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孫子とチームとアジャイルコーチ

前置き

この記事はギルドワークスアドベントカレンダー23日目です。

株式会社RiseUPでエンジニアをしている上園です。 

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ここでは僕が所属するチームがどのように社内受託文化からアウトカムを設計し、自走できるチームになれたかを、孫子とアジャイルコーチを対比させながら解説していきます。
なお、あくまで個人的解釈での比較ですので専門家の方はまさかりではなく、温かい眼差しを送っていただけますと幸いです。

下記のような方を想定読者としています。

・事業会社だけど Dev と Biz が分断されており、エンジニアは"つくる"ばかりやっている
・チーム開発にチャレンジしてみたいけど、単独開発文化が残っている組織に所属している
・スクラムにチャレンジしているけど一向に楽しくならない
・アジャイルな働き方に興味はあるけど、何から変えればいいか分からない

TL;DR

・負けない組織を作るアジャイルコーチとしての洋さんは軍師であり、将軍でもある
・今の自己組織化したチームを形成するにはアジャイルコーチの存在がかかせなかった
・組織を変えるのはアジャイルコーチではなく、あなた

孫子とは

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孫子兵法家として知られる長尾一洋さんは次のように記されています。 

兵法の中の兵法、『孫子』は、最古にして最強と言われる兵法書である。
今から2500年ほど前、中国春秋時代の斉の国に生まれ、呉の国王に仕えた兵法家、孫武が著したとされる。

 (中略)

中国や日本のみならず西洋にも影響を与えていて、ナポレオンが孫子を愛読していたことはよく知られているし、近代では米国のペンタゴンでも孫子の研究が行われるなど、洋の東西、時代を超えて、軍事や組織統率、人間洞察における参考書として重用されてきた。
それも、孫子の中身に相応の価値がある証拠であろう。
この2500年も前の、古臭い古典を現代の企業経営に活かすべきだ。
数多の時代の変化を乗り越え、伝えられてきた、その智恵と叡智には学ぶべきヒントがたくさんある。
https://www.kazuhiro-nagao.com/suntzu/

ここから不確実性が高まっているとされるビジネスの現場で重宝される考え方は、同様に多分に不確実性を含んだシステム開発の文脈でも有効なのではないかと推測できます。

孫子と並び称される戦略の古典としては、18世紀後半〜19世紀にかけて活躍をしたプロイセンの軍人クラウゼヴィッツが著した「戦争論」があげられます。
戦争論の中では次のような記載があります。

戦争は他の手段をもって継続する政治の手段にすぎない

あなたが組織内で凝り固まった文化を壊したい立場にいるとすると、 古い考え方をから新しい考え方へ先導する場合、少なからず変化を嫌う層が一定存在するかと思います。
そこで変化を促す場合には政治的活動や、ときに戦争(対立する立場を動かす施策)も必要かもしれません。
であれば、政治的手段として戦争を利用していた時代に築かれた戦略手法も使えるのでは考えられます。

これらの内容から、組織の変革をともに後押しいただいているギルドワークス中村洋さんの取り組みを孫子と比較すると、アジャイルコーチは近似するロールだと見えてきました。

それでは、次項よりアジャイルコーチの支援前から、現在にかけてのチームの変化を、孫子の内容と照らし合わせながら見ていくことにします。

コーチ依頼前(2017年)

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当時のRiseUPは主幹事業であるモアコンの運営をEC事業部、開発をR&D統括本部で分けたオペレーション及び組織設計としており、エンジニアはEC事業部からの依頼内容を開発するといった、いわゆる社内受託の開発方法で働いていました。

当時の課題
・機能リリース後の成果がわからない
・開発アイテムの優先順位の根拠が不明
・工数見積もりの開発でストレスがかかる

これらの問題があった中で、どことなく"アジャイル"というキーワードに反応するようになり、エンジニアメンバー間でアジャイルサムライを読み揃え、見よう見まねでスクラムもどきに取り組んでみました。

なんちゃってスクラムの結果
当時の事業部ではエンジニアの評価がアウトプットで測られていたため、なんちゃってベロシティに追われるようになり、より開発が苦しくなりました。以前もしんどかったが、よりしんどくなった開発をなんとかしたく、藁にもすがる思いで DevLOVE関西へ参加し、ギルドワークスの洋さんに相談させていただいたという流れです。

洋さん「あー、よくある話ですよね。」

洋さんから返ってきた返事が想定していたより軽く、拍子抜けしたのを覚えています。それと同時にこれは洋さんに支援いただけると、何か突破口が見つかるかもしれない。
すぐに来社を依頼し、他のメンバーにも洋さんを紹介しました。
ちなみに当時はアジャイルコーチというロールも知らず、依頼したとしても具体的に何をしていただくかも分かっていませんでした。

洋さん登場(2018年2月5日)

この日から洋さんによる RiseUP への支援が始まりました。
もう2年弱になるんですねー。

はじめにアジャイルコーチというロールに対する期待値のすり合わせを行いました。 そして、まずは期待していいこととして次を挙げられました。

・アジャイル開発やウォーターフォール開発などの開発プロセスの知見全般
・これまでの経験で得た見える化や問題解決のためのアイデア
・様々な場でのファシリテーター
・チェンジ・エージェントの最初の仲間

次に、期待してほしくない2点の忠告がありました。

1. 銀の弾丸(ええ感じの道具)はありません
2. 決めるのは現場です

儚くも何か変わると期待していた甘い考えは葬り去られ、自分たちが変わらなければと覚悟が決まった瞬間でした。

自分たちなりのアジャイルなチームにたどり着くまで

取り組んできた内容、支援してもらった内容を時系列で紹介
ピックアップしてみたら結構な量あったので、概要だけ知りたい方は次の項目まですっ飛ばしてください。

2018年
2月

・今のやり方を確認(型としてのアジャイル開発との比較)
・スプリントプランニングの支援
・スプリントレビューの支援
・お互いの期待のすり合わせをしたい
・ユーザーストーリーマッピングを作るのを支援してほしい
・スクラムマスターの責任、役割、やる事などをコーチして欲しい
・ユーザーストーリーマッピングから初期のプロダクトバックログアイテムを作ってみる
・Doneの定義を話し合う
・今後の良いPBI作りのために、チームで作ったモアコンのインセプションデッキをレビューして欲しい

3月

・リファインメントからの見積もりのレビューをして欲しい
・ふりかえりで改善サイクルが回せてないと思うので、効果的なやり方をレクチャーして欲しい
・ドラッカー風エクササイズの振り返りをしたい
・チームの仕事のやり方について共通認識を作りたい
・キャパシティの見積もり方法を知りたい
・改善のためのプロセスメトリクス設計を支援して欲しい
・チームとして追うべきメトリクスをチームで決める
・仮説検証方法レクチャー
・技術的負債の共通認識が関係者でできている状態にしたい
・インタビュー方法をレクチャーして欲しい
・テストをモブプロでやってみる
・「カンバン」プロセスを説明し、カンバンを作る

4月
・ペアプログラミングについて理解を深める
・「モアコン速度改善」PJへの取り組み方
・仮説キャンバスを書いてみる
・コーチとしてステークホルダーにレポーティングをする
・モブプログラミングをやってみる
・今後の報告内容をより本質的なものにするため、ステークホルダーへの報告の振り返りをしたい
・自己組織化と説明責任、改善責任についてチームと考えたい
・SMの責任、役割について考える
・EC事業のカンバン作りを支援して欲しい
・運用を行っているEC事業部のカンバンをレビューして欲しい
・KPIツリー作成の振り返り
・ユーザーインタビューのフィードバックをしていただきたい
・プロダクトバックログを整備するのを手伝う
・ふりかえりの支援をする
・KA法のレビューと仮説キャンバスへの落とし込みを支援してほしい

5月

・3ヶ月ふりかえりとむきなおりをしたい
・RACIの作成を支援してほしい
・ステークホルダーへのレポート形式を決定したい
・アジャイルについてディスカッションする

6月

・リリース計画を立てる
・チームがうまくなってることをはかる分析方法を知りたい
・コーチとしてチームの説明責任と改善責任について話し合いたい
・リリース計画へのフィードバックを伝える
・新PJのインセプションデッキ作成をサポートしてほしい
・スクラムが向いてる組織、向いてない組織は何によって決まるのかを知りたい
・「カンバン運用の目的確認」について話す
・むきなおりをサポートしてほしい
・SMと一緒にみなさんと1on1したい

7月

・PBIをReadyにするサポート(新卒研修の一環)
・Scrumの価値、原則について話し合う
・リリース計画のプロセスについて話し合う
・リリース計画のUpdateMTGをしたい
・チームのスキル状況を見える化する
・経営者に定期レポーティングをしたい
・AWSの費用を下げる支援をする
・SMによるSMのためのディスカッションを定期開催したい

8月

・情報共有ツールの導入をどうするか聞いてみる
・皆のユーザー理解度を知るためにCJMを作ってみたい

9月

・改善の型を始める
・モアコンのカスタマージャーニーマップを作りたい

10月

・キャパシティにフォーカスした改善を考えたい
・中期的(3ヶ月くらい先)のチームの成長の姿を話してみる
・POの育成相談
・POトレーニングを開始する
・CI / CDの改善を考えてみる
・ユーザーテスト/インタビュー→仮説検証→プロダクト開発の話をする
・コーチとしてスクラムイベントをチームが理解して実施できるように支援する
・インタビュースクリプトを完成させ、インタビューの経験を積む
・仮説検証をプロセスに組み入れる

11月

・チームメンバーでジョハリの窓をやりたい
・ポストモーテムをすることで次のプロジェクトに引き継げる知見を言語化しておきたい
・客観的なデータ分析をできるようする(AARRR / ファネル)
・"組織アジャイル化計画"の状況をUpdateする
・ファン・ダン・ラーンのふりかえりのやり方を伝えたい
・「Lean Analytics」の話をする
・ブランチ戦略を整理する
・「ダイヤ/ポイント=ROI」の話をディスカッションする

12月

・プロダクトロードマップの相談
・価値ツリー→(KPIツリー)→リリース計画の施策→PBIをトレースできるようにしたい
・POの責任、役割についてレクチャーする
・むきなおりの一環としてSM、Devチームに対してありたい姿を話し合いたい
・事業責任者とPOのデリゲートが必要か話を聞いてみる
・チームとステークホルダーで権限委譲について明確にしたい

2019年
1月

・事業部横断的な業務フローを整理したい

2月

・チームの AsIs / ToBe を考える
・CSを根っこから改善する作戦を一緒に練って欲しい
・運営チームにマルチサイトゲームをやってみる
・運営チームとふりかえりをやってみる

3月

・「組織アジャイル化計画」のバックログを整理したい

4月

・新しい組織でのスクラムマスターの動きを話し合いたい
・CS・運営・開発のフローを整える

6月

・OutcomeDeliveryのデッキ(全セット)を見て議論をしてみてはどうか?
・モアコンチームで適用できそうな DevLOVE X の話を聞いてみたい

7月

・スクラムマスター相談会をもっとよい場にする

8月

・AgileJapanの越境系ネタで参考になるものがあれば共有してほしい
・増田さんへDDD研修について相談したい

9月

・チームのドラッカー風エクササイズをファシリテーションしてほしい(A面、B面)
・DevLOVE関西のフィードバックがほしい

10月

・TDD研修のためにt_wadaさんを紹介してほしい
・DevLOVE倉貫さん会の内容を教えてほしい

11月

・DDDを推進するために増田さんを紹介してほしい

チームの変化

2018年2月〜3月: 型インストール期
洋さんに支援いただくようになって始めは必ず座学の時間がありました。
そこではアジャイルとは、スクラムとは、なぜそれらが必要なのかなど、これからどういう戦い方を選ぶことができるのかといった考え方をインストールしていただきました。

孫子では己自身の主体的力量を検証するために、五つの基本要素をあげています。

: 民をして上と意をおなじくせしむるなり
: 陰陽、寒暑、時勢なり
: 遠近、険易、広狭、死生なり
: 智、信、仁、勇、厳なり
: 曲制、官道、主用なり

道とは、下々の人間を上に立つ者と一心同体にさせる理念
天とは、昼夜、晴雨、寒暑、季節などの時間的条件
地とは、行程の間隔、地勢の険しさ、地域の広さ、地形の有利不利などの地理的条件
将とは、知謀、信義、仁慈、勇気、威厳など将軍の器量
法とは、軍の編成、職責分担、軍需物資の管理など軍政に関する条件

洋さんからはまさにチームで戦うための五事を教わりました。

2018年4月〜5月: つかまり立ち期
このタイミングではよりうまく開発できる方法を知り、練習に励みました。
ユーザー視点でPBIを生成するためにカスタマージャーニーやユーザーストーリーマッピングに取り組んだり、全体感を把握するための仮説キャンバスを書いたり、自己組織化について学んだ時期でした。

孫子では不敗を保ち、情報格差を利用して勝てる戦に専念するというスタンスを取っています。
一般的に争いごとや、戦いというものにはどのような力が働いているかを引用してみます。

一、明君賢将の動きて人に勝ち、成功、衆に出づる所以のものは、先知なり
二、近きを以って遠きを待ち、佚を以って労を待ち飽を以って饑を待つ
三、激水のはやくして石を漂わすに至るは、勢なり
四、兵の加うる所、たんを以って卵に投ずるがごとくなるは、虚実これなり

1. 明君賢将が、戦えば必ず敵を破ってはなばなしい成功を収めるのは、相手に先んじて敵情を探り出すからである
2. 有利な場所に布陣して遠来の敵を待ち、十分な休養をとって敵の疲れを待ち、いっぱい食べて敵の飢えを待つ
3. せきとめられた水が激しい流れとなって岩を押し流すのは、流れに勢いがあるからである
4. 石で卵を砕くように敵を撃破するには「実」をもって「虚」を撃つ、つまり充実した戦力で敵の手薄をつく戦法をとらなければならない

これはつまり下の4つを意味しています。

1. 相手の不意をつく、裏をかく、といった情報や認識・判断ベースの力
2. 地の利や疲労、空腹などの環境・肉体ベースの力
3. 勢いや士気に代表される感情・精神力ベースの力
4. 兵員や物量の数や強さ、組織化の度合いに代表される物量・管理ベースの力

洋さんからはこれらの力を高めるための術を教わりました。

2018年6月〜7月: 開戦期
以前の社内受託の形からイテレーション型の開発に移行し、実験に対する成果をそろそろステークホルダーから突っ込まれるタイミングになってきていました。

孫子には名言的に有名な2つの節があります。

「兵は詭道なり」

 戦争とは所詮、だましあいに過ぎない
「彼を知り己を知れば百戦殆あやうからず」

彼を知り、己を知るならば、絶対に敗れる気づかいはない

ステークホルダーが先に望むことをこちらで観察し、うまい見せ方をして納得させる、というふうに解釈し、要は"ものは言いよう"を利用する選択肢を取りました。

非エンジニアがマネージャーだったため、技術的負債や品質評価、システムの複雑性に関しての議論がかみ合わないことがこの時期は多く見られました。その中でもステークホルダーが求めていた情報は「どれだけアウトプットがあるか」だったので、本質的ではないですが、計測を始めていたベロシティが右肩上がりになってきていたので、成果指標としてこのベロシティを利用していました。ここでチームとしてうまく開発ができていると認識をもってもらうことで、より実験がやりやすい環境を構築することができました。 

2018年8月〜12月: 独り立ち準備期
この時期はチームでもふりかえりを利用したカイゼンをうまくこなせるようになってきており、計測指標もアウトプットからアウトカムに変化してきたタイミングでした。

武田信玄で有名な「風林火山」の由来も孫子にあるのは意外に知られていません。

その疾きこと風のごとく、その徐かなること林のごとく、侵掠すること火のごとく、動かざること山のごとく、知りがたきこと陰のごとく、動くこと雷霆のごとし

ただ突っ走るのではなく、ふりかえりで立ち止まりカイゼンに向かう。そして走り出したからには全力で、を繰り返すことへの練度が高まってきていました。

またこのタイミングでアジャイルコーチとともにチームの成果を役員へ報告する機会を設けました。

「先ずその愛する所を奪わば、即ち聴かん」

敵の最も重視している所を奪取することだ。そうすれば、思いのままに敵を振り回すことができる。

この会で成果として求められていたアウトプットは何のために必要なのかを問い、必要ではないとの返答を手に入れられたことから、仕事のための仕事である報告のための指標取りや資料作成を手放すことができました。

12月にはPOが認定スクラムプロダクトオーナー研修(CSPO)へ参加したことも良い流れとなり、さらにユーザーにとって役立つプロダクトを作ろうという目的へ走り出すことができました。

アウトカムの計測にたどりつくまでの詳細はこちらをご覧ください。

2019年1月〜2月: チーム再編期
ここで予想外の事態が起こりました。
チーム内のエンジニアが複数名異動となり、新チームを結成する運びとなりました。幸いにもスクラム熟練者のSM、POは残すことができ、再度グループからチーム作りを行いました。一度経験していた流れを踏襲することができたため、比較的スムーズに新メンバーを含むグループをチームへ昇華できたのではないかと思います。

前述した五事の「道」にもあるように、この時期は開発よりもチームとしてあるべき姿を定め、そこに向かう体制を整えることに注力しました。

2019年3月〜4月: 独り立ち準備期 version.2
洋さんに支援に入ってもらってから1年以上が経過し、チームが目指す影響力の範囲がチーム内から外の組織へと変わっていきました。
そのため、アジャイルコーチへの相談内容もこれまでのチームとしてうまくなる方法から、組織をアジャイル化させるにはどのような取り組みが必要かといった会話に変化していきました。

4月には、これまで事業部横断的に組成していたプロダクトチームから、プロダクト軸で事業部化される組織再編によって同事業部内でプロダクトチームが所属することになりました。

「山林、険阻、沮沢の形を知らざる者は、軍を行ること能わず。郷導を用いざる者は、地の利を得ること能わず」

山川、森林、沼沢などの地形を知らなければ、行軍することができない。
道案内を用いなければ、地の利を得ることはできない。

これまではサイト内でのユーザー体験をメインで観察しており、サイト外のユーザの動きに関してはマーケティング部隊が担当していたため戦術選択の意思がチームの外にありました。
この組織再編に伴うマーケティング部隊を含むチーム同期により、サイト訪問前後を含めた施策を考えられるようになり、まさに呉越同舟な状態となることができました。

「智者の慮は必ず利害に雑う。利に雑えて、而して務め信ぶべきなり。 外に雑えて、而して患い解くべきなり。」

智者は、必ず利益と損失の両面から物事を考える。すなわち、利益を考えるときには、損失の面も考慮にいれる。そうすれば物事は順調に発展する。
逆に、損失をこうむりそうなときには、それによって受ける利益の面も考慮に入れる。そうすれば、無用な心配をしないで済む。

そしてPBIを設計する中で独自のテンプレートにもたどり着き、これまでのアウトカムの計測とともに、リスク検証も含むようになり、サービスとして総合的な戦略の意思決定をチームでできるようになってきました。

2019年5月〜現在: 自走&親離れ期
この時期には洋さんはモアコンチームだけでなく、全社的なアジャイル化の動きへ先導を切って越境してくれるようになりました。

モアコンチームも自走できるようになり、行き詰まったときのみ洋さんに相談するようになってき、5月には僕を含む2名が認定スクラムデベロッパー(CSD)を取得したことで、これまでのチーム活動から、よりエンジニアリング視点でのアジャイル化を進めるようになりました。

10月には @t_wada さんをご紹介いただき、社内エンジニア全員で TDD 研修を開催したり、現在はドメイン駆動設計の第一人者の増田さんに定期的にお越しいただき、DDD でプロダクトのリプレイスを進めています。

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さらにチームとしてはこれまで洋さんに鍛えていただいた経験をもとに、全社的な越境を進めていきます。

まとめ

「将とは、智、信、仁、勇、厳なり」

知謀: 先を見通し、謀略を駆使できること
信義: 部下から信服されること
仁慈: 部下を思いやること
勇気: 実行力
威厳: 部下から恐れられること

軍師であり、将軍的に動いてくれるアジャイルコーチの洋さんはまさにこれらの要素を持ち合わせており、

「兵士、甚だ陥れば則ち懼れず。往く所なかれば則ち固く、深く入れば則ち拘し、已むを得ざれば則ち闘う」

兵士というものは、絶体絶命の窮地に立たされると、かえって恐怖を忘れる。逃げ道のない状態に追い込まれると、一致団結し、敵の領内深く入り込むと、結束を固め、どうしようもない事態になると、必死になって戦うものだ。
「軍の衆を聚めてこれを険に投ずるは、これ軍に将たるの事と謂うなり」

全軍を絶体絶命の窮地に追い込んで死戦させる、これが将帥の任務である

一方で、ときに、そんなん言う?みたいな追い込んでくる発言や、ライオンの子育てのように崖の底に突き落としてくるときもあります。笑

「君命に受けざる所あり」

 君命には従ってはならない君命もある

トップダウンの意向だとしても、チームとしてやるべきではないと判断し、跳ね除けることができるようになったのは、自己組織化の考えのもと、洋さんに鍛えられ、チームで戦略を練れるようになった証だと感じています。

自分たちでプロダクトの舵をとり、アウトカムを設計し、ユーザの価値にフォーカスできるようなチームになるためには、アジャイルコーチの支援を心からおすすめします。

ちなみに孫子は今でいう戦略コンサルタントのように問題解決の実施を生業にする職種であったため、文書だけですべてが理解でき実施できてしまうと、己の存在意義がなく商売あがったりになってしまい、さらには敵国で同様の戦略が取られないように命が狙われる危険性もあったとのことです。そのため、孫子の兵法には実行に移すための肝心の部分が書かれておらず、本人がいて初めて役立つものとされていました。

そのためアジャイルコーチの全てはこの記事には書いていませんが、成果は存分に明らかにできたかと思います。
チームを変え、組織を変えたいと本気で考えている方は、ぜひこちらから洋さんに連絡してみてください。

「ええと思うなら、やったらよろしいやん」
の口癖とともにあなたのもとにやってきてくれます。

まとめ2

アジャイルコーチとともにチームや組織を変えるにはスクラムマスターの存在も大きいです。
その二者がRiseUPをアジャイルな組織へと変革を推進してくれています。

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ね。似てるでしょ。

参考図書

・最高の戦略教科書 孫子(日本経済新聞出版社)
・[現代語訳]孫子(日経ビジネス人文庫)
・孫子 (講談社学術文庫)


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