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アスリート紹介#1【池江璃花子選手(スイマー)】

世界の舞台でトップレベルの記録を残して活躍、その後一転し、昨年まで闘病を余儀なくされた20歳のアスリート。

病気に屈することなく、人前に出るときはありのまま、とびっきりの笑顔を見せる姿が印象的。

一言で表現するなら「強さ」。

その強さの秘密に迫ろう。


池江選手(以下、池江)は現在、週に3、4日はプールで練習。陸上トレーニングも取り入れながら調整を続けている。

「以前は一人で練習していたけれど、今はグループなので楽しいですね」

この6月から、池江は’16年のリオ五輪代表の持田選手、’18年アジア大会代表の山本選手とともに練習をしている。驚くべきことに、ハイレベルなこの仲間と同様のメニューをこなしている。

それでも他の選手が2部練習を行う中で、池江は1日1回の練習に留めている。

この練習に驚きがあるのと調整が必要なのには理由があるー。

’19年2月8日、白血病であることが判明し、直ちに入院生活がスタート。闘病生活は10カ月に及んだ。健康体で、元気に泳ぎ回り、幾多のスイマーたちのトップに君臨していた選手に起こった突然の出来事。「さらに強くなった池江璃花子の姿を見せられるよう頑張っていきたい」とコメントし、闘病を続けた。

現在20歳という年齢で、起こった現実を受け入れ、自身のメンタルをどのようにして維持し続けたのか。

「何があっても水泳を続けたいという覚悟だと思います。絶対にまた水泳をやるぞという気持ちで入院しましたから、そこで引退するという考えはありませんでした。これを乗り越えたら、また一段と強くなった自分が待っている。そう思って、とにかくまずはこの病気を克服して、乗り越えていこう。そういう気持ちでずっと過ごしていました」

突然のことを受け入れることに抵抗はなかったのか。なぜ自分が、と思うことはなかったのか。どうやってこの困難に立ち向かったのか。

池江は「私はとにかく病気に負けたくなかった」と、とにかく強い気持ちを持ち続けた。人のせいにもしたり、病気を恨んだりすることもしなかった。むしろ、この機会を「成長チャンス」と捉えていた。

「ネガティブなところから立ち直ってここまで気持ちを持ってこれたのは、自分自身の成長だと思っています」

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        (写真:毎日新聞 2020年7月2日


これから

退院後、医師から入水の許可が下りたのは3月。406日ぶりにプールに戻った。

少しずつ元の形に、いや新しい池江璃花子を作るべく鍛錬を重ねているのかもしれない。

池江は今の幸せをこう表現した。

日常生活

「普通に生活していること、自分で買い物に行ったり、好きな映画を見たり、やりたいことをやるということ。そういう日常が本当に今の一番の幸せであると思います」

気持ちは至ってポジティブ。

病気の経験すらもプラスに捉えている。練習のしんどさも病気に比べたらなんてことはない、と言い聞かせる。


背負うもの

若干ハタチのアスリートが同じような心境の人たちの想いも背負っている。

アスリートの気持ちも、病気になった人の気持ちもわかると感じている。人は、痛みを経験するとさらに強くなる。そして人の痛みを理解し、人に優しくすることができる。

池江自身もその回復が早い。驚異的に早いそうだ。

「水に入るようになってからは本当に回復が早くて、泳ぐことがすごく大事な筋力トレーニングになっていると実感しています」

やはり水に選ばれた子なのか。水中で徐々に感覚を取り戻してきている。

その根元にある部分、その姿勢はどんな気持ち、どんな心が支えているのか。

「水泳で大切にしていることは、絶対に負けたくないという気持ちをなくさないことですね。また活躍したいという気持ちもどこかにあります」

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         (写真:納富康)


ひとこと

神様がいるとするならば、神様は彼女にとてつもなく大きな試練を与えたと思ってしまう。でも『神はその試練を乗り越えられる人にしか与えない』という言葉がある。そしてそれを本人は誰よりも理解している。

池江選手ほど強い気持ちを持ち、自分にも競技にも取り組める人が世界に何人いるだろうか。ひょっとしたら池江選手はとてつもなく大きなスイマーになるのかもしれない。水泳を引退しても自分の人生をブレずに歩んでいける。そんな気がしてならない。

水泳から、そして病気を経験したことで彼女の前向きな気持ちや心の強さを垣間見ることができた。

根底にある原動力となる気持ち。

「絶対に負けたくない」という気持ちが何をするにも大切だということも学ばせてもらった。


私も池江選手と一緒に前に進んでいきたい。


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