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副業解禁にできない企業側の背景

先日、副業に関するインタビューを受ける機会がありました。その中で印象に残ったことは、企業が副業解禁に至るまでの歴史です。


政府の働き方改革推進等に伴い、2018年頃から進んだ大手企業の副業解禁。個人側に視点を移すと、その前から緩やかな動きがありました。就職氷河期やリーマンショック等のよる影響や、2011年の震災の経験により、「自分の人生を会社に預けていいのだろうか」「自分のキャリア・人生は自分でコントロールしたい」と考える方が増えたことが背景にあります。

私自身は、2014年にフリーランス向け人材エージェントの仕事に関わるようになり、キャリアを自分で決めたいという方に多く出会ってきました。その中には、会社員でありながら副業ができる企業を選び、業務委託の仕事を獲得してパラレルキャリアを創っていかれる方もいらっしゃったのです。

では、なぜ企業の動きが遅かったのか。その一つには「転職してしまうのではないか」という恐れが大きいのではないでしょうか。つまり、「自分のキャリアを自分でコントロールしたい」と自律的に動くと、転職してしまうのではないか、企業としてそれを後押ししてしまうのではないかという恐れです。

けれども、実際に副業可能な複数の企業において企業内コンサルティングを実施した経験から鑑みると、複数の選択肢が選べることで満足感を持ち、企業へ還元したいと考える方が多いという現状もあります。また、研究によると、男性の正規雇用者の場合、副業経験が本業の賃金を高める効果があるとされています。つまり、社外での経験で市場価値を高め、社内でも実績を挙げて賃金を高めていることが想定されるのです。

市場価値が高い人材が増えることは、企業の魅力となり、信頼度向上につながりますね。

参考:労働政策機構(2020)「副業の保有と転職、賃金の関係

企業としては、自律的に動き、多様な経験を積んだ人に選ばれ続ける場を提供する、そのように考えるとよいのかもしれません。