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スマートモビリティチャレンジ2022【サマリー】

昨年に続き、スマートシティ関連事業の一部として募集がなされていた令和4年度(2022年度)のスマートモビリティチャレンジ対象事業が発表された。

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昨年の26事業からさらに減って、17事業が選定された。特に国交省の「日本版MaaS推進・支援事業」は6事業のみと厳選された印象。「MaaS」というだけでは予算が付きにくくなったとも言えそう。

スマートシティ関連事業は、この17事業に内閣府・総務省採択案件を加えて50を超える案件が採択されてるし、そっちにもMaaSぽい取り組みは含まれれてそうだから、今後はまとめてみていく必要があるかもしれない

日本版MaaS推進・支援事業(国土交通省)

1:芽室MaaS事業

継続採択案件。
タクシーを活用した乗合型オンデマンドを軸に、移動機会創出を目指す取り組み。

高齢化の進む過疎地域での実証であり、持続可能性に注目。

2:MaeMaaS(前橋版MaaS)

継続採択案件。
今年度は、路線バスの共同経営シミュレーション・運賃プール分配を取り入れる計画。

大手交通事業者も関わる実証であり、毎年新しい試みを取り入れている注目案件。

3:Universal MaaS

継続採択案件。
21年度までの取り組みを軸に、今年度は対象者・対象地域・参加自治体・企業を拡大する計画。

エリア跨ぎのMaaSは他であまり見ない形の実証。

4:観光型MaaS「三浦COCOON」

継続採択案件。
21年度は観光DXを中心にアプローチ。今年度は「温室効果ガス排出量削減効果の可視化機能」を実装し、カーボンニュートラルに取り組む計画。

非常に多くの関係者を巻き込んだ取り組みに発展している印象。

5:菰野町MaaS「おでかけこもの」

20年度以来の採択(21年度に応募したかは不明)
オンデマンド交通を軸に、おでかけのきっかけを創出し、地域の賑わいを生み出すことを目指す。

HPを見るとデジタルチケットも行うような準備中。

6:九州における広域MaaS

継続採択案件。21年度の宮崎の取り組みから今年度は九州全域に拡大
MaaSアプリ“my route”による展開を、未導入の各県を中心に面的に九州全域に整備する計画

他の取り組みが毎年の取り組みを深化させているのに対し、どちらかというと横展開に比重が置かれているプロジェクトという印象。

地域新MaaS創出推進事業(経済産業省)

1:北海道江差町

域内共通ポイントカードによる需要喚起し、オンデマンドバスによる住民の移動を促進する取り組み。

需要が限定的な地域の交通持続性は個人的に興味深いテーマ。

2:福島県浪江町

デマンドタクシーや路線バスなど、各種交通サービスのデータを活用し、地域交通網の再構築を図る取り組み。

こういった取り組みは地域交通の衰退を食い止めるために重要。

3:埼玉県入間市

継続採択案件。
高齢者の外出促進・ 健康増進効果を定量的に検証し、社会保障費削減効果の関係を可視化し、 運行コストに充当することを目指す取り組み。

健康増進とモビリティの組み合わせにとどまらず、社会保障削減を交通維持に使うというアプローチは珍しい。

4:長野県塩尻市

20年度以来の採択(21年度に応募したかは不明)
AIオンデマンドバス等の公共交通や自家用車による移動データ分析し、地域交通の最適化検討・課題特定・改善施策立案につなげる取り組み

オンデマンド交通を取り入れるだけでなく、そこから取得できるデータを他のデータと掛け合わせて活用する点は興味深い。

5:愛知県名古屋市

MaaSアプリとオンデマンド交通の配車システムを連携させ、情報発信・クーポン 発行等による地区内周遊促進効果を検証する取り組み。

名鉄が今春リリースした「CentX」案件。どのオンデマンドシステムと連携するのだろうか。

6:三重県6町

移動手段としての車両運用や行政サービスを組み合わせることで、医療・交通・行政等の各政策間でどのようなコスト負担が可能か探る取り組み

MONETが関連する唯一のスマモビ案件として興味ある。

7:奈良県川西町

コミュニティバスの再編に加え、パーソナルモビリティ(次世代型電動車いす)や予約型乗合タクシーを導入し、町内外移動手段を拡充する取り組み

複数種のモビリティを組み合わせることが、利用者側の移動意向にどんな影響を与えるかな。

8:鳥取県米子市、大山町、伯耆町

周遊性が低い大山エリアの観光振興に向け、複数の新たなモビリティサービスを導入し、利用者ニーズや採算性を検証する取り組み

数少ない観光客をターゲットとした案件。

9:愛媛県伊予市

20年度の採択案件とは別案件。
医療サービス(健康相談等)や生活必需品の販売などを自動運転車両で提供し、モビリティサービス×生活サービスの収益や財源の多角化を探る取り組み。

自動運転車両の社会実装に向けた案件。

10:沖縄県恩納村

観光客向けバスと住民向けモビリティを統合した「地域巡回バス」を新設し、自治体やホテル事業者による費用負担のあり方を検討する取り組み

個々に採算をとるのが難しいモビリティをまとめるのは王道のアプローチだが、利用者や関係者の受容性はどうだろうか。

11:沖縄県北谷町

自動運転レベル4の社会実装に向けて、ODD設定や遠隔監視の仕組み検討などを自治体・警察等、関係各所を含めた体制で取り組む。

今年度中にレベル4の公道走行が実現するかは注目したい。


今回はサマリーとして、各案件の概要をまとめてみた。
個々の案件についての詳細については、もう少し時間をかけながらウォッチしていきたい。

以上

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