はじまり
「年は取りたくない」
と老人はよく言う。
うるせえな、と若者は相手にしない。
かつて私もそうだった。無視だった。
そして、時は流れた。
「年をとっても、いいことは本当にひとつもない」
と、この頃よく思う。
時々、中高年の女優が
「今の私が好き! 歳を重ねた美しさがある!」
と、『ミセス』などで言っているのを見かけるが、あんなのはウソである。
「くそ! この小娘(若くてちやほやされている、時の女優)、ちょっとくらい若いからって、いい気になっている! 私の若いころに比べたらあんたなんかこけしか通行人のくせに! このシワ、しみ、たるみ、変なイボ。全部加齢のせいであって、若かったら、お前ら(若い女優たち)なんか束になってかかってきても怖くない! しかし、何十年もの歳月が私から美しさを奪った………」
と苦々しく思いながらも
「今の自分が人生でいちばん!」
と笑顔(シワあり)で答える。
ということで、私は女優ではないが、時の流れは残酷だ、と最近思う中高年の一人である。
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