オカンの身体機能(その1)

オカンが骨折して、代わりに買い物に行ったりするようになった。
それまでは、自宅に寄り付かない私は、10数年生活必需品の買い物に行ったこともなかったし、家事全般オカンがやっていた。
ま、これは、弟が亡くなった以降、自宅の維持費は私が負担するので、それ以外の必要なものはオカンが自由にしてくれ(節約するも自由、ぜいたくするも自由)というスタイルにしたから。
女二人、一人家にほぼいない、なら、これで十分だったのですよ。
洗濯物もほとんど出ないし、食べるものもそんなに要らないので。
家にいなければ掃除もほとんど必要ないしね。

私が結婚し、同居が始まってからも、これはほとんど変わらなかった。
やっぱり家に寄り付かなかったから。
旦那氏も家にほぼいなったから。

が、オカンの骨折でこれが一変する。
トイレットペーパーや洗剤、食材に至るまで、全部私が手配する必要が出てきた。
オカンが動けるようになるまで、の期間限定だからね、何とかしのげるかと思っていた。
ちなみに、この時、たった1ヶ月くらいで一気に4キロほど痩せた。
ご飯を食べる時間がほぼ取れず、そのせいでエネルギー不足に陥り、体力的にも限界に来ていたので、合間をぬってプロテインドリンク(栄養バランスが最短最速で摂れるから)を飲んでいたからかもしれないけどね。

買い物に行くようになると、買ってきてくれと頼まれるものがあった。
吸水ライナー、と言われる、女性の使用する「尿漏れ」対策の衛生用品だ。
それまで、これをオカンが買っているという事実すら知らなかったので、正直、へーそうなんだ、くらいだったのだけど、頼まれて買ってきた薄型ライナーだと駄目だったらしく、もっと容量の大きいのがいいという。
返品し、真ん中くらいのサイズ?を買ったのだけど、それでも少ない、一番容量の大きいのを買ってきてくれ、という。
この時若干、あれ?この人、排せつ機能に問題あるのかな?と思いはじめる。

すると、自宅にいる間に、かなり頻繁にトイレに通っていることに気付き始めた。この頃は、安静期間が終わって、固定のコルセットも時々外せるようになってきていた。
頻尿?か何かか?とりあえず、トイレ回数が尋常ではない(1時間に3回とか)のは明らかだった。

あまりに多いので、膀胱炎ではないか?と思ったのだが、熱もないし、一方で骨折した場所が腰椎だったこともあって、尿意の感覚がおかしくなっているのではないか、という疑いもあった。
なので、整形外科に行った際にもその相談をしたのだけど、今のところは判らないという感じだった。

そんな感じでいた11月頭ごろ、オカンが、血尿が出たという。
正確には、下血した、だったが、下血は別のところからの出血なので、この場合は血尿だね。
こりゃ大変だと、慌てて、車で近所の泌尿器科に。
骨折からの寝たきりからの今です、というわけのわからない説明の元、先生から、膀胱炎の可能性を指摘される。
やはりか。でも熱がなかったんだけどな・・・と思いつつ、よくよく考えたらこの人、鎮痛剤ずっと飲んでるじゃん=解熱効果で熱出てない・・・そういうことか。

レントゲンを撮ると、やはり尿が膀胱にたまっているね、とのこと。この場で導尿しましょう、と管を入れて出してもらうと、真っ赤な液体が出てきた。それもすごい量の・・・なぜこんなに??

だが、ドクターからは、これで抗生剤飲んで、たくさん出して様子を見ましょう、と言われ、その日は帰宅する。
帰宅後は、膀胱炎にならないように、お風呂の時もできるだけシャワーにしたり、水分量を計算したりと相当気を使っていた。
オカンも、それまで以上に頻繁にトイレに行って、ちゃんと出すように心がけていた。

ところが、12月の頭、ちょうど一か月後くらい、に、またしても血尿が出た。頭に手を当てると、冬なのにうっすら汗をかいている。
前回の教訓から、熱はないが、解熱剤で下がっているだけなのだ、と悟り、再度同じ泌尿器科へ。今度は急ぐからタクシー。
そこで、泌尿器のドクターから、1ヶ月に2度も、そして今導尿したらこの量の血尿が出るのは、さすがに尋常ではないから、今すぐ近くの総合病院に行って検査してもらいなさい、膀胱がんの可能性もあるから、と言われる。

膀胱がん・・・思いもしなかった・・・
ただ、頻尿も症状の一つにあるからね、急がねば・・・

幸いなことに午前中の受付に間に合う時間だったので、すぐさまタクシーに乗って、最寄りの総合病院へ。
2メーター(自宅からも同じくらい)の距離のところに大きい病院があるのも、今の家の立地に感謝だわ(この後もっと感謝することになるけど)。

総合病院に行き、泌尿器科の先生が書いてくれた紹介状・検査結果・検尿を渡して、外来へ。
総合病院の外来は混んでいるので、待合室も満杯。
コロナ前でよかったわ。
待つこと2時間弱、状況を説明し、再度検尿、レントゲンしてからさらに1時間。
がん検査もしてくれたようで、とりあえず膀胱がんは心配ないとのこと。
実は、近所の泌尿器科の先生も膀胱がんを疑って、血液検査は出してくれていて、今のところ心配はないけど、と言われてはいたので、大丈夫だとは思っていたけど、万が一、という心構えをしてはいたので、正直ホッとした。

ただ、1ヶ月に2回も膀胱炎になり、しかも血尿がひどいので、精密検査をしましょうということになり、年内、ここ来れますか?と言われ、スケジュール調整がつきそうだったので、12月26日の午後の検査予約をして帰宅。

そこから2週間は膀胱炎を再発させないように、ひたすら水分とトイレを管理する毎日だった。

そして迎えた年末検査の日。
午後休みをもらい、オカンを病院へ連れて行く。
造影剤検査なので、待ち時間も長いのだ。
半日潰れた。
もっとも、年内最終予約日だったので、滑り込めてラッキーだったと思う。
結果は年明け早々。
またしても会社休まねば・・・

つづく

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