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京都市京セラ美術館へ

 今年5月26日に京都市美術館が「京都市京セラ美術館」と名称を変えて、リニューアルオープンしました。京都市美術館には何度も行きましたが、「京都市京セラ美術館」には初めて行きました。鴨川を渡って平安神宮の方へ歩いて行きます。

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 美術館に到着しました。元の建物も残っていますが、入口のエントランスから新しくなった感じがよくわかります。この日私が見た展覧会は、杉本博司『瑠璃の浄土』展と、木村翔馬『 水中スペック』展です。

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 杉本博司『瑠璃の浄土』展は、事前予約が必要でしたので、前日までに予約して見に行きました。美術館にはたくさんの人が来られていました。
 杉本博司『瑠璃の浄土』展について京セラ美術館のホームページから下記に引用します。

美術館の再生を記念し、新たにオープンする新館「東山キューブ」では、開館記念展として、国際的に活躍する現代美術作家で京都とも縁の深い杉本博司の個展「杉本博司 瑠璃の浄土」を開催します。

杉本博司は、1970年代より、大型カメラを用いた高度な技術と独自のコンセプトによる写真作品を制作し、世界的に高い評価を受けてきました。また、古今東西の古美術や歴史資料等の蒐集や建築、舞台演出といった幅広い活動を行い、時間の概念や人間の知覚、意識の起源に関する問いを探求し続けています。
これまで幾度となく京都を訪れ、その長い歴史から思索を誘発されてきた杉本は、当地で撮影を行い、作品も生み出してきました。今回、かつて6つの大寺院が存在していた京都・岡崎の地に立つ京都市京セラ美術館の再生にあたり、現代における人々の魂が向かう場所としての浄土の観想や、今、果たされるべき再生とは、といった問いから、「瑠璃の浄土」のタイトルのもと、仮想の寺院の荘厳を構想します。 

 「浄土」や「再生」という問いから構想されている展示だということです。奥の方にある新館「東山キューブ」の展示室へ向かいます。最初の展示室には、ガラスの球の中に海が見えるオブジェが多数、1つずつ順番に展示されていました。覗いてみると1つ1つ色の違うモノクロで撮影された海が見えます。『海景』というシリーズの作品で、世界各地の海の地平線が見えます。このガラスでできたオブジェは「光学硝子五輪塔」というそうです。この海と地平線は作者にとってどういう意味があるんだろう?と思いながら順番に眺めていきます。この作品は写真撮影が不可でしたので、撮影OKの作品だけ写真を撮らせていただきました。
 次の展示室にはガラスの作品と写真が展示されていました。写真の作品は『OPTICKS』というシリーズで、世界初公開だそうです。

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↑ ガラスの作品です。色のついたガラスの塊が無数に並んでいます。

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↑ この海の写真は、1つ目の展示室で見たガラスの球の中に見えた海に似ています。次の展示室は、入ってすぐのところに神社のような建物の模型が飾られていました。杉本さんが依頼されて設計した神社だそうです。

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 同じ展示室の中を少し進むと、宝物のようなものが並んだ空間がありました。杉本さんが作られた古代の宝物のようなガラスの椀です。この色、私はとても好きです。

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勾玉もありました。これも杉本さんが作られたものです。

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↓ これが『瑠璃の浄土』です!箱の中にキラキラ光る石のようなものがたくさん入っています。展覧会の題名と同じ名前の作品なので、作者のイメージの源になっている作品なのでしょうか?私の身長ではこの角度で撮るのが限界でした。可能であればもっと上から撮りたかった。

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 この『法隆寺瓦』は、杉本さんのコレクションの中から発見されたものだそうです。杉本さんは古美術商もされていたそう。色々してはって多彩な方だなぁ。

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 次の展示室には、『仏の海』シリーズという、三十三間堂の千体仏を撮影されたたくさんの写真が展示されていました。迫力がありました!

 映像が流れている部屋がありました。杉本さんが設計され、構想から10年かけて建設された文化施設「小田原文化財団 江之浦測候所」の中や外で田中泯さんが踊っている映像なのですが、見始めると目が離せません。田中さんの動きが予測できなくて、その美しい動きを目で追い続けてしまいます。この日に京都で「ニュイ・ブランシュ KYOTO 2020」という文化イベントがあり、京都市京セラ美術館では「ナイト・ウィズ・アート2020」というさまざまなアートやコンサート、パフォーマンスによるイベントが開催されました。予約制で田中泯さんの「場踊り」のイベントがあり、予約できなかったことが悔やまれました。

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 この日本庭園の池の上に浮かぶような舞台は、杉本さんの作品で、日本初公開の《硝子の茶室 聞鳥庵(モンドリアン)》です。田中さんの「場踊り」はここで行われるようでした。見たかったなぁ。

 リニューアルして、新しく「ザ・トライアングル」という展示スペースができました。新進現代作家の継続的な育成・支援を目指し、企画展を開催しています。気軽に現代美術に触れる場となることをねらいとしているそうです。オープン1年目は、京都ゆかりのアーティストを紹介しているそうで、今は木村翔馬さんの『水中スペック』が11月29日まで見られます。展覧会の概要を美術館のホームページから引用します。

木村翔馬「透明の上に描く」木村翔馬は、筆や絵具、キャンバスを用いた従来の絵画とともに、その絵画的ルールを取り入れた3DCG(3次元コンピュータグラフィックス)、VR(バーチャルリアリティ)による作品を制作しています。デジタル技術は、作家にとって浮遊する線や色面といった新たな表現の可能性を開きますが、一方で、これまでにない感覚ももたらしました。これは水中での動きづらさに近いもので、このもどかしさを「水中スペック」と表現し、本展のタイトルとしています。デジタルとアナログが重なり合う現代には、このような時代特有の身体的、視覚的感覚が生じます。それは画家自身にどのような影響を及ぼしているのか――木村が探るのは、この変化にともなう絵画の在り方と言えます。

最新作を含む本展は、2次元のキャンバスと3次元のVR、その中間ともいえる透明なガラス窓(ザ・トライアングルの地上部分)を支持体とする作品で構成されます。3つの異なる空間を舞台とする作品は、相互に関係し合いながら、それぞれ鑑賞者に新たな絵画世界を垣間見せてくれることでしょう。線や色面に刻まれる木村の動きや色彩感覚にも着目しながらご鑑賞ください。

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 VRのゴーグルをつけてうろうろと動く観覧者の方を見て、私はうずうずしてきて列に並びました。私にとって初めてのVR体験です。スタッフの方が丁寧に説明してくださり、ゴーグルをつけてもらってスイッチが押されると、目の前に立体的な線がたくさん見えました。足元には海みたいな水が押し寄せてきます。目の前にあるたくさんのカラフルな線をつかもうとするのですが、つかもうとする自分の手は見えません。私が見ているのは立体的な映像だとわかっていても、つかんでみたくなります。線をつかもうとするけど身体をすり抜けてかすりもしません。描かれた線の中に自分が入り込んでいるのに触れることはできない不思議な感覚です。こんな世界があるなんて、こんな体験ができるなんて、とても面白い体験でした。平面の作品は伸びやかな線が躍動的で、見ていて気分が明るく楽しくなるような作品でした。

 「ザ・トライアングル」から階段を上って上に出ると、ガラス張りの空間に出ます。ガラスには田中さんの描いた線がたくさん見えます。今日はその場所でライブペインティングが行われるのです。

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 始まるまでに時間がまだあったので、三条通りまで戻って三条珈琲店で「珈琲ジュレ」を食べました。美術館から10分ぐらい歩くので、コースとしては帰りに寄るのがベストです。私は行って戻ってくるのに時間がかかりめちゃめちゃ焦りました。

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↑ 三条珈琲店の『珈琲ジュレ』

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 田中翔馬さんのライブペインティングに間に合いました。田中さんはガラスの内側から描かれます。私たちはそれを外側から眺めます。田中さんはしばらく考えてから、パレットに出した絵の具をスポンジに塗り付けます。そしてガラスにスーッと線を描いていきます。ササーッと描いていくのかな、と思っていましたが、じっくり考えてから1本ずつ線を描かれていました。また完成した絵を見に行きたいです。

 4か月ぶりに京都の美術館に来ることができ、見ごたえのある展覧会と初めてのVR体験ができ、とても楽しい心の踊るような時間が過ごせました。また京都まで美術展を見に来たいと思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。









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