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映画「5パーセントの奇跡~嘘から始まる素敵な人生~」

やっぱりいい映画だった。最大級の寒波が日本列島を席巻する中、見に行ったけれど、見終わったあと心がポカポカ、身体もポカポカしてくるような映画だだった。まさに元気をくれるビタミンみたいな映画だ。

主人公のサリヤは真面目で成績優秀、前途有望な学生として周囲からの期待も大きかった。しかし10代の時に突然、先天性の病気にて視覚の95%を失ってしまう。誰もが無理だという中、サリヤは一流ホテルで働くという夢をどうしても諦めることができなかった。サリヤは夢を実現するため、一世一代の“大芝居”を打つ!なんと目が見えないということを隠して、ミュンヘンにある最高級5つ星ホテルで見習いを始めるのだ。

主人公のセリヤは高校時代、突然、目が5%しか見えなくなる。映画の中でも彼が見ている(見えている)であろう視界の映像が出てくるのだが、うっすら人物のシルエットがわかる程度。文字も拡大して、ルーペで拡大しないと読むことができない。今まで見えていたものが見えなくなる。すごい恐怖だろう。想像しただけでビビる。

先天的な目の病気のため手術をし、わずか5%の視力が残ったセリヤは、家族の支えと自身のたゆまぬ努力で高校を優秀な成績で卒業する。その後、子供の頃からの夢であったホテルマンを目指し、履歴書を送るがすべて不採用。学校の先生(だったかな?)からも「障害者には5ツ星ホテルで働くなんて無理だ」と言われるが、「障害者は夢を持つこともできないのか?」「ボクは夢をあきらめない!」と決意し、障害者ということを隠して履歴書を送る。

すると、ミュンヘンにある5つ星ホテルの研修生として採用される。その研修で偶然出会ったマックス(女好きでお調子もの、頭の回転が早く気の良いヤツ)の助けを借りながら、目が見えないことを隠し、持ち前の明るさと努力で、気難しかったり厳しかったりするホテルんの先輩スタッフや同期からの信頼を勝ち取り、ホテルの研修課題を次々とクリアしていく。

助けを借りると書いたが、セリヤとマックスは互いが互いに出来ること、得意分野で助け合うのである。イーブンな関係。障害があるとかないとか関係なし。その助け合い方が男の子ならではのイチャイチャでとっても愛らしいのです。一見の価値ありですぞ。

ただ、この研修課題をクリアするための努力が並大抵のものではないのです。私もその昔、高級ホテルで配膳のアルバイトをしていたのでよーーーくわかるのですが、ホテルの仕事は覚えることが多い上、専門性が高く、重労働で体力勝負。さらに5つ星ホテルという格式を守るため、接客にもかなりのスキルが要求される。普通に目が見えて、きちんと努力ができる人でもついていくのは大変なのです。配膳の仕事だけでも大変だったのに、ホテルの仕事を全部覚えるなんて……私には無理!!

そんな大変な研修の中、信念を持って、明るくひたむきに努力する主人公はとても眩しく、人を惹き付ける引力を放ち、自然とまわりに人が集まってくるのです。そういうオーラを放っている人には、恋もついてきますね。セリヤはたまたまホテルの裏口にいた時に鼻歌を耳にします。その声に惹かれ恋に落ちるのです。そして、その声の主も彼のことを気にかけているのです。

その証拠がこちら!

女って「ちょっといいな♥」と思ってる男の人から声をかけられた時、こんな顔するよね。したり顔ってやつ。自然とこういう顔になっちゃう生き物なのです。わかるよ、なるよ、その顔に!!しゃーない。

さて、物語では順風満帆だったセリヤに困難が襲いかかります。人生って本当にままならない。真面目であろうが、いい人であろうが、悪い人であろうが、関係なく試練がやってくる。「神様め!それはないわぁー」と思うような事件が勃発します。

障害や人生に対して変な気負いを持つのではなく、それを受け入れて(…って、このあたりが主人公セリヤが常人ではないんですが……。普通は障害を受け入れるのが大変…)、自分らしく正直に進んでいくセリヤの姿は見ている人の気持ちも明るく照らしてくれます。そして、いつの間にか自分も人生を楽しみたくなる気持ちにさせてくれるのです。

邦画の一ジャンルにあるような感動系の映画とは一線を画していて(disりですよ)、「感動させてやろう」とか「こういうの(感動系)が好きでしょ?」みたいな押し付けがましさが一切なく、一人の男性の人生が丁寧に描かれていて、見ていてとっても清々しい。こういう映画が見たいのよ、私は。感動なんてしたければするし、したくなければしないし、できない。人の感情の動きなんてコントロールできない。ほっておいてちょーーだいって感じ。

人生って障害があるなしや、余命がどうのこうのとかに関わらず、どんな人生にもドラマがあるし、尊いものなんだろうなと思った次第です。

#映画 #コラム #映画評 #5パーセントの奇跡 #003 #2018年

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