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ケに傾いた日々にちょうどいい810s「PROO」

いいものを永く使いたいと思ったけど

「いいものを永く使う」

頑張ってお金を貯めて、自分が買えるレベルのいいものを使うのが、私のモットーだった。革靴は1日履いたらブラシをかけて、月1回クリームを塗って磨く、そういう生活が理想だったし、実際そういう生活を送ってきた。

ところが、子供が3歳を過ぎるころ、どうもそういう生活を送れなくなってしまった。体力がついてきた息子の公園遊びには、どう考えても革靴は合わずスニーカー一択だ。履いてきたところで、思いっきり遊べないのなら本末転倒だ。

さらに在宅ワーカーになり、このコロナ禍で外出といえば、家・保育園・公園、せいぜい出かけて近所のショッピングモールだ。わざわざ革靴を履くほどの外出をしない。あえて日常に履いてもいいんだろうが、たまに履いてお手入れするのも面倒だな、と思ってしまう。私は、夜な夜な革靴を磨く体力を失っていた。

これが悪いことだとは思っていない。息子と一緒にスニーカーで公園遊びする時間は、人生の中では一瞬で過ぎていくだろう。革靴はお手入れして保管しておけば、いつか履くタイミングもできるだろう。ただ、ハレとケの、ケの部分だけで生きるのはつまらなくなってきた。日常でもちょっとクラシカルな靴を履きたい。

とはいえ、安っぽく見える合皮の靴に中途半端に手を出すくらいなら、履かない方がいいという面倒くさいこだわりがあった。

810s「PROO」

日本のメーカーとして長らく靴作りをしている、ムーンスターが手がけるブロダクト、810s(エイトテンス)。ファッション雑誌で(Beginだったと思う)で見かけて以来、シンプルで洗練されたデザインなのに、手に取りやすい価格なのでチェックしていた。

2021FWコレクションをそれとなく眺めていると、なんとも理想的な靴があるではないか。

ローファーライクなデザインで、ソールまで統一したカラー。この手の合皮靴は、ブラックのボディにホワイトのソール、スリッポンとしてゴムが剥き出しになっていることが多い。それはそれでストリートの流れを汲んでかっこいいのだが、私が欲しいのはクラシカルな靴だ。

キッチンシューズをルーツに持っているので、油や水に強く、ソールが滑りにくい。お値段¥ 6,600(税込)。公園遊びにも行ける。予算も許容範囲だ。

これで質感の良い合皮だったら、子育て中にぴったりの靴なのでは……?

早速ネットでポチって届いた品は、まさに理想通りだった。

不自然なツヤ感がなく、落ち着いた質感。合わせた縫い目もデザインとして美しいのだ。それでいて足を通すとスニーカーのような履き心地。足首に適度なクッションも効いている。公園遊びで砂だらけになった後も、かたく絞った濡れぶきんで拭けば元通りだ。

側部にワンポイントで入っている情報タグは、好みがあるだろうが、遊び心があって私は好きである。

まさに810sが掲げている「日々にちょうどいいフットウエア」。革靴をお手入れする余裕がないけど、おしゃれな靴を履きたい人におすすめしたい。ケに傾いてしまった日常に、ハレの心を取り戻す一足だ。


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