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左利きでも使える0.3細字ボールペンは?試筆のポイントも
私が書くボールペン関連記事では、「左利きの人はボール径が0.4mm以上のものを選ぶと、インクがかすれにくい」と言っている。
これは、左利きの人の場合、横画を押すように書く“押し書き”のため、ボール径の小さなボールペンは、ボールが上手く回らない傾向にあるためだ。そのため、インクがかすれたりとぎれたりする。
ただ、左利きでも手帳などでもっと細い線を書きたい人もいるだろう。そこで、左利きである私が個人的に使いやすいと思った細字のボールペンを紹介したい。
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左利きが細字を使うなら、ボールペンを正しい筆記角度で使う
日本筆記具工業会によると、ボールペンで書くときの適正な角度は、60°~90°だそう。
いつまでも快適な書き味を持続するためには、筆記時にボールにかかる力を受座が正しく支えられるような筆記角度、すなわち60゜~90゜で筆記するのが理想的です。
また、あまり寝かせて書くと、ボール保持部の外周が紙面に当たって磨耗し、ボールがとび出す等の原因になります。
左利きの方は、文字が手で隠れないように、インクをこすらないように、と変わった筆記角度になりがち。しかし、細字のボールペンはボールの直径が小さく、紙との設置面が少ないため、さらに筆記角度に気を配らなくてはいけないのだ。
左利きの方におすすめな細字ボールペン3本
個人的に試したなかで、比較的安定して書けた細字ボールペンを紹介する。感覚としては、「インクのなめらかさ」と「ペン先の性能」を売りにしたボールペンは使いやすい傾向にある。また、横書きのときに書いた文字が手に当たってしまうので、「インクの乾きの早さ」も重視した。
ただし、左利きと一口にいっても、さまざま書き癖や筆圧の人がいる。実際のところ、ボールペンの合う合わないは試筆してみないとわからない部分が大きい。あくまで参考程度にとどめてほしい。
ちなみに私は、「筆圧:普通 筆記角度:60°」であまり書き癖のないタイプだ。
1.ジェットストリーム スタンダード 0.38|三菱鉛筆|税込¥165
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書き心地 :スルスル
インクの乾き :早い
インクのかすれ:書き出し時にたまにある
替え芯 :あり
最初に紹介するのは、三菱鉛筆の油性ボールペン「ジェットストリーム スタンダード」。私の場合、インクの立ち上がりが悪いときがあるものの、基本的にどんな紙にも安定して書ける。
かなりスルスルした書き心地なので、感熱紙などのツルツルした紙にはペン先が滑りやすいと思う。その代わり、ざらざらとした紙にも書きやすいのがポイント。
ボディのカラバリがあり好きな色が選べる。取り扱い店舗が多く、安定して手に入るのがうれしい。
▼ジェットストリーム スタンダードはこちら。
2.エナージェル エス 0.3|ぺんてる|税込¥110
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書き心地 :カリカリ
インクの乾き :早い
インクのかすれ:なし
替え芯 :あり
次に紹介するのは、ぺんてるのゲルインキボールペン「エナージェル エス」。エナージェルシリーズは、さまざまなボディのものがあるが、こちらは一番安価なタイプ。替え芯は共通なので予算や好みに応じて選べる。
私の場合、基本的にどんな紙にも安定して書ける。速書きしても安定してインクが出るのでありがたい。
エナージェルシリーズはなめらかな書き心地が長所だと思うのだが、個人的に、ボール径が0.3mmのものに限って、カリカリとした書き心地に感じる。人によってはそこが気になるかもしれない。
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注目したいのが、エナージェルシリーズの0.3mm替え芯に「ブラウン」と「ブルーブラック」があること。手帳で使うなら黒以外のインクを選びたい、という方には朗報だろう。
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エナージェル クレナは、始めからボディに「ブラウン」と「ブルーブラック」が搭載している。
3.フローチューン0.3|ぺんてる|税込¥330
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書き心地 :ヌルヌル
インクの乾き :早い
インクのかすれ:なし
替え芯 :あり
最後に紹介するのは、2024年6月27日に発売された、ぺんてるの油性ボールペン「フローチューン」。その名の通り「浮遊感のある書きここち」を売りにしたボールペンだ。
先ほど、「エナージェルはボール径が0.3mmのものに限って、カリカリとした書き心地に感じる」と書いたが、フローチューンはボール径が変わってもヌルヌルとした書き心地。速書きでもかすれないのがうれしい。
後ほど紹介するが、ざらつきのある紙とはやや相性が悪い。最近発売されたものなので、取扱店が少ないのもネック。
▼フローチューンはこちら。黒・赤・青の3本セット。
ボールペン筆記比較
普通に書いたとき
使用用紙:コクヨ キャンパス ルーズリーフ ノ-G836S-5N(70g/㎡)
5mm方眼罫
【表面】
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どのボールペンも安的した書き心地。
【裏面】
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どのボールペンも裏抜けがない。
使用用紙:菁文堂手帳用紙(58.1g/㎡)
【表面】
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どのボールペンも安的した書き心地。
【裏面】
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裏抜けこそしないものの、書いた筆記線が透ける。薄い紙に「なめらか・黒色が濃い」インクを使う場合は避けられないのだろう。
使用用紙:3M ポスト・イット® ポップアップノート
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ややざらざらした用紙のためか、フローチューンがかすれてしまった。ジェットストリーム、エナージェルのインク乗りは良好。
速書きしたとき
使用用紙:コクヨ キャンパス ルーズリーフ ノ-G836S-5N(70g/㎡)
5mm方眼罫
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速書きのアップ
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画像ではわかりずらいが、ジェットストリームの立ち上がりがややかすれる。とはいえ、不満を感じるほどではなかった。
エナージェルとフローチューンはかすれることなく書けた。個人的に、フローチューンは速書きにもかかわらず、万年筆の金ペンのようななめらかさを感じた。
修正テープを使ったとき
使用用紙:コクヨ キャンパス ルーズリーフ ノ-G836S-5N(70g/㎡)
5mm方眼罫
修正テープ:プラス ホワイパーサーラ
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左利きがボールペンで起こすトラブルの一つに、引いた修正テープを押し書きで穴を開けてしまうことだ。細字ボールペンの先が鋭利なために、さらに難しいのである。
修正テープアップ
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ジェットストリームは、修正テープの上からでも穴を開けることなく書けた。一方、エナージェルとフローチューンは少し穴が空いてしまった。
まとめ
どんな状況でも安定して書きたい→ジェットストリーム
速書きしたい→エナージェル、フローチューン
滑らかな筆記感(ヌルヌル)→ジェットストリーム、フローチューン
しっかりとした筆記感(カリカリ)→エナージェル
ジェットストリームは比較的どの条件でも安定して書けた。長年人気なのもうなずける結果だ。次点としてエナージェルも安定して書けた。修正テープ以外はインクのかすれもない。個人的にフローチューンの書き心地が一番好きなのだが、ざらつきのある紙には弱いようだ。
ちなみに、「左利き、ボール径が0.3mm」の悪条件で試しているため以上の結果になったが、右利きの方やボール径のサイズを上げた場合は、もっと安定して書けると思う。
左利きこそ押さえたい!ボールペン試筆のポイント
3本のボールペンを選ぶためたくさん試筆した経験から、試筆のポイント3つをお伝えしたい。
1.使いたいノートや手帳に書く
試筆用の紙は、比較的ボールペンのインクが乗りやすいものを使っている。そのため、店舗で試筆してよかったボールペンでも、違う用紙の場合書きずらいことも。できれば、使う予定の手帳やノートに書くのをおすすめしたい。
2.普段の筆記速度で書く
試筆の場合、時間に余裕があるためゆっくり書く方もいるだろう。しかし、実際には速書きでメモを取る方が多いかもしれない。紙の滑りやインクのかすれ具合は筆記速度にも左右されるもの。だからこそ、普段の筆記速度で試筆すると安心だ。
3.よく使う文字、押し書きの多い漢字を書く
普段は文字を書くためのボールペンなのに、試筆のときに「線をぐしゃぐしゃと引くだけ」ではわからないだろう。なので、試筆のときはよく使う文字を書くのがいい。併せて左利きの方は、押し書きの多い「横画の多い漢字」や「画数の多い漢字」も書くとインクのかすれ具合がわかりやすい。
左利きのボールペン選びはとにかく試筆が大事
何度も書いてしまうが、左利きと一口にいっても、さまざま書き癖や筆圧の人がいる。そこが口コミに頼れない、左利きのボールペン選びの難しさだ。だからこそ、状況が許せばボールペンは試筆して選んでみてほしい。
余談ではあるが、今年も「OKB(お気に入りボールペン)48総選挙」がある。ボール径が0.3mmのボールペンのエントリーは多くないものの、握手会という名の試筆が堂々とできるので、会場が近い方は行ってみてほしい。
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文具マガジンやっています。道具として使っている文具と、完全に趣味趣向の文具、どちらも好きで紹介しています。
▼「左利き向け文具」記事まとめはこちら。ボールペンや万年筆など書く文具から、ハサミや定規まで幅広く紹介しています。
▼「左利きに使いやすい文具とは?」を探求しています。こちらは難易度高めのつけペン選び。
▼書き癖が強い人は、筆記角度が変えられる万年筆を使ってみるのもおすすめ。
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