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【この本を読んで考えた】猫を抱いて象と泳ぐ

猫を抱いて象と泳ぐ?
いったいどんな状況なのだろうかと思ったら、チェスが出てくるお話だった。

チェスは子どもの頃読んでいた外国の話にも出てきたりして、お金持ちの大人の人のゲームというイメージがあるだけで、私はやったこともないし、ルールも知らないのだけれど、それでもこの小説は楽しむことが出来た。

祖父母と弟とで暮らす少年は学校では一人ぼっちで、空想の中の二人だけが友達だ。
そんなある日、ふと思い立った学校帰りの寄り道である人と知り合う。

誰かとの出会いが人生の方向を決めるきっかけになるというのは往々にしてありそうだけれど、少年もこの偶然の出会いがなければ、また違った人生を歩んでいたことだろう。

「偶然ではなく必然である」という言葉を聴くが、この場合もまさにそうだったと思う。

そして、その人物と少年との世界、家族と少年の世界は、以前読んだ小川洋子氏の作品もそうだったが、やはり舞台が日本だということを忘れてしまう空気感であり、匂いであった。

少年の周りの大人たちの眼差しの温かさ。
理解しようとする気持ち、信じようとする気持ち、何かあれば全身で受け止めてやるという気持ち。

ある意味不憫と思える身の上である少年に、これらはたっぷり注がれる。

これらは子育てをする上でも、とても大切なもので、ああ、この少年は大丈夫だなと感じた。

様々な場面で色々思うところがあり、でもその話を出すとネタバレになるというジレンマ。

これはTwitterのフォロワーさんがこよなく愛しておられる作品だそうだが、紹介して頂いて本当に良かったと感謝している。

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