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映画「ロープ」

たった一本の「ロープ」で、ここまで話が作り込めるとは…。いやはや脱帽。と言いながらちょっと寝てしまったわ。ほほほ。しかし、寝て起きても事態が大きく変わるストーリーではないので無問題!(ってどこがや!?)。この脚本力には本当にすごいのひと言しかないです!

舞台は1995年の停戦直後のバルカン半島。国境なき衛生管理団の活動家たちが求めていたのは1本のロープであった。彼らは性別も年齢も国籍も違う5人のメンバーで活動を続けていた。

1995年って、えっ?アタイ高校生だわ。女子高生、箸が転んでもおかしいという日々を過ごしていたわ。紛争のことなんて1ミリも考えたことがなかった。そんな時の話なのか。びっくりだね。そだねー。ねー(流行にのっかる。なんとか使いたかったの)。


野性味あふれるマンブルゥ(ベニチオ・デル・トロ)、ベテランの勘が鋭く働くビー(ティム・ロビンス)、カティヤ(…の詳細は忘れた。なんかの管理人って言ってた。寝てた?オルガ・キュリレンコが演じてます)、通訳のダミール(フェジャ・ストゥカン)、新人のソフィー(メラニー・ティエリー)。

彼らが見つめていた先にあったのは井戸の中の死体。水を売りさばこうとする連中が、ある村の井戸に死体を投げて入れた。このままでは水が腐敗してしまう。水はライフラインであり、村人の健康や命を脅かす危険性が高まる。そこで国境なき衛生管理団が呼ばれたのである。死体を引き上げようとしたところ、すんでのところでロープが切れてしまい、引き上げることができない。ロープを探すも誰も持っておらず、商店にも売っていない状況に陥る。

「ロープなんて、どこにでもあるんじゃない? ナイフや薬とかでもなく、ただのロープだよ?」

と思ったそこのアナタ。はい。まぎれもなく平和ボケです(もちろん私も)。たったロープ一本を手に入れるだけでも命がけ、これが戦争なんです。訳知り顔で書いてみましたが、私も「ロープなんてそのへんに転がってるんじゃないの?」と思っていたのです。ここからのストーリーに戦争の苛酷さが描かれていくのです。

少し移動しようにも至る所に地雷が仕掛けられており、武装した集団も潜んでいる可能性がある。停戦中といっても終戦したわけではないので、そこに真の平和はない。停戦の書類も現場ではなんの効力も発揮しない。なんだったらその書類が仇になる場合もある。

政府も国連も巨大組織のため動きは鈍く、小さな村の井戸が使えなくなった、難民キャンプのトイレが詰まって惨事になっている、と訴えても動いてはくれない。しかし、井戸もトイレも命に直結するのである。それをなんとかするのが、この国境なき衛生管理団なのです。彼らはどんな過酷な状況でも、命の危険を顧みずに救済をしようとやって来てくれるのです。

過激な戦闘シーンや、地雷が爆発したり、人が惨たらしく殺害されたりするシーンは一つも出てきません。なんなら笑えるような場面も出てきます。人が生きているので、お腹もすけば、おしっこもするし、ケンカもするし恋もする。
停戦といってもまだ戦時下なのです。物資はない、人々は恐怖に怯えまともな暮らしが出来ない。さらに捕虜となり、いとも簡単に命が奪われてしまうなど苛酷な状況は変わらないのです。

たった一本のロープ。平和な世の中なら簡単に手に入るもの。それが手に入らない世界がある。そして、その一本のロープがないために様々な弊害が起こる。私が今生きている世界からは想像もできない。しかし、それが現実なのだ。

「ロープ、なんちゅうタイトルや」と思っていたが、こんなに深い内容だったとは…。その凄さに舌を巻く。1995年の話ということで驚いていたが、今も同じように紛争が起きている。

そして、戦争だけでなく自然災害も起きており、日本だけでも大きな災害が頻繁に起こっていて、人々の暮らしが大打撃を受けている。今年の大雪もすごかった。亡くなった人も大勢いて、大きなニュースになっていないけど、支援や対策が必要な大きな災害だよねと思ったけれど、どうしようもできない…。

自分には何もできないし、どうしてよいかわからないから、すぐに目を背けがちになるけれど、やはりしっかりと見据えなければならないのだな。せめてそれくらいはしないといけないな。

原題は『A Perfect day』。この原題の意味が途中まではよく理解できなかったけど、終盤のとあるシーンで「あっ、なるほど」となったのでした。

#映画 #コラム #感想 #008 #ロープ #0224

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