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あさうら
2024年1月27日 00:22
ものをつくると壊せなくなってしまうことがある。わたしたちはそれを繰り返して川のそばに街をつくった。だから街はそのうちに故人への灰色の感情で溢れかえってしまう。住人たちは漠然とそのことを知っていて、いつか来るその静かな時代を恐れている。やがて春がその巨大な足で崩しに来てくれるだろうから、雪像をつくることにした。神さまがどういうつもりなのかは知らない。つくることは祈りの双胎だったらしい。わたしたちは
2024年1月10日 01:49
朝 すこし頭痛がして 昨日のうち明け話を後悔した 中庭は 色彩が 揺れて わたしは 傘をしまうために外へ出た 立て掛けておいた傘がなくなって 水溜りだけ残っていた 春はありふれた悲しみに酷似している 傘泥棒のための 軽やかな呪文 部屋の 片隅は ひかり 窓辺は 人の庭で 色彩が揺れる