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『友人の本棚~1分で読める感想文~』Vol.44「素敵な日本人」
「そういえば東野圭吾は読んだことある?」
そういえば東野圭吾は読んだこと、ない。名前はもちろん知っている。容疑者Xの献身は大好きな作品だ。ミステリーは基本的に大好物だけれど、そういえば小説には手を出していなかったなと思ったので、とりあえず友人の本棚から短編集を手に取ってみた。
全9編の中から、僕が気になったのは「十年目のバレンタインデー」。
次々とヒット作を飛ばす小説家の元に、一通の手紙が届く。送り主は10年前にある日突然音信不通になった元彼女だった。突然連絡してきた彼女の狙いとは……。
いつもならここから引用を挟むのだけれど、今回はネタバレしてしまうのと、明確な引用ポイントが見当たらなかったので、率直に感想をまとめてみる。
「期待させるポイント」と「それをひっくり返す展開」が、とても鮮やかなのだと思った。例えばスポーツにしても、「大逆転」というのは人を魅了する。一言で言えばギャップだ。以前読んだ本に、「人間は感情が動くときには、必ずそこに驚きがある」と書いてあった。つまり、この「驚きの落差」が大きければ大きいほど、人は「面白い」と感じるのだろう。
導入部では「こういう展開になりそう」という期待を抱かせ、後半に「大逆転」のシナリオを描く。そのフォーマットは、分かっていても面白い。だから次へ次へと行きたくなるし、そして毎回「そうきたか」と唸る。
思えば僕の文章にはこの「落差」がないなと思った。伏線の回収以外にも、「期待」と「驚き」と「大逆転」を考えながら、文章を組み立てる練習をしてみようと思った。
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