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"愛の不時着"に感じた言葉では言い尽くせない魅力


4月前半から長い自宅待機期間に入った。
その期間を利用して私はPCスキルの向上、ガーデニング、料理などに励んだ。

それなりに充実した有意義な時間を過ごしていたように思う。

そんな中Twitterでしきりに目にする"愛の不時着"というドラマのタイトル。

みんなが口を揃えて面白いと話す。なんてくすぐったい題名なんだと思っていた。

実は韓国語学習歴が10年目にもなるのに韓国ドラマには全くと言っていいほど興味がなく、ヒョンビンに関しても"シークレットガーデン"に出ていたかっこいい人位の認識だったし、気にはなるけどNetflixに課金してまで…と思っていた。

しかし先週の事である。本当に何となく、やっぱり観てみようかなと思いたちNetflixに登録し、そのまま"愛の不時着"を見始めた。

たったの800円を渋っていた自分をビンタしてやろうと思った。

もうこのドラマのことしか考えられない生活。ウィズコロナ時代ではなくウィズ不時着時代に1人突入、禁断の38度線を越えてしまったのだ。

取り憑かれたかのように3周し、好きなシーンを何度も見返し、その度に切なくなったり泣いたり笑ったり、情緒不安定にも程がある。どうしてくれるんだ。

一回気持ちを整理するために私がこのドラマのどこに魅力を感じているのか、書いてみようと思う。

完全なる個人の感想であり、しかも長いです。引き返すなら今です。


▶︎不条理な現実、韓国と北朝鮮
▶︎人々との心の触れ合い
▶︎リ・ジョンヒョクというサランクン(一途な男)


不条理な現実、韓国と北朝鮮


この時代、どんなに遠距離だろうが何だろうが恋愛は自由に出来るし、連絡だって取り合える。会おうと思えば飛行機や電車に乗れば世界中どこにいても会いに行ける。

だけどそれが決して叶わない、許されない関係にあるのが韓国と北朝鮮だ。

遡ると1945年第二次世界大戦の終戦、日本統治が終結した直後より始まった東西冷戦のため南はアメリカによる軍政、北はソ連主導の統治が開始された。
1948年に南側が大韓民国の独立、次いで北側が朝鮮民主主義人民共和国の建国を宣言
50年に北が南進したことにより朝鮮戦争が勃発し、その後38度線を挟んで53年に休戦となった。(参考:Pen 2020年2/15号)

両国は同じ民族であり元は1つの国だったにも関わらず、紛れもない敵同士なのである。そうした不条理な現実が、このドラマの切なさを増長させている。

このドラマが日本でどうしてこんなに盛り上がっているのか。

韓国と北朝鮮とも深い関わりがあるため、ある程度現実味をもって両国の関係性を思い描くためではないだろうか。

愛の不時着を見ていると、どうしても韓国と北朝鮮の関係について考えざるを得なくなってしまう。

ジョンヒョクとセリは国としては敵同士で、決して結ばれてはいけない禁断の関係。

離れれば連絡は取れない、会う事なんて決して叶わない、ただ思うしかできない関係。いや、思う事すらも許されないのかもしれない。

世界中どこ探してもこんなに悲しい設定は無いと思う。
もうやだ、書きながら泣きそう。

ちなみにこのドラマ見て以来北朝鮮への興味が湧きすぎて、北朝鮮に関する本を数冊購入している。

もうすぐ韓国のインターパークで注文した北朝鮮の言語についての本とかがどっさり届く。

久々にちゃんと勉強する気になったよありがとうカムサハムニダ。

ドラマ見てるとわかるけど、元は同じ言語とはいえ南北では異なる発音をしたり異なる単語なども多くあり、セリと第五中隊員達や村の御婦人たちとの会話でもそんな違いに戸惑う場面がたくさんある。

そんな意味でも南の言葉に詳しいジュモクはすごく大事な存在だったよね。


人々との心の触れ合い


セリは韓国の財閥令嬢。
韓国は財閥が幅を利かせまくる社会で、ドラマの中にもあるようにその中での権力争いは凄まじいものなのではないか。

母に海辺に置き去りにされ深いトラウマを背負ったセリは、兄弟からも疎まれ、家族からの愛に恵まれない人生を送ってきたのだと思う。

だからこそ誰かを愛する事にも慣れず、恋愛で傷つきそうになると自分から振って終わりにする。

財閥令嬢でありながら業界トップのファッション会社を率いるセリの姿からは、誰にも頼らず傷つけられず生きていこうとする女性の強さを感じる。

その一方で本当は愛されたいと強く願い、傷つきたくないが故にわざと強気に振る舞い、有利に立っていたいと思うような弱い一面もあったように感じる。

こうして愛や人の温もりに飢えて生きてきたセリが北朝鮮に不時着しジョンヒョクや第五中隊員、村の人々と過ごす事で、人との関わり合いや人の温もりを知って、小さな幸せを感じていったのだと思う。

それを気づかせてくれたのが家族や付き合ってきた男性などではなく敵国の人間だったという皮肉な現実。

貧しいながらも慎ましく寄り添いあいながらその日その日を一生懸命に生きている北朝鮮の人々の姿にとても心が暖かくなった。

村のご婦人たちでいうと5話でダンを車で平壌まで送るのを目撃した村のご婦人一同がセリのもとを訪れ怒りながらダラビーをするシーンが好きです。

お節介ながらも自分の事のように怒って慰めてくれるご婦人たちに、セリもきっと戸惑いながらも内心心強く感じたのではないだろうか。

こうした人々の心の結びつきには見ている側もすごく考えさせられるものがあった。


リ・ジョンヒョクというサランクン(一途な男)


何と言ってもこれじゃないですか??我らがリ・ジョンヒョク第五中隊長……

実に真面目で誠実で献身的で顔が天然記念物で後ろ姿、肩幅、セリを見つめるまなざし(ちょっと涙ぐみながら見たりするやつ…)が最高of最高そして隊員たちを思いやる姿、、、本当は愛情深い人。

ジョンヒョクは兄が亡くなった事故以来、将来の事を考えたり大事な存在を作らないように、静かに生きてきたのだと思う。 

でもそれはセリに出会った事でガラリと変わった。

私が思うに1話のエピローグの様子からあの瞬間、ジョンヒョクがセリを見つけた瞬間から、彼の心の中に何か動くものがあったと思う。

きっとあの時セリが無事に帰れていてその後会うことが無かったとしても、きっと時々思い出して"無事に帰れただろうか""元気に暮らしているだろうか"と思いを馳せる事になっていたと思う。

ジーグリスヴィルの橋の上で飛び降りようとしていたセリと初めて出会い、その後心の中に長い事記憶されていたように…。

その事を2人で回想している13話で

"元気にしているか、早まったりしていないか、時々思い出した"

っていうセリフがあったけれどジョンヒョクの心配は=愛情であり、ジーグリスヴィルの橋の上で出会った女性がジョンヒョクの淡い初恋だったのだ。

(ここで8話の初恋は誰?というセリの質問に対する答えが回収される)

それだけでない。ジョンヒョクのセリに対する感情は"好き"や"愛してる"なんて率直な言葉でなく、行動や些細な言葉、まなざしからもうだだ漏れちゃってるのだ。

普通事故だろうと何だろうと不法入国してきた敵国の女性にお腹空いたからご飯食べたいって言われて麺ゆがく??!??

そんな事言われた瞬間抹殺モノじゃない???!!なのにやるんだよ!!!ジョンヒョクは!!!!!!

その上シャンプーやら化粧品やら下着やらどっさり買い込じゃって…!!!別に北朝鮮製のものでも良いのにわざわざ高価な韓国製のものを!!!!!なんなん!!!2話目からもう貢ぎまくってるんだよ!!!

その後も2人乗り自転車調達してきてヨンエ宅前の坂を行ったり来たりして偶然を装ってセリを迎えに行ったり

棒コーヒーじゃなくて生豆から焙煎して石臼で挽いてネルドリップで丁寧にコーヒー淹れてあげたり、勘弁してくれよ!!!!!

しかもセリの言葉をよーーーく覚えてるのよ…。

食事を出されたらホストに先に一口食べさせるとか破局を哀悼する期間は6ヶ月だとか汽車を乗り間違えて正しい目的地に着くだとか植物を育てるときには1日10個キレイな言葉をかけてあげるだとか………

なんなの?ジョンヒョクの脳内にユン・セリというフォルダーでもあるの???なんなの?

とにかく、そのセリに向ける言葉や行動の数々全てが"愛してる"という表現に繋がっているのだ。

だってジョンヒョクは14話でセリが目を覚ました時と最終回の38度線のシーンでくらいしか"愛してる"って直接的に言ってないんだよ…

なのにこんなに愛が伝わってくるのは、劇中に幾度と散りばめられたジョンヒョクがセリを心配してかける言葉やまなざしのお陰である。

"怪我はない?"や"風邪引くぞ"が="愛してる"に感じさせるからなのだ。

ここまでこういう些細な場面にセリへの愛情を感じさせるのは、これはもうヒョンビンの圧巻の演技力のお陰だ、

この多くを語らずとも繊細な表現の数々が、リ・ジョンヒョクという男のセリに対する一途な愛の深さを物語っている。

もうここまでくるとリ・ジョンヒョク〜!!きゃー!!!みたいな軽率な感情では見れない。

リ・ジョンヒョク好き〜結婚したい〜!!!とかいう邪な感情が全く生まれない。もう澄み切った心で、真剣にセリとどんな形であれいつまでも幸せであってほしいと願ってしまう。

真剣に願いすぎて北朝鮮の人の結婚事情や、セリがスイスの永住権取って移住でもすればせめて連絡は取れるのではないかとか、統一の可能性はとか、そういう事を必死に調べてしまっていたのだ。

(ちなみに実際外国人と国際結婚した北朝鮮女性の事例はあった。)

まぁこれだけ深い絆で結ばれた運命なら結婚なんて制度要らないのかもしれないね…。


さて、長くなってしまったのですがまだまだ語りたいポイントがあるので続きはまたそのうち更新いたします。

まだ見ていない方はこちらのリンクから不時着してください

https://www.netflix.com/title/81159258?s=i&trkid=13747225




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