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藻塩
2023年3月23日 22:58
時刻はとっくの前に24時を回った。部屋で音を発するものは、俺が叩いているキーボードと、不規則に明滅する蛍光灯だけだ。 「一ノ瀬。進捗は?」 突然、背後から声を掛けられる。 「あ、志村さん。お疲れ様です」 彼女は気だるげな視線をこちらに投げ、缶コーヒーを一本こちらに差し出していた。 「ありがとうございます。進捗は…良くはないですかねぇ」 コーヒーを受け取り、言葉を返す。