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月曜モカ子の私的モチーフvol.242「”大いなるバカの日”に」

先週末に3日間かけて女主人生誕祭を行いまして、その中で「スピーチ」をしましたので今日はそのスピーチの内容を月モカにしたいと思います。

<大いなる馬鹿の日に>
今日、2曲歌おうと思う。
こんな出だしで始まるスピーチを思いついて、
やっぱりそうだな、
わたしはいつも実は「格好悪いことがしたいのだ」そう思った。
たくさんの常連や親しい友人が「別に歌を歌う必要はない」ということをいつもわたしに言っていて、だけどわたしはレディオでも店でも歌を歌い続けている。だってそれは、わたしにとってファッションと同じで、TPO、時と場合の手段の問題なんである。

photograph by Horie-Mon(Today's all photograph)

伝えなくてはならなきゃいけないことがある、
という感覚をわたしは3歳くらいから持っていて、自分はたくさんの人に影響を与えるハルキムラカミみたいな芸術家になると思っていたけど、
それから40年が経って、わたしがしていることはこの根津の路地の小さな古民家に、明かりを灯し続けることだけだ。
けれども今それが最も自分にとって尊いことだと、感じています。
この店を始めてたくさんの人に承認されたので、スターになって承認されたいというような、くだらない自意識も心のそこから吹っ飛んでしまいました、いまここにいるみんな、ありがとう。クソみたいな過ちを繰り返すわたしを、切り捨てないでいてくれる栞やあなたや常連陣そしてレディオ相方がいて、店を続けることができている。

だからこそわたしは、今、格好悪くなりたい。
性懲りも無く下手な歌を歌って、そこにいる大概の人が付き合わされている気分になって、でもその中の一人が「こんなことでいいのならわたしにもやれるかも」と思う、格好悪い人間の代表になりたい。

目下スピーチ中女主人[2022.4.1]

昭和初期を研究し続けて13年になります。わたしの時代小説船パリは原稿用紙で500枚をこえたけれど昭和3年で止まったままです。
なぜかというと昭和4年のブラックサーズズデイから日本は転がり転がり戦争に突入していくからです。つまり「不幸」に向かって。

今、戦争が起きていて、わたしは10年前から戦争の気配を感じていました。
けれど良識ある大人たちはそれらをわたしの大げさなおとぎ話か、あるいは冗談だと思っていました。大げさな冗談が現実となった今、わたしは全ての良識ある大人を信じない。
わたしが強く感じていることは、来年のいま、ここで起きていることがこの国の戦争かもしれないということ。だとしたら今日の馬鹿騒ぎも、わたしのこの大げさなヴォードビルも、たしかな戦前の宴として、今ここにいるみんなの中に刻まれるでしょう。
わたしが格好悪くなってもやりたいことは、そういうことなんです。
この時代を生きたということを記録し続けること。
正しくなくても、たしかな肌感で。
2022年4月1日、大いなるうその日に寄せて。

来てくれてありがとう。愛を籠めて。 2022.4.1/ 中島桃果子

guitar/石川シン、piano/上山実

スピーチの後に歌った曲は忌野清志郎のJumpです。
清志郎のファンとして清志郎の歌が反戦デモなどに使われる(ファンでもない奴がデモのために利用してる)のを全然よく思っていませんのでこれは別に反戦のためにしたことではなく、いつでもわたしの中には忌野清志郎がいて、だから今、志磨遼平を愛している、ということなのだと思います。
2009年清志郎の死に、大げさでなく打ちのめされて灰色の毎日を送っていたわたしが出会ったのが、2010年、毛皮のマリーズでした。

↑”Speech ver”はArtistic PantieのYoutubeに載せました。

Artistic Pantieはわたしが2007年に立ち上げた女人藝術集団の名前で、今は名前だけ残ってる。
イエイ♪   

<モチーフvol.242「”大いなる馬鹿の日”に」2022.4.04>

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昨日のレディオは【ON AIR】ウィルスミスの平手打ちについて語っています。ウィルスミスの平手打ちというかアカデミーのいじりMCはもう古いんじゃない、って話。キングオブコントを見習ってアメリカのお笑いセンスもアップデートしてはいかがかな。

これについて忌憚なく話すときに「暴力を容認しているわけではありません」とか一言言わなくてはいけないのもなんか違うと思っています。物事を二極化でなんて今、語れるわけがないよ。

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☆モチーフとは動機、理由、主題という意味のフランス語の単語です。
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長く絶版になっていたわたしのデビュー作「蝶番」と2012年の渾身作「誰かJuneを知らないか」がこの度、幻冬舎から電子出版されました!わたしの文章面白いなと思ってくれた方はぜひそちらを読んでいただけたら嬉しいの極みでございます!