一人の国民から見たこの国の現状と未来について

はじめに

ここに書かれている内容は、政治も経済も素人の個人のものであり、
一般的でも専門的なものではありません。

国内経済について

経済成長しない日本と言われ続けて約30年。世界第2位の経済大国から中国に抜かれ3位へ。そして今年はドイツにも抜かれ、いずれインドに抜かれると言われており、近い将来日本は世界第5位に転落すると言われている。

世界第5位でまあ、すごいじゃないかと順位だけを見れば思えてしまう。しかし、3位だろうと4位だろうと実際日本に住んでいる中産階級と言われる世帯以下の日本人にしてみれば、オリンピックで日本が金メダルを◯個獲得といっているニュースを見ているのと大差がない。

中産階級以下の国民の暮らしはどんどん苦しくなっているというのは、おそらく一般的な見解と言ってもいいのではないかと思う。上がらない賃金、増税、社会保証費の負担増に加え、物価の上昇が追い打ちをかけている。

その中で政府の方針は基本的に増税、経済連の主張も消費税の増税となぜか負担増の傾向にあるようだ。一時金は所詮、一時金でしかない。これから日本がどうなっていくかということを想像すると、だいたいのひとは負担増、保証減と答えるのではなかろうか。

政府の財政の健全化は確かに必要なことだというのは、一般の国民でも納得する意見ではある。ただし、デフレが続く中、増税や社会保障費の負担を増やし続ければどうなるか、素人でもなんとなく想像がつきそうなものである。

経済の回復の兆しが過去なかったわけではないが、そのタイミングで消費税増税をおこない、回復の芽を摘む結果となったのはよく報道でも言われている。結局のところ、経済連も財務省も、日本経済の回復は現時点では望んではいないのではなかろうか。

財務省の立場からすると、経済成長による税収の増加が続けば、増税する理由が失われてしまう。経済連からすれば、賃金アップや下請け企業へ支払う単価の上昇などコスト増の圧力にさらされる。

逆にデフレの場合、今の財務省の言い分からすれば、国家の収入が足りないのだから国家支出は減らし、国家収入を増やす必要があるから増税する必要がある。企業からすれば、経済が低迷しているため投資や賃金アップは無理という事になる。

経済政策が間違っていたために、日本は30年ものデフレという異常な状態が続いていると言われているが、穿った見方をすれば、そもそも前提が間違っているのではないかとも思える。つまるところ、財務省、経済連などにとってこれまでの30年のデフレは予定通りの結果なのかもしれない。

ここ十数年で税金や社会保障費などは13%ほど上昇したというニュースも見た。2000年当初4割負担程度だったものが5割負担に上昇しているということです。税制調査会の報告を見ても、消費税は増税すべき。日本のサラリーマンは税制的に優遇されているため、もっと課税(様々な控除の削除)すべきと言うものだった。

ようするに、一定以上の収入がある裕福な方々基準で見ているのだろうと。さらに言えば、一定以上の高収入ののほうが税制的にも社会保障費負担にしても日本は優遇措置が取られているのだけれど。

税収で言えば一億円の壁と言われているもので、年収が1億を越えたあたりで負担率が下がる。社会保障費についても基本的には収入に応じて上昇するが、上限金額が設けられているため、実質的には一定以上の高収入の人のほうが負担率は低くなる。

岸田総理も一億円の壁を取り除くと言う看板を掲げ所得倍増を歌っていたにも関わらず、いつの間にかその看板は降ろされ、投資による資産倍増とう看板にすげ替えられている。そもそも投資できるほどの資産がない国民にはあまり意味のない政策で、それなりに高収入の国民にしか恩恵はない。

総理の話が出たついでに、現在の政府は国民受けしそうな看板は掲げるが、実際には中身が伴わず、いつの間にか有耶無耶になるか、異次元、まさに庶民の斜め上を行く政策に走るか、もっと悪い場合は一億円の壁の例のように、次の看板を掲げた影でその看板をそっと降ろしている。

政府の信用は地に落ちているようなものだけど、自民党政権はこれかも続いていくんだろうね。なんせ日本は高齢化がすすみ、税金を収めない年金生活者のほうがあっと的に多い。つまり、そちら保持票数のほうが多いということである。さらに言えばあ、政治献金をするのは当然、金のある組織・個人なのだから。

話が少しそれましたが、政府にとって予定外だったのは世界情勢の不安定化による急速なインフレの方だったのではないでしょうか。昔から日本は計画を立て予定通りに行動することは優れているが、予定外の出来事に弱いと言われている。一度立てた計画を柔軟に変更することが、組織的にも人材的にも適応できていないため、一度立てた予定を簡単に変更することができない。

そのため、一時しのぎの対応を行いながら予定通り無理に事を進めようとして失敗するか、そもそも対応できずに破綻するか。現状起きているのはそう言う事ではないかと思えてしまう。

現状ではとても日本の経済が再び成長するという未来は想像しにくい。GDPのように日本全体としてみた場合の成長があったとしても。日本の企業の9割は中小企業と言われており、残り一割の企業に勤める社員の給料は上昇しても、残り9割の企業に勤める社員や非正規社員の給料が変わらなければ、結局国内消費は大きく落ち込むことになる。その影響を大きく受けるのは、大企業よりも残りの9割の中小企業である以上、裕福なものはより裕福に、貧しいものはより貧しく。そんな姿しか思い浮かばない。

現在続いているインフレについても。、よく言われるようにエネルギーや輸入品の価格の上昇に伴うコストベースのものであり、大半の中小企業にとっては収益が悪化しこそすれ伸びているわけではない、そこに人件費の上昇が加われば更に悪化の一途をたどる。

大企業も同じではないかと思われるかもしれませんが、大企業の場合、そのコスト増をあるていど転嫁できる先がある。それが先の中小企業、つまり下請け企業です。政府も対応を行っているとはいえ、どこまで行っているのか。

中小企業にしてみればコスト増、人件費増にくわえ少子高齢化などに伴う労働者不足。労働者から見れば、非課税対象者が収入が増えることによって課税対象となることや、課税のステージが上がることで税金や社会保障費が上昇することで、実質受け取れる賃金が減少してしまうと言う事も起きている。

経済は結局のところ消費者や投資家の気持ちの持ちようが大きく影響する以上、悪い未来しか想像できなければ、経済もその通りに動く。経済については政府に対する国民の信用は大きく低下している現状で、経済政策が失敗すれば、政府に対する国民の信用は当分回復する事はないだろう。すでに日本の経済は経済規模で言えば先進国と言えるが、実態は新興国と似たようなもので、違いは新興国は成長しているのに対し、日本は衰退しているという点ではないでしょうか。

少子高齢化の問題も、何も今始まったことではなくかなり前から言われていることです。ただし、日本の場合はそれに対する対策を放置するどころか、財政規律の健全化を優先するために、悪化させる政策が優先され続けているのが現状ではないでしょうか。

消費にしても投資にしても子育てにしても、無い袖は振れない。その一言に尽きるように思えます。今の日本の政府と大企業の行っていることは以前にも書いた気がするが、緩やかな自殺のようにしか思えない。

経済が回るということはお金が回ると言う事である。そのお金はどこから出ているかといえば、庶民の財布からであり、庶民の財布にお金を入れているのは企業や国家(公務員)。しかし、コストベースのインフレが進む日本の9割を占める中小企業でインフレ以上の給与アップする余力のある企業など殆ど無いだろう。

お金を回し始めるには、どこかがまずその負担を追わなければそもそも無理と言う事である。個人に借金をしてまでお金を回す余力があるかといえば無い。中小企業にそれができるかといえば無理。そもそもコロナのゼロ金利政策も終わり、これから借金を返していかなければ多い現状で。大企業にしてみれば、そもそも出資者がそのような事に首を縦に振るとは思わない。政府は財政規律の健全化をお題目に、財務省を中心に収支の黒字化を推し進めている。

日本政府(財務省)も大企業もむしろお金の回収モードの真っ最中である(20年近く回収モードを続けてまだ続ける模様)。政府は増税、大企業は社内留保の積み上げや株主への配当増など。そこにきて政府の資産倍増の謳い文句での投資の促進。つまり、政府はお金の回収政策をせっせと進めつつ、経済を回す金を庶民に出せと言っているようなものである。その投資も海外に多く向けば、意味がないのだけど。

インフレ下の安易な減税は、むしろ状況を悪化させることはイギリスの例を見ても明らかだけど、日本はイギリスとはかなり状況が異なる。30年近く続いている(もしくは続けられている)デフレにより、デフレマインドが染み付いている。染み付いているだけでなく、国民にも中小企業にもこれを自力で抜け出せるだけの体力(お金)もマインドもない。

となると、この先日本経済は縮小していくようにしか思えない。結果、税収が減り増税の声が経済界を中心に高まり、少子高齢化に伴い補償費の不足を補うためと、社会保証費の負担は増え、経済が弱くなば当然、円の信用も下がり円安が促進される。現在の不安定な世界情勢化ではエネルギー価格も更に上昇する気配しかなく、コストベースでのインフレによる物価の上昇は更に続きそうである。

日本の安全保障について

現状、中国経済もバブル崩壊が囁かれ続け、アメリカの経済も安定しているとは言い難く、ウクライナを起点としてた欧州の政情、イスラエルを起点とした中東の政情も不安低下の一途をたどり、南米、アフリカでもエネルギー、食料、肥料などの高騰からこちらも安定しているとはとても言ず、アジアにおいても中国・北朝鮮の存在が政情を不安定にしている。

グローバルサウスと言われる新興国にしてみれば、主に大国の振る舞いにより現状でも多くの問題を抱えているところに、更に追い打ちをかけられているようなものである。そういった原状を考えれば、国内のみならず世界的に不安要素のほうが多い。

外交に強いと一部で言われているけれども、現在の岸田政権での外交成果の殆どは、状況が転がり込んできたところに乗っかっただけではないかと言うのが、私の見解です。水面下では多大な努力が行われていたとしても、成功と言われるもののうち日本政府が主導的な役割を果たして成し遂げたというものが一体どれほどあるのか、甚だ疑問である。

国内経済に不安要素しかなく、世界が不安低下の一途をたどるなか、果たして日本はこの荒波を乗り切り、経済大国として先進国の一角を維持し続けることができるのか、それとも転落していくのか、今がその分水嶺にさしかかっているのではないでしょうか。

ウクライナの情勢は現状、好転する要素のほうが少なく。その状況は日本にとっても他人事ではない。ウクライナ情勢をめぐりアメリカ、欧州の混乱が加速すれば、G7の一角を占める日本もその煽りを受けないわけがなく、政情の不安定化は経済の不安定化も招く恐れが大きく経済の弱い日本はその影響をまっさきに受けることになる。中東問題もエネルギーの殆どを中東に依存する日本がその影響を受けないわけがない。

中国、ロシア、北朝鮮、イランの結束が強まり、影響力が強まればどうなるか、その3つの国のうち3つはアジア、日本のすぐ隣の国である以上、無関係ではいられない。日本は中国、ロシアとは領土問題も抱えており、日本の経済は中国への依存が高く、エネルギーに関しては中東にその殆どを依存している。

日本はエネルギー以外についても資源の殆どを輸入に頼っている。台湾問題や中国による南・東シナ海の領有問題は、台湾に近い先島諸島や南西諸島の問題だけでも、日本の米軍基地の問題だけでもない。日本の最大のシーレーンが脅かされるということでもある。それらの地域が中国の領土、了解となるということは、そのシーレーンを中国に抑えられるということでもあり、公海であるからこそ自由に民間船の航行が行えるのであって、中国の領海ということになれば、航行の自由が保証されるかは中国次第ということになる。

日本の防衛問題。ロシアのウクライナへの侵攻が契機となり、日本でも防衛費の増加や防衛施策の見直しが行われ、概ねに置いてその政策自体は国民にも指示されている。のこるは武器輸出問題である。日本はこれまで殺傷兵器の外外への移転を実質的に禁じてきたが、これについても改めて議論すべき時期に来ているのではないでしょうか。個人的に他のG7諸国と同じように、国益を考えた上での移転は許可すべきというのが私個人の意見です。

これは戦争で儲けようという意味ではありません。未だ人類は艦砲外交から脱却できていない以上、脱却を目指しつつも現状ではそのなかでバランスを取っていかなければならない。軍事力による抑止と対話による外交。情報収集と分析、経済、いずれも他国との関係を築いていく上で欠かす事ができない物ばかりです。

対話があれば軍事力はいらないと言うことにはならない。それは理想かもしれないけれど、現状は人類の社会はそこまで進んでいない。いまだ艦砲外交が盛んに行われている。この点は残念ながら、20世紀と何ら変わりがない。対話も戦争も相手があっての事のため、一方のみが軍事力を放棄しても問題の解決にはならない。

国会においても武器移転問題は秋以降の議論に持ち越すと言う結論になったが、現状では経済対策問題ばかりが取り上げられ、すっかり忘れられている気配しか無い。

国内問題も軽視できないが、現状では世界情勢は不安低下の一途を辿っている以上、そちらにも関心を向けなければいけない。それらの出来事について日本単独で解決できるようなものではない以上、いつまでも受け身のままでは、ただただ翻弄され続けることになる。

先に書いた通り、今が日本の先行きを決めるための分水嶺なら、いままで後回しにし続けていた武器輸出問題、憲法問題も早急に議題に上げるべきではと思われます。一言お断りしておくと、早急に議題に上げるべきと言っているだけで、早急に結論を出せと言っているわけではありません。先送りし続けるのが問題だと言っているだけです。

経済安全保障、エネルギー安全保障、食の安全保障、軍事的な安全保障。安全保障と名がつくものだけでも問題が山積みの上に、気候変動対策、さらに災害大国ならではの災害対策、いずれも日本国民の安全に関わる問題ばかりで問題が山積みである。

こうしてみると、いかに日本が様々な問題を棚上げにして経済発展を遂げてきたがわかるような気がする。まあ、その経済も盛大にコケて未だ立ち上がれずにいるのだけど。

現状、日本の最大の同盟国であるアメリカはウクライナ、イスラエルと2正面を抱えることで軍事的なリソースのみならず外交的なリソースも大きくそちらに割かざるを得ない状況にある以上、さらにアジア方面へのリソースを割り当てることは難しい状況にあり、ロシア・ウクライナ戦争もイスラエル・パレスチナ問題も短期間に解決する目処は立っていない。

ロシアはウクライナに対しそのリソースの大半を割かなければならないにしても、米国に次ぐ核保有国であり、中国はアメリカ、ロシアに次ぐ核保有国である。また、北朝鮮も少数ながら各保有しているであろうことを考えれば、アジアにおいて日本、韓国は3つの各保有国と向き合わなければならない。もちろん、両国ともアメリカとの同盟なしではこれらの脅威に向き合うう事は不可能である。

台湾有事については、主に経済的な理由により中国が台湾に軍事侵攻する可能性は低いと言われているが、経済的な理由が必ずしも戦争をしないと言う選択につながるとは限らない事は、ロシアによって証明された。特に独裁に近い国家においてはその指導者が決断すれば、それは実行に移される。昨今では中国は経済よりも政治的な事柄を優先するように変わってきていると言われている。

経済が何よりも優先されるという価値観は、資本主義国家の価値観であって必ずしも独裁的な非民主国家が同じ価値観を共有しているわけではない事は、今のロシアや中国を見てもそのとおりである。

イデオロギー、民族、宗教の対立だけでなく、国家指導者個人の価値観が戦争を引き起こすなどということが、現代において行われるとは殆どの者が予想していなかっただろう。しかし、大勢の予想に反してロシアはウクライナへの軍事侵攻に踏み切った。

アメリカ、つまりドル中心の経済圏を切り崩すのは、ただ経済的な発展と外交政策だけでは難しいと言うことは中国も理解しその上で、人民元中心の経済圏を築くにはどうすればよいか。近道は現在の経済圏に致命的な打撃を与え、アメリカを同じ土俵に引きずり下ろすことである。問題はその時、自分たちの権力が維持できるのか、その上で優位な形を作れるのかという点だけという見方もできる。

台湾有事が現実のものとなれば、中国への依存の高さのみならず、先のシーレーンの問題もあり日本の経済、エネルギー、食糧問題は急速にに悪化するだけでなく、経済規模で上位3カ国が大きな問題を抱えれば、世界経済に与える影響も半端なものではないような気もします。だからといって見逃せば、南シナ海、台湾海峡を通過するシーレンも中国の領海となり、日本の安全保障を中国に握られることとなる以上、日本としても見逃す事はできないと思われます。台湾有事は領土問題だけでも、日本に米軍が駐留し台湾有事の際に日本が前線基地となるということでもなく日本の安全保障に直結した問題だからこそ、台湾有事は日本有事であることを真剣に考えたほうが良いと、個人的には思っています。

台湾有事に際し、北朝鮮が韓国に同時に侵攻するということも全くありえない話ではないと思っています。戦争など、どの地域であれ、どの国の国民であれ、起きない方が良いに決まっていると大多数の人は思っているでしょう。それでも戦争は絶えずどこかの地域で起こっています。

世界が不安定化する中で、エネルギー、食料、軍事。その多くを他国に頼る日本はとても不安定な状況にあると認識して問題ないのではないでしょうか。たしかに戦後、日本は平和を享受してきた。デフレと言われつつも、それなりに豊かな環境で生活もできてきた。島国という大国としては特殊な環境下で暮らしてきた日本人は、海外の出来事にも概ね無関心だったような気がします。自分たちの生活に直接影響が及ばない限り。

ウクライナ問題などむしろ日本のほうが欧米より盛んにメディアに取り上げられているとも言われています。そういう意味では昔より関心を持つようになってきたのかもしれませんが、それらは遠くで起きている同情すべき事態ではなく、日本にも大きな影響を及ぼしうる事態であり、それは結局のところ日本人の生活にも直結している以上、これまで議論を避けてきた様々な問題についても、向き合うべきなのでしょう。

さいごに

結局のところ日本が変わっるかどうかは、政府云々というより国民の意識によるものが大きいのでしょうけれど、変わらないほうが良いこともあれば、変えなければいけない事があることも確か。世界は日本人の都合に合わせてくれるわけではない。

多様性は民主主義の利点であり欠点でもある。選択すること、選択しないことも自由である。ただし、何かを選んだとしても、選ばなかったにしても、その責任は最終的には自らが負う必要がある。

2023年11月06日


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