オーガニック毒

寒くて眠くて体調もすぐれず誰とも会わなかった土曜の深夜1時、衝動的に部屋の大掃除をした。なんとなく溜めてしまうカードの請求書、ビームスのショッパー、いつかの処方箋をどんどんゴミ袋に投げ入れて、雑誌を整理して、積読たちを手の伸ばしやすい場所に配置したりして(今のところ積読No.1は歳時記。読むの楽しいんだけど見開き1ページで寝てる)。
ひとしきり片付け終わったころ、部屋の隅に堆く積み上げた塵芥の中から新品のアメスピ紫が出てきた。インディアンの横顔がりりしい。私は煙草を吸わないので、いつかどこかで、何かのキャンペーンでふいに受け取ったんだと思う。エモ気取って久しぶりに吸ってみるか~と思い、いつもお香を焚くために使っているライターを手にとって、上下スウェットのまま冬のベランダに出て火を点けた。さむ~~~~~~~~~~い。風呂を済ませて化粧水をたぷんと含んだ頬が、深夜の外気の冷たさにびりびり震えるのが分かる。

煙草の箱はキャラメルのように蠱惑的だと思う。重みとか、かたさとか、神聖さなどが。

とりあえず火を点けてすぐに、灰皿が無いことを思い出した。何か代わりになるものないかなと灰を落とさないようにきょろきょろ探したけど何もないので、あきらめてベランダの手摺に擦り付けることにした。
煙草の持ち方が分からず、とりあえずロバートデニーロの葉巻と同じ持ち方をしてみる。息の吸い方もよくわからない。この煙って肺に入れちゃっていいのか?と思いつつ意外と健康志向なので口腔内で味を楽しむだけにして、もあ~と吐き出すのを繰り返した。鼻からも煙出るんかなと試したけど、肺に入れてないのだから出なくて当たり前だ。

11月も末、仕事の飲み会がまあ多い。下っ端の私は居酒屋を抑えたり先方への窓口をしたりとまぁまぁ忙しいのだが、何せこの会場探しがクソだるい。社会人先輩方、クソだるいですよね!?喫煙可否、個室、座敷NG、鍋NG、上席のお酒の好み、飲み放題時間・・・・・・・・もうみんな必死で皿取り合うのやめない?みんな直箸でよくない?どうせ酒飲んで忘れてない?と思いつつ、社会人先輩が手際よく取り分けているところにいやいやすみません自分やります、いやいいよ気にしないで、いややります、のヘラヘラしたクソやりとり。慣れねえよ。慣れない。いつまでもぎこちない持ち方で傾けている瓶ビール。

あ~~、煙草吸って女抱いて3限から登校して軽音サークルに顔出す前髪長いガリガリ男子大学生になりたいな~~~~~~~。

!!???!?!???!?!?!