見出し画像

くよくよ孤独のグルメ~味変っていつするの


ふふふ…
ナポリタンを前にほくそ笑む猪五郎。
ランチというには遅い時間、予定通りに猪五郎はナポリタンを前にしていた。

(猪五郎は酒も飲むしチェーン店にも入ります)

下品なほどケチャップまみれのナポリタン。
パスタなんじゃかない、スパゲティだ。いや、「スパゲッティー」だ。
なめちゃいけない。

猪五郎はひそかに素晴らしい計画を抱いていた。
その計画を前に猪五郎のほくそ笑みは止まらない。

猪五郎の計画


なんて無駄な目次の使い方。

猪五郎の計画。
それは『途中で飽きたら、粉チーズをたっぷり振りかけて味変する』というものだ。
完璧だ。完璧すぎる計画。
あまりに計画が完璧すぎて、それを実行することだけが目的のマニュアル人間が増えてしまったらどうしよう。
ひょっとして人間がAIの下請け化してしまうことのきっかけを作ってしまったのか。それくらい完璧な計画だ。


でも…(ここで猪五郎のくよくよが発動する)


でも、最後まで食べ飽きなかったら?いつ味変すればいいんだ?
もともとうまいんだからどんどん食べ進んでしまう。
食べ飽きないなら味変する必要ない。
 「今この時」を味わえばいい。

でも…このまま食べ終わるとナポ+粉チーズを味わわずに終わってしまう。
これはこれでうまいと分かっているのに。

2024年の今日この日、もう2度と同じ日はないこの日。
ナポ+粉チーズを味わわなかった日、として猪五郎の人生に刻まれていいんだろうか。

つけめんもそうだ。
半分に切ったかぼすが添えられてあってついて残り3分の1になったら絞れ、と書いてあるつけめん屋がある。
味変のタイミングをサジェストしてくれるだけ親切だが(おそらくnoteと同じAIアシスタントがついているのだろう)、もともとの味がうまくてやはりノンストップで食べ進めたかったら?
そもそもぴったり3分の2食べ終わったってどう分かる?「だいたい」なんてなまぬるいことを言って生き馬の目を抜くようなこの時代に生きていけるのか?

ナポやつけめんの日常食ですらそうだから「ひつまぶし」なんてご馳走は
「途中から味を変える」には大きなリスクを背負うことになる。
リスクを負わずに成功はない、なんて事をいう人もいるがその人はひつまぶしの味変リスクを背負ったことがあるのだろうか。
口先だけならなんとでも言える。情報番組のコメンテーターの正論で世の中が改善されたことなど一度もない。

「途中から変える」その途中とはどこだ!?

東京⇔大坂間で言うなら浜松も名古屋も熱海もすべて途中だ。
なんなら東京の隣の新橋も途中だ。
新橋を途中といっていいんだろうか。
大阪から東京に向かう車中で「途中からあなたの隣の席に綾瀬はるかが座りますよ」と言われていて、
わくわくしながらず~っと待ってたのに最後の最後で新橋駅から乗ってきて2分で終点東京駅についてしまったら?このわくわくはどこに持っていけばいいんだ。
「そうだそうだー」「説明責任を果たせー」
多くの声援やヤジで会場のボルテージはさらに高まる。
(新幹線で新橋は止まらないけど、なにせ逆上してるから)


猪五郎は気づく。
そんなことを考えながら食べていたらいつの間にか最後の一口をフォークに巻いてしまっていることに。
そのまま口に入れて味わう猪五郎。うまかった。

2024年の今日この日、もう2度と同じ日はないこの日。
ナポ+粉チーズを味わわなかった日。
手を伸ばせば届く距離にありながら(卓上なので)
それなのにすれ違う二人。
 
いつかまたきっと会える、
一人の時間は長すぎて走り出したいけど、
その日がくることを信じて待っていてくれ…

ぎゅっとパンチョのポイントカードを握りしめる猪五郎であった。

この記事が参加している募集

おいしいお店

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?