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『友人の本棚~1分で読める感想文~』Vol.22「サクラ咲く」

「これは絶対に読んだ方がいい!」
普段、おとなしめの友人が、珍しく熱を入れて僕に本を紹介してくれた。先日、「ダウンタウンを知らない」という人がTVに出ていて、周りの演者たちが「えー!」って驚くみたいなシーンがあったのだけれど、たぶんその友人からしたら、この人を知らないなんてあり得ない! というテンションだったようで、またしても申し訳ない気持ちに思った。

本好きで気弱な中学一年生の主人公が、ある日、図書館で見つけた本の中に挟んである1枚の便せんに気づく。誰が書いたのか、なぜ書いたのか。少しずつ近づく真実と、その過程で成長していく友人たちとの淡い青春の物語。電車で読んでいたら思わず涙が溢れてきて、となりのおじさんに憐みの視線を浴びてしまった。

『断れない、はっきり言えない人は、誰かが傷つくのが嫌で、人の傷まで自分で背負ってしまう強い人だと思う。頑張って』
―がんばって。
読んだ瞬間、胸がぐっと熱くなった。

本に挟まっていた手紙の言葉。断れない、はっきりものを言えないのは、弱い人ではなく、強い人なのだと。このシーンのこの言葉で、どれだけの人の胸を熱くしただろう。そう考えると、やっぱり言葉の力ってすごい。

僕はこれまで小説をほとんど読んでこなかったのだけれど、最近少しずつ読むようになって、あることに気づいた。それは「文章はこねくり回さない方がいい」ということ。好みの問題だとは思うけれど、あんまり比喩を多用している文章は「面倒くさい」と感じてしまうことに気づいた。今回の「サクラ咲く」は、読後感が気持ちよかった。いちいち止まることなく、一気に読めた。

僕も自分で文章を書くときには、どうしてもカッコつけたくなる。こねくり回したくなるし、ドヤ感を出したくなる。でも、それを読み返してみたときには、やっぱり「面倒くさい」と感じる。だから、今後はもっともっとシンプルに、自分の感じたことを素直に言葉にしたいと思った。きっと友人もそのことを僕に伝えたかったのかもしれない。

『最後まで読んでくださってありがとうございます。サクラ、咲かせましょう』

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