見出し画像

思いのほか売れた酒の華かりんとう

MNHの小澤です。
2012年の春先。
MNHの初のコラボ商品・「醤油かりんとう」に続き、第2号をつくることにした。

この当時、「多摩地域 27市町村に1商品ずつ、特産品をつかったかりんとうをつくろう」と息まいていたぼくらは(さすがに叶ってはいないが)、さっそく多摩地域に点在する酒蔵に目をつけた。「酒粕かりんとう」というのもありじゃないか、と。

そのなかで惹かれたのが、小澤酒造だ。
元禄15年創業。東京を代表する銘酒として名高い「澤乃井」さんと組めたらいいよなぁ、と思い立った。そして、おなじみ多摩信用金庫さんに紹介をしてもらい、商談を持ちかけた。

そのときの感触は…ひとことでいえば「堅かった」。
レストランや美術館、酒蔵見学施設まで展開し、年商10億円にものぼるその会社は、かなり敷居が高かった。蔵元の社長さんに話をあげるまでに何層もあるようで、対応してくれた担当者も、簡単には首を縦に振ってくれなかった。

何回めかのアプローチでOKが出たのだが、その時の条件が「酒“粕”とはいわないでくれ」とのこと。既に出している酒粕の商品名である「酒の華」を使ってほしいといわれた。

一般的には“酒粕”のほうが通りがいいので、なんだかなぁ…と思いつつも、先方の意見を尊重し、「酒の華かりんとう」という名に決め、開発を進めた。

そして売りはじめたのだが…
これが先方の想像を超えて、かなり売れたのだった。

「なんだか売れるんだよねぇー?」

先方も驚いた様子。いやいや、ぼくらは売れると思い進めてきたのだが…

まぁ小澤酒造としたら、「多摩信さんの紹介だし、やるだけやってみよう」というくらいの気持ちだったのかもしれない。

あるいは既に、清酒漬けや澤乃井ボンボンなどのオリジナル商品をいくつも展開していたので、そのひとつとして出してもいいかな、という感じか。澤乃井の美術館などを訪れる人も、お酒好きばかりではなゆえに、ライトなお土産としてうけたのかもしれない。

とにかく思いのほか売れた。
店頭からなくなることも度々あり、車で延々2時間もかけて、届けに走ることもあった。

そして、あるとき突然、先方が販売をやめてしまった。
なにやら商品の内容量に懸念が出てきたようだった。その理由も定かではなく、こちらも深追いはしなかった。

しかし、MNHのコラボ商品としては成功の部類に入ったのではないだろうか。
そしてこの経験は、後に中村酒造とコラボした「酒粕かりんとう(*)」の開発にしっかりとつながったのだった。

(*)高尾山かりんとうの酒粕バージョンとして、正月限定で販売される。2023年現在も販売を続け好評をいただいている。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?