見出し画像

一鱗共同水産株式会社のパンフレットをデザインしました。

一鱗共同水産株式会社の本間さんに依頼を受けて、パンフレットをデザインさせていただきました。

画像1

本間さんとはとある方のご紹介でつないでいただいて、一度打合せをしたところから始まりました。「採用に向けたパンフレットを作りたくて…」というご相談だったのですが、お話を聞いているとあっという間にメモ帳が埋まってしまうくらい、本間さんは会社や業界に対する想いが強く、将来やりたいと思っていることもたくさんあり、お話しているだけでこちら側がワクワクしてしまいました。

実は、本間さんのお祖父様が創業者で、現在はお父様が社長。本間さんは次期三代目なのだそう。わたしはそういったビジョンがある方、地域や先代の想いを継ごうとされている方にとても惹かれ、応援したいなと思います。

本間さんのお話を聞けば聞くほど、ご一緒したい!お役に立ちたい!という思いが強くなり、ご提案をさせていただいて、先日ついにパンフレットが出来上がりました。今回は、一鱗共同水産株式会社(以下:一鱗さん)のパンフレットをつくらせていただいた際に、わたしが考えたことをお伝えしたいと思います。

デザインにあたり考えたこと:01
パンフレットを読んで
「卸売市場で働くことに興味を持ってくれる人」
に届けること

そもそもお話をいただいたのは「採用活動に向けたパンフレットの制作」でした。

お話をお聞きしていると、現在は若い人の採用はほとんどなく、お知り合いの紹介などで入社する方が多いということだったのですが、企業や業界の将来を考えた時に「一緒に働きたい」と思ってくれる学生に来てほしい、ということでした。

しかしながら、こんな課題を抱えていることが見えてきました。

①過去に作った会社案内は年数が経ってしまっていること
②「卸売市場で働きたい」「仲卸に興味がある」という学生がそもそも少ないのではないか、ということ
③力仕事、朝が早そう、など、ネガティブなイメージを持たれているかもしれないということ

そこで私がご提案をしたのは「卸売市場で働いてみたい!」と思ってもらえるような採用パンフレットでした。

届いてほしい、手に取って欲しいのは、高校生や大学生。実際に卸売市場を見学したり、選考までの間に「卸売市場で働くのって面白そう!」「仲卸の仕事ってやりがいを持てそう!」「一人前になって直接お客さんとやりとりをしてみたい」…と、パンフレットを通じて意思を持ってもらえたらと考えました。


デザインにあたり考えたこと:02
「仲卸」という仕事の役割、正しい価値を伝え、
ファンになってもらう

私は数年前、初めて卸売市場を見学させていただいたのですが、その活気と市場で働く人たちの格好よさ、生まれも育ちも札幌でありながらこんな世界があったことにとても驚きました。しかし、業界を調べたり本間さんと話していると、誤解を持たれてしまうことも多い職業でもあることが解りました。

「仲卸」の仕事は、売れるか売れないか解らない水産物を一度買い取り、スーパーや小売店などに販売をしています。そのため、売れなかった時は全て赤字。何か問題があれば責任はその売った人になってしまうし、とてもリスクがある職業でもあります。そして品質を見極めたり、どれくらいの価格だと売れそうかなど「目利き」がとても大切でもあります。

もしかしたら、今日スーパーで買った魚は、一鱗さんが売った魚かもしれない。食生活を支えていただいていたことに、大人になって気がつきました。そんな卸売市場で働く仲卸のみなさんの仕事の役割や正しい価値を伝えたい。ファンになって応援してほしい。

そして何より、一鱗さんで働く皆さん、仲卸の皆さん、市場で働く皆さんが、読んだらモチベーションが上がるようなパンフレットを作りたい。正しい理解を促したい。社員の方々が「ここで働いていてよかった」そんな風に思ってもらえるようなものにしたい。欲張りかもしれませんが、そんなことを叶えることのできるパンフレットを作ろうと考えました。


デザインにあたり考えたこと:03
企業理念・ビジョン・事業内容を明確にし、
表現する「スローガン」「コンセプトコピー」をつくる

今回いただいたお話は「採用パンフレット」のお話でしたが、根本を考えた時に、誤解が生まれやすいからこそ「スローガン」「コンセプトコピー」という言葉の力が必要だと思いました。

「NO MUSIC, NO LIFE」と言われれば、ほとんどの人はタワーレコードを思い出すでしょう。企業のあり方を伝えるブランドスローガン。それを発信することによって、お客様に存在理由を素早く伝えることが可能になります。また、信頼感や安心感をアピールしたり、取り組む姿勢、チャレンジ精神を強調することなど、企業にとっては大きなメリットがあります。

しかし、一度決めると変えにくいもの。そのため企業側の意思決定力も重要になります。初めてご一緒するお仕事でもある中、信じて提案を受け入れてくださった本間さん、そして一鱗さんにはとても感謝しています。

今回も、いつも大変お世話になっていて私の師匠でもある、株式会社インプロバイド 池端 宏介さんにお願いをいたしました。

スローガンは、パンフレット裏面にも大きく入っている「選魚職人」。

画像2

そして、コンセプトコピーはこちらです。

画像3

池端さんにこのコピーを送っていただいた時、とても感動したことを覚えています。きっとこれは、一鱗さんの言いたいことだ、と確信を持てたからです。言葉の力って凄いな、と改めて思った瞬間でした。池端さん、改めて素晴らしいスローガンとコンセプトコピーを、ありがとうございます。


デザインにあたり考えたこと:04
見て楽しい。かわいい。
思わず手に取りたくなるデザイン。

「業界のイメージを変えたい」ということ。そして主なターゲットが高校生・大学生であることから、まずは「手に取りたくなる」ことを大切にしたいと考えました。

一鱗さんの特徴を取り入れながら、よくあるような採用パンフレットではなく「何これ?」と気になってしまうような外見のパンフレットにすることで、企業や業界に興味がない人にもまずは見てもらうパンフレットを目指すことに決めました。

色々とご提案をさせていただいた中で、選んでいただいたのは「魚型のパンフレット」。

印刷会社の方に教えていただいたのですが、こういった形のパンフレットは全国的にも珍しいらしく、とても驚かれました(メモ帳やフライヤーならあるけれど、冊子型ではあまりないとのこと)。


デザインにあたり考えたこと:05
働く方々のリアルな声を通じて、仕事の面白さ、
大変さ、やりがいをわかりやすく伝える。

今回、社員の皆さんの声をパンフレットに載せたいと思い、インタビューをユアンワークスの原 大介さんにお願いしました。原さんとはとあるイベントでお会いしてそこからのご縁です。

画像4

一緒にお仕事をさせていただくのは初めてでしたが、丁寧にインタビューしていただき、臨場感があり解りやすい記事にまとめてくださいました。初めて中に入った卸売市場にも感動してくださっていたのが印象的でした。パンフレットでは文章短くなっていますが、追って全文インタビューも読めるようにしますので、ぜひ楽しみにお待ちください〜!原さん、素敵なインタビュー&記事、ありがとうございました!


デザインにあたり考えたこと:06
市場の雰囲気をそのまま伝える、
実際の仕事風景の一瞬を写真で切り取る。

今回、株式会社アンドボーダーの佐藤 匠さんにお願いしました。今までも何回かお願いをさせていただいていて、確かな腕はもちろん、撮影させていただく方々とのコミュニケーション力、距離感が素晴らしくて。撮影当日もかなり自由に動いてくださり、素敵な写真をたくさん撮影していただきました。

写真をフォルダで送っていただいて、自宅のパソコンで一枚一枚写真を見ながら、自然と涙が溢れていました。。。今回の撮影は、つくりこんだ撮影というのではなくて、実際のセリの様子、実際にバイヤーの方々とお話をしている様子を撮影していただきました。

画像5

画像6

画像7

裏表のない、格好良くて、楽しそうなみなさんの表情。わたしが表現したかったことが全て詰まっていて、嬉しい気持ちでいっぱいになりました。匠さん、素晴らしいお写真を、本当にありがとうございました!

そして、印刷は石田製本株式会社の田中さんにお世話になりました。表紙を魚っぽくツルツルさせたくて、中の紙は種類を変えていたり、こだわったところも素敵に仕上げてくださって本当にありがとうございます!

パンフレットが無事出来上がり、いろんな方々に見ていただいているのですが、「かわいい!」「いいね!」などなど、うれしい声をいただけてとても嬉しい限りです。そして今回、パンフレット制作を通じてご一緒させていただいて、感動した場面、心が動かされた瞬間がたくさんありました。

本間さんは業界を変えていきたいという強い想いがあるのですが、インタビューの中で「自分が居るからこの会社は大丈夫、と社員の皆さんに思ってもらいたい」というようなお話をしてくださいました。そして社員の皆さんも「三代目が継ぐまでに何を残せるかが俺たちにかかっている」というようなお話をしてくださって。その関係性にとても感動しました。

一鱗さんには「社員食堂」があり(業界的にも珍しいそうです!)、社員の皆さんはお昼ご飯を食べることができます。わたしも何度かご馳走になってしまったのですが、とても美味しくて毎回幸せな気持ちで帰らせていただきました。

画像8

画像9

もし一鱗さんで働くことに興味・関心のある方がいらっしゃいましたら、学生の方に限らず、わたしまでお気軽にメッセージください!働く方々がとても魅力的で、わたしの言葉だけでは伝えきれないので、興味のある方は一度会って、お話していただけると嬉しいです。

そしてとても挑戦的で面白い会社なので、今後の動向もぜひ楽しみにしていただけたらと思います。(コラボなどのお話もぜひ!)

最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。 スキを押していただいたり、Twitterで感想をいただけると、とってもうれしいです。