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今この手を離したらぼくは廃人になってしまうでしょうね、きっと(なんでもない日に短歌でタイトルをつける日記6/10~16)

好きな歌集から短歌を一首紹介しつつ、毎日の日記を書いています。
週のタイトルは自分で詠んだ短歌になります。

6月10日

わたしだけ道行くひとになれなくてポストのわきでくちをあけてる

『てんとろり』笹井宏之

来る者拒まず、という雰囲気がおもしろい短歌。ポストのわきで口をあけている人を思い浮かべるだけで、クスッとなる。

今朝は歯医者に行った。今日こそはマウスピースを受け取って、ぼちぼち歯医者通いにひと段落つくと思っていたのに、出来上がりのマウスピースが自分の口に合わず、もう一度歯型を取り直した。前々回の来院の際に、2回ほど繰り返して苦戦した結果、3回目はベテランの歯科衛生士に代わって歯型をとったというのに、今日も今日とてまた歯型をとるために、アホみたいに口をあけている。

EUROは見ないつもりだったのに、年払いのWOWOWが格安だったので、しょうがないからまたWOWOWでサブスクするかと思っていた。が、サブスク登録をかまけている間に、アベマがEURO全試合無料で放送を発表。結果としてだが、待ってよかった。というか、もうEUROを観る前提になってしまっている。

アホみたいに口をあけていると、次から次にエンタメが舞い込んできて、それを消費している間に今年も上半期が終わろうとしている。EURO何試合観ようかしら。

11日

ハイドンの羊あたまの肖像を見上げる夏の音楽室に

『水中翼船炎上中』穂村弘

夜中に眠れなかったこともあり、『アンチヒーロー』を見たり、『響け!ユーフォニアム2』を読んだりしていたから、日中はかなり寝不足だった。

読了した『響け!ユーフォニアム2』はまさに夏の吹奏楽コンクールが舞台の小説だったので、この期を逃して他にない短歌を選んでみた。音楽室の肖像を見つめて物思いに耽るような時間はぼくの青春には一瞬もなかった。
そもそもぼくが音痴ということもあり、音楽関連の物語はコンプレックスを刺激され、概ねポジティブに評価してしまっているが、それにしてもこのシリーズは際立っていい。

コンクールの光と影の両面を見事に物語に落とし込んでいる2巻のキーパーソンは、部活への出戻りを望む2年生の希美。彼女の復帰にまつわる部員間の交差する思惑は、ご都合主義に陥らない範囲のぎりぎりのリアリティを保っていて、その精度がすばらしい。

『アンチヒーロー』9話もおもしろかった。これはもう今から続編が望まれる。昨日も似たようなことを書いていたが、エンタメを次から次に消費する毎日。どうにかこうにか記録していきたいと思う。

12日

ゆっくりと翼を手入れした君はどんな風でもきれいに乗れる

『あなたのための短歌集』穂村弘

この短歌を選んだのは2回目。去年も9月にサッカー日本代表とテレビ中継の話の際にピックアップしている。

今年の夏も、日本人フットボーラーは次々にステップアップをしている。
これだけヨーロッパのトップレベルで活躍しているんだから、今の日本代表は弱いはずがない。

が、明らかにその勢いにフタをしているのが、代表の監督コーチ陣や伊東純也の代表復帰を阻む協会やスポンサー。今回の代表を見ても、召集メンバー発表の記者会見時の森保の言動も相変わらず不可解で、ウラにあるスポンサー的な事情が垣間見える。采配もせっかく久しぶりに試してうまくいった3バックを変えて、わざわざ機能不全の4バックに戻して、もうホントにただの気分でやってんだろうなと、ほとほと呆れてしまう。

アニメ『響け!ユーフォニアム3』の第10話では、夏の関西大会を前に内部崩壊寸前だったところで、主人公の久美子の演奏直前のスピーチが胸を打つ。若さと真摯さがあれば、スピーチはヘタでもいい。
でも、日本代表を率いる55歳ならスピーチはロジカルで巧みでなければならない。いつまで、メディア対応は苦手とか言って、ごにょごにょ言ってんのか。そこらへんの一般企業でも、ふたりにひとりくらいは森保よりうまく喋るだろ。

『響け!ユーフォニアム』小説の方は2巻を読み終わって、3巻を読もうと思ったが、3巻がない。すこし前に3巻買ったと思ったんだけど、探していたらスピン第7号を2冊買っちゃってたことに気づいた。最近は、三宅香帆さんの『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』も2冊買ってしまっていたし、こんなことばかりだ。

自分が風に乗れそうにないと、やたらと他者に求めることになる。
気をつけたい。

13日

はからずも春はあなたのはったりのうつくしくってねむる犬だね

『ビギナーズラック』阿波野巧也

平日5連勤の週末休みは、どうしても木曜日がきつい。

今日の午後はふらふらだった。

14日

無駄こそがすべてと思う消えていく雲に名前をつける夕暮れ

『水上バス浅草行き』岡本真帆

今週もよくぞよくぞ、よくぞ、金曜日まで辿り着きました。

今にも消えていきそうな雲だからこそ名前をつけて、束の間のひと時をともにする。

ぼくは仕事の全体像を掴むのが苦手だ。作業に集中しようとしても、全体像が曖昧なうちはなかなかエンジンがかからない。いざ目の前の作業に取りかかろうとしても、何かとムダが多い。今の仕事も、早くも同期が仕事を引っ張る役割を担っている一方で、ぼくはというと、いまひとつ何をすればいいかわかっていない。とりあえず、次の仕事何をしたらいいのか、はっきり教えて欲しい。

『響け!ユーフォニアム3』10話が好きすぎて、繰り返し見る。必要に迫られて、あすかに会いに行く久美子と、満を持して出てきたわりには案外あっさり終わるあすかとの部屋でのやりとり。そこがいいんだけど。あすかは久美子に言う。「ぎりぎりにならないと動かないのはいつものことでしょ。」
自分に言われているような気がする。もしかしたら、ぼくも主人公の器なのかもしれない。

明朝、EURO2024が開幕する。早く寝よ。

15日

手を握らないで人間にしないで ここが地獄だと気づいてしまう

『老人ホームで死ぬほどモテたい』上坂あゆ美

自堕落に過ごした午前中を取り返すために、午後は映画館にて『あんのこと』を鑑賞。

時折、時代の要請に応えるべくして世に出てきた人だな、と思うことがある。それはぼくが勝手に思っているだけなんだけど、勝手に思ってるからこそ、この人を追いかけたいと思う大きな原動力になる。

で、誰の話をしたいかというと、河合優実さん。この20年くらいのあいだに世に出た女性俳優の中でも、彼女の表情は『あんのこと』のような貧困をテーマに扱う映画に圧倒的にハマっている。特に、今20代の俳優は整った童顔ばかりで俳優個人に非はないものの、どうしても人を蔑むような演技をするときに迫力に欠ける。その点、河合優実さんは天性のものがある。これはもう演技がどうのこうのという話ではなく、ルックスによるところが大きいのだけど。

物語としても、比較的わかりやすくて、シリアスな中に時折くすっと笑ってしまうような場面も挟まっていて、いい映画だった。

16日

靴に泥かがやきながら乾くなら閉鎖の前の農場をゆく

『ビギナーズラック』阿波野巧也

早朝はEUROのイタリア×アルバニアを観戦しながら寝落ち。
朝は畑で草抜き。
昼は夜中のEUROのスペイン×クロアチアを観戦しながら寝落ち。
その後、読書しながらふらふら寝落ち。

夕方は筋トレ。

夜は『アンチヒーロー』最終回。最後まで、最高だった。
長谷川博己、かっこいい。

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