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中学生が40日間でベンチャー企業のCFOを目指す 11日目「投資契約って何が書いてあるの?」

こんにちは、もひもひです。
昨日まで、当たり前のようにベンチャーキャピタル(VC)などの投資家がベンチャーに「投資する」と使ってた訳ですが、当然この投資という行為は「投資契約」という契約を締結することになるんですな。
なので今日は、この投資契約とはいったいなんぞや、という話をします。

主な参考箇所は、下記の本の第7章。


■読んで知ったこと
・アメリカのVCは、ベンチャーキャピタリスト個人の力量によるところが大きい。
 「パートナー」というVC個人が組成する合同会社(LLC)が、GP(General partner)と呼ばれる業務執行者になる。そして出資者(LP = limited partner)からの出資と合わせてファンドを組成する。
・日本のVCは、アメリカと比べ個人より企業の色が強い。
 社名だと、大手はジャフコ社や大和企業投資社など。その他、銀行保険などの子会社や、その他事業会社の子会社や、独立したブティック型のVCもある。
 各ファンドの形態(乗り物に喩えてvehicleと呼ぶ)は、株式会社・合同会社・任意組合などいろいろあるが、国内の大型ファンドはLPS(投資事業有限責任組合)という形態が主流。
 課税がパススルー(株式会社であれば会社が儲けた時点で法人税がかかるが、この形態だと組合が儲けた時点で税は掛からず、各出資者に利益が分配されたそこで掛かる)なのと、 GPは無限責任だがLPは有限責任なので出資者が安心(VCが投資するのは基本は株式だけなので、ファンド自身が借入などしない限りは出資者が無限責任を負うことはそもそも考えにくいが、とはいえ「より安心」ということ)。
・ベンチャーがVCに確認すべきところとしては、
 ファンドサイズはいくら(何億円規模)か、
 期限はあと何年か(通常7〜10年期限)、など。
・投資までのステップは、NDA締結→タームシート(法的拘束力はないが、だいたいどのくらい投資するか、持分何%かなど握った書面)締結→デューデリジェンス→投資契約締結→投資実行 が一般的。全部で余裕持って3ヶ月ほど。
・投資契約には、以下のことが書かれがち。
 -株式の募集内容
   -「表明及び保証」(嘘ついてないよ、ってこと)
   -取締役の指名(取締役のポジション=board seat) 。ちなみにVCは、取締役に就任してしまうと保有株式の売却がしにくくなる(インサイダーのため、四半期決算開示直後の年4回くらいしかない)ので、上場が見えてきたら派遣している取締役を引き上げることが多い。
 -上場に向けた努力義務
   -株式の買い取り条項(何年までに上場できなかったら株を会社と社長が買い取れ、という内容)
   -先買権(VCが株式売るときは会社や社長に先に買う権利があるよ、という話。第三者に勝手に株売られたら困るため。)
   -拒否権(3分の1未満の保有でも特別にVCが拒否権持ちたい場合)
   -優先引受権(例えば、VCが「10%出資するけど、以降も10%がキープできるよう出資し続けられるよう、優先的に株を引き受けさせろや」って話。あくまで「権利」なので、各タイミングでVCが引き受けるかはVCの判断。)
   -共同売却権(VCとして困るのは、社長が自分の株だけ売っ払って企業買収させる(VCの持ってる株式は買い取ってもらえず取り残される)こと。だから「社長が株式売るときはVCの株式も売るよ」と契約に定め、社長がもし買収交渉するときにVCの株も一緒に引き取らせるようコミットさせてる)

投資契約については、VCは得意領域でしょうが、ベンチャー側の得意不得意はまちまち。
相手が「プロ」なだけに、ベンチャーCFOとしてはしっかり知っておかなければ怖い部分ですね。

さて、明日は「優先株式」について読みます。

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