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【バリューから行動指針へ】全社一丸の策定プロセス

Mobile Order Lab(以下、MOL)では、2022年6月にミッションを、2022年8月にバリューを策定しました。そして2023年4月、これらを日々の活動にまで落とし込んだ行動指針が決定しました。
ミッション策定から約10ヶ月。その過程には、メンバーとのワークショップや1on1など、MOLらしさが出た場面がいくつもありました。

今回は、そんな行動指針策定を行ったわけやその過程と込められた想いを人事の岩水が代表の肥田に聞きました。


より強い組織になるために。ミッション・バリュー策定への想い

現在のミッション

岩水:もともとは“食体験の価値をあげる”というミッションがあった中で、改めてミッションを策定した背景を教えてください。

肥田:MOLは7期目の会社ですが、現在のメインプロダクトである「Ordee」ができるまで10回以上ピボットしています。飲食店の集客領域から始まり、そこからたくさんの方向転換をしましたが、ずっと飲食店を支援することだけはブラさずやってきました。そんななかで社会情勢とマッチして「Ordee」がぐっと成長し始めたのですが、これを更に伸ばしていくべきか、そうでないか判断ができないと感じたんです。

岩水:なぜ、判断ができないと思われたのでしょうか。

肥田:以前は「飲食体験の価値を上げる」がミッションでした。どちらかというとtoCを軸としていて抽象度も高く、「とにかく食に関わる体験をよくしよう」と社内で話していました。しかし「Ordee」が事業成長する中で、自分達が最終的に果たしたいことは具体的に何なのか、このまま伸ばすことがミッション達成に寄与するのか、改めて考えるきっかけになりました。業界を変革していくために社内の判断軸を明確にしなければならないと危機感が生まれたんです。
もちろん飲食体験の価値を上げたい想いは変わっていませんが、そのためにも今はtoBに特化していく必要があるという整理ができたため、「フードビジネスに新なスタンダードを創る」というミッションを策定しました。

岩水:toB特化への転換が大きかったんですね。続いて、ミッションに紐づくバリューについての考えもお伺いさせてください。

肥田:実はバリューを策定したのは今回が3回目なんです。過去2回はメンバー全員の価値観を洗い出して、大事にしてることや大事にしたいと思っていることをバリューとして定めてきました。しかし、そうしたプロセスだと事業の状況やタイミングによってすぐ変わってしまい、バリューとして機能していなかったんです。あとは私自身もバリューを機能させる意味をしっかりと理解できていなかったかもしれません。

その反省を経て、今回はまず「バリューとはミッション達成のために必要な価値観」と定義づけをしました。バリューが体現されていれば、自ずとミッションが達成できるという構造にしたことで、バリューを浸透させることがミッションの達成、経営戦略の実現に直結するようになりました。そして私自身のなかでも、会社を挙げてバリューを浸透させようという強い気概が湧いてきたように感じます。

3つのバリュー

トップダウンでないからこその課題を解決するために

岩水:先ほど、バリューを機能させる意味を理解できていなかったかもしれないとありましたが、必要性を理解できたきっかけはどんなことでしたか?

肥田:私たちのようなスタートアップで仲間を増やすとなると、一般的には中途採用が主体です。会社規模の違いだけでなく、内資や外資、はたまた全く異なる商慣習の業界など、さまざまな場所から多様なバックグラウンドを持った方がやってきます。そのため、一人ひとりの考えるスタンダードに差異があり、徐々にその違いがズレに繋がりつつあるのを感じていました。

また、組織が大きくなるにしたがって役割ごとのズレも起きるようになりました。営業は売上を上げたい、プロダクトマネージャーは本質的に価値のあるプロダクトがつくりたい、エンジニアは効率的に開発がしたい、などこれらはすべて間違っていません。ところが、それぞれが正しいことを主張するけれど、すべてを実現させようとするとコンフリクトが起きてしまうことがあります。そういった場面で折り合いをつけるために私がやるべきなのは、どういう姿勢で考えることが是なのかを示すことです。そこでMOLにとって正しいことを言語化する必要を感じたんです。

岩水:MOLにコンフリクトが生じつつあったのはトップダウンと対極の組織体制ということも大きそうですよね。一人ひとりが自走するだけでなく、チームとしての動きが求められるとなると、共通ルールは非常に重要だと思います。

肥田:たしかにそれはあるかもしれないですね。その意味で言うと、バリューもそうですが、すべてにおいて言葉の定義がすり合っているかもすごく重要です。特にバリューは抽象度の高い言葉です。実際に一人ひとりの認識がフワッとしていて、共通認識を得るために作ったのに共通認識がまったく形作られていないという問題が発生しました。たとえば何が「Make a change」なのかをきちんと決める。そうして推奨する具体的な行動を示すことで共通認識を作っていくために、行動指針の策定を決めました。

ボトムアップで進めた行動指針策定

岩水:行動指針を決めるまでのプロセスにも、MOLのボトムアップという特徴がよく現れていると感じました。

肥田:できるだけ大事なことは全員で決めたいし、自分たちで決めたものだ、信じるべきものだという感覚を持ってもらうためにこうした工程にしました。

ミッション、バリュー、行動指針の策定プロセス

一泊二日の全社合宿を実施して、なぜ行動指針が重要なのかや、そのためにメンバーに何をしてほしいかを話した上で、みっちり行動指針について考えてもらいました。

具体的には何をしたかというと、まずチームごとに実際にどんな行動がよくてどんな行動はよくないのかをバリューごとに洗い出してもらったんです。

全員でThink Hard!

そして集まったもののなかから、どれを体現できていればバリューを達成したと言えるのかを経営的な目線で統合・修正して、行動指針を決定しました。

岩水:行動指針発表後、1on1で再びメンバーの意見を聞いていますよね。これはどういった意図だったのでしょうか。

肥田:自己決定感を持ってもらうためですね。また、バリューのひとつに「Think Hard」があります。行動指針を決める過程こそ「Think Hard」であるべきだと考えて、改めて社員の意見を聞く形を取ったんです。そして全体で議論することも考えましたが、本音の意見が聞けないリスクがあるため、1on1を選びました。

行動指針から見るMOLらしさ

岩水:こうして策定した行動指針ですが、肥田さんから見て、このなかで特に重要だと感じるものはありますか?

肥田:会社として一番大事にしているのは「Make a change」なので、それに紐づく3つの行動指針ですね。

バリューのほかの2つは「Make a change」を正しく行うためのものなんです。なんでも変えればいいわけではなくて効果的な「Make a change」を行うために「Think Hard」があり、独りよがりな「Make a change」をしないために「Team Driven」があります。つまり、「Think Hard」や「Team Driven」そのものに価値があるのではなく、それを通じて「Make a change」することに価値があるという考え方です。

ちなみに岩水さんから見て、一番MOLらしいと感じる行動指針はどれですか?

岩水:MOLらしさで言うと「説明責任&質問責任を持とう」ですね。

人事の業務特性ゆえ、全社向けに施策を説明することが多いのですが、メンバーからはなぜ今取り組むのか、目的は何なのかをきちんと理解したいという気持ちが伝わってきます。関係者がそういった姿勢で真剣に向き合ってくれるので、人事としても事前にしっかりと考えきった上で丁寧に伝えていくことを意識しますし、やりがいをもつことができます。

肥田:それは役職・立場関係なくやっていきたいですよね。私に対しても質問責任を持ってほしいと考えています。社長の言うことだからと鵜呑みにしないでほしいし、私も何かをするときはみんなに納得してもらえるように準備をしています。メンバーからも「今それが本当に必要なんですか?」などと聞かれることもあり、とてもよい雰囲気ができているなと感じます。

こうするとスピード感が出にくい場面もありますが、やはり私たちが大事にしたいのは「Make a change」です。無限にやれることがあるなかで、今しようとしていることは本当に「Make a change」に繋がるのかを考えて、そう思えるものを確実に行っていきたいですね。

理想は行動指針が日常的な軸となること。行動指針浸透に向けた取り組み

肥田:浸透施策もこれから進めていくフェーズですね。

岩水:そうですね。そこは人事としても重点的に行っていきたいです。四半期に一度はバリューや行動指針について考える機会を設けたいですが、それとは別に日々触れる機会が必要です。理想は日常的な判断軸として行動指針が使われている状態です。そのための第1ステップとして、まずは四半期末での360度フィードバックや、日々のミーティングなどでライトに導入していきます。

理解実行促進のためのロードマップ

肥田:浸透に関してはまだ様々な施策を検討中なので、これから一緒にもっと形にしていきましょう。

岩水:はい。これから入社される方も含めたメンバー全員に、ミッション・バリュー・行動指針が浸透するように進めていきましょう。肥田さん、今日はありがとうございました。