたくなってしまい
この2曲は事前に何度か聞いてしまった。

ライブ会場は、銀杏BOYZが不登校生徒集会を行ったあの渋公こと渋谷公会堂。
今はLINE CUBE SHIBUYAなんてスタイリッシュな名前に変わってしまっていた。


今回は全席指定型のライブ。
座席指定のライブというのは
5年前くらいにももクロのライブに行ったのが最後。
ロックバンドのライブを座席指定で見るのはのは初めてだ。

着席してからライブに誘ってくれた知り合いとおしゃべり。
指定席でも、そこから動かなければ立っても良いことを教えてもらう。

その後「ヒロトマーシーの歌詞しりとり」で開演までの時間つぶし。
「ライオンとサンシャイン」で綺麗にしりとりが終わった頃
いつものお兄さんが注意事項を読み上げる。

マスクを外すな、物を投げるな、声を出すなect。



前説が終わるとお待ちかね、
クロマニヨンズの登場だ。
久しぶりのクロマニヨンズ。久しぶりのヒロトの「オーライロッケンロー!」の掛け声。それに合わせて始まるドライブGO。

ダメだ。あの掛け声を聞くだけでテンションがぶち上がる。


前説のお兄さんが言っていた。
声を上げなくてもあなた達の気持ちは必ずクロマニヨンズに届きます、と。

凄く素敵な前説だと思った。
だけど、やっぱりカッコいいロックンロールを目の前にした時に上げる声は
(俺の場合)演者に声を届けたいみたいなものではない。

意味なんかないけどとにかく叫ばずにはいられない。いわば感情の爆発音的な物で、声を上げるというよりも、声が上がるって感じだ。


だから今回のライブでも何回声が上がりそうになって、声帯の振動を押し殺したか分からない。
本当はいけないんだけど、もしかしたら
無意識に何度か声が上がってしまっていたかも知れない。

ライブハウスがコロナによる人数制限を撤廃したというニュースを先日目撃した。
多分商業的に見れば、声を出して良いというよりも
何人箱に入れても良いという方が価値のあるニュースなんだと思う。

入場できる人数が増える事で
チケットを取りやすくなる等、僕達リスナーにとっても受ける恩恵は大きい。

それでもやっぱり我慢せずに声を上げたい。
早くそれが出来る様になる事を心から祈るばかりだ。


心からそう思う一方で、
冷静になった今思うと、声を上げられないライブのメリットも今回のライブで感じた。

演者の奏でる音(僕にとっては特にヒロトマーシーの声)がしっかり聞ける点だ。

周りも声を上げないのもその要因の一つであるし、それ以上に
自分も声を出さない事が大きな要因であると思う。

特にコビーとマーシーの掛け声の部分
(ex.もぐらとボンゴの「もーぐらー」等)なんて
声出して良いライブなら間違いなく俺も一緒に歌っていた。
自分の声が邪魔をして、彼らの声をまともに聞くことが出来なかったはずだ。

歌う事を禁止されたからこそ
コビーとマーシーのコーラスをしっかり聞くことが出来た。
「やっぱりマーシーの声が好きだなぁ」と惚れ惚れした。
とにかく「こうして声を上げてはいけないってライブも良いものだな」
と大満足だった。


声を出しては行けない等制約があってもクロマニヨンズのライブは楽しい。
そして、今回のライブのテーマでもあった
「音源を知らずに行くライブに行く」ということについて。
もうここまで書けばわざわざ書く必要もないだろうけど一応書く。
音源なんか知らずに行ってもクロマニヨンズのライブはものすごく楽しい。

しかも音源を聞かずにライブに行ったからこそ、
各曲が新鮮で、初めて聞いた感動をライブで感じる事が出来る。

特に俺が感動したのは冬のクワガタだ。
「冷たい風がブランコに乗る」なんて、
マーシーが詩人過ぎる。

ブランコが風で揺れる。
ただそれだけの風景も
言い回し一つでこんな素敵に表せるんだから
言葉って面白いし、マーシーはやっぱりめちゃくちゃに詩人だ。



アルバム曲以外の楽曲、(音源を過去に何度も聞き込んだ曲)も
もちろん素晴らしかった。特に印象に残ってるのは紙飛行機だ。
(CAVE PARTYに収録)


ヒロトマーシーがブルーハーツ時代から俺達に投げかけてくれた価値観。
「変化」の肯定と、「今」こそ全て。

僕はバカだからそのメッセージを全部無視して素直な感想を書くと
クロマニヨンズはあの頃と何も変わらずカッコ良い。そして
紙飛行機で俺は過去、現在、未来の全てを見た気がする。


ちょうどクロマニヨンズというバンドの存在を知り、とにかく聞き漁った中学、高校時代。あの頃、クロマニヨンズは物凄くカッコよかった。

社会人になって感性も錆つき、あの頃と比べてクロマニヨンズを聞かなくなった今。
本当にクロマニヨンズを聞く機会が減ったけど、こうしてライブで聞くクロマニヨンズの紙飛行機は
あの頃と(受け取り方は違えど)やっぱりカッコいい。

そして、こうして紙飛行機を歌ってるヒロトマーシーの年齢になった将来の俺。
少なくとも高校生〜今の俺まで、思ってたような年の取り方は出来なかった。
さっきも書いたけど、感性も錆び付いて、金やら休みやらの事でばかり気持ちが動いて、既に当時したくなかった歳の取り方をしている。
でもあの年齢になっても、こんなにカッコよく楽しく純粋にロックンロールに殺され続けてる4人。
それを見て
もしかしたら俺も、まだこんな風に年を取れるかも知れないって
なんだか凄く夢を見る事ができた。


ヒロトが昔言っていた。
ガキンチョを騙すのがロックンロール。
それがブルーハーツの頃は凄く顕著で、
逆にクロマニヨンズは全くそれを感じなかった。
ガキを騙くらかすと言うより、
ある種無意味な歌、ただ彼等が楽しむ為だけの音楽みたいな。

だけど、クロマニヨンズの
純粋にロックンロールを楽しむという姿勢は
27歳のガキンチョを騙すには充分過ぎた。やっぱりクロマニヨンズはカッコいい。久しぶりにロックンロールにぶっ殺してもらった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?