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下駄を履かせてもらった、その後

「同世代で活躍していた人たちが、次々に辞めていって自分達だけになってしまった。意欲がある方には、機会を与えたい。」離職期間がある人材を積極的に活用する企業の経営者や管理職の方々から、そのようなことを何度かお聞きしたことがあります。男女ともに、です。

自分は機会に恵まれてキャリアを継続して今があるけれど、活躍していた同世代の人たちがキャリアを継続していたら、その人たちが今の自分の位置にいるのではないか?と等と考えることがあるそうなのです。管理職世代である現在の40代以上の方々が社会に出た1990年代後半から2000年代初めは、景気が低迷していた時期で、今のようにリモートワークも浸透してない時代でした。病気や育児などと仕事を両立できる制度はあったとしても、使いにくい環境であったのも現実です。例えば、女性の育児休業率が50%を超えたのは1999年で、現在の80%以上の水準になったのは2007年以降でした。


意欲的な方に機会を与えることは、ご自身や周囲のキャリア継続している方々にとっても、今の置かれた立場を確認して、キャリアを再統合する機会にもなっているのだと気づかされます。もちろん、企業にとっては多様な経験を持つ人材を活用するダイバーシティ経営施策の一つです。


自分自身が機会に恵まれたことに気づいたとき、「自分よりももっとふさわしい人がいるのでは」「実力よりも上だとみなされて、下駄を履かせてもらったのではないだろうか」等と、ふと感じることは誰にでもあるのではないでしょうか。そう思ったら、声をかけてくれた方のためにも、もしかしたらふさわしかった人の分も必死に取り組むと、いつの間にか、自分の経験・スキルになっていきます。そうして、もし、余裕が出てきたら、次の方々のために場を整備することを考えて職場や地域で行動を起こしてみる。その繰り返しなのかもしれません。

気づいた方は、こうして、ご自身と周囲のキャリアの再統合と社会の課題解決につなげているように感じます。