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怒り心頭!!将来日本のシミュレーション

本日は、将来の日本のシミュレーションについて。

成長実現シナリオが手放しで喜べない理由

年金運用の今後のシミュレーションが、5年ぶりに行われるそうだ。
どんな将来が待っているかわからないから、厚生労働省は4つのシナリオを想定している。
一番うまくいく”成長実現”シナリオでは年率5.4%で運用できるというが、まず期待できないだろう。過去22年の平均が3.6%程度。これから人口減の未来が待っていることを考えるとこれまでの水準を維持することすら難しそうだ。

日経新聞より

そして、仮に奇跡が起きて5.4%が実現したとしても明るい未来が待っているわけではない。
年金積立金は現在約200兆円。5.4%で運用できれば、年間11兆円近い収益が期待できる。
その一方で、この成長シナリオが想定している物価上昇率は2.0%、そして実質成長率は1.6%。この場合、名目金利はおそらく3.6%程度になっている(2.0%+1.6%=3.6%)。

運用する側にすれば、金利が上がるのはいいことだが、借金をする側にとってはたまらない。
そう。日本で一番借金をしている日本政府の台所は火の車になるはずだ。
政府が抱えている借金が1100兆円ほどあるから、その3.6%は40兆円。現在払っている利息が8兆円だから、32兆円増えることになる。
公的年金の収入が11兆円増えたが、それよりもはるかに大きな税負担が待ってそうだ。

こういった年金のシミュレーションは必要だし、それ自体を批判したいわけではない。だけど、政治家たちが何かしらの判断をするときに、このシミュレーションだけを見て、他への影響を忘れていないか心配になる。

女性はもっと働かないといけない??

さて、今回のタイトルにもある、怒り心頭したシミュレーションというのは、ここからの話だ。

今週、ある記事を呼んで卒倒しそうになった。
それは、某外資系証券の元エコノミストが書いたものなのだが、ひどかった。
少子化がすすむ日本では、労働人口が減っていく。少子化を食い止めないといけないし、労働力も確保しないといけないと彼は言う。

ここまではその通りなのだが、問題はここからだ。

「日本の女性の生産性は低い」から、もっと働けというのだ。

は?

女性は怒った方がいいと思う。
彼もまた将来についてシミュレーションしていたが、貨幣経済しか見ていないのだ。

女性が育児や家事に多くの時間を費やしていることを知らない。いや、知っていても、貨幣価値でしか評価ができないから、「生産性が低い」と言っているのだ。

「アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?;これからの経済と女性の話」という本を口から突っ込んでやりたいと思った。

貨幣経済は社会の一部でしかないのに、それが全てであるかのように語る経済人が多い。

繰り返しになるが、女性は怒った方がいいと思う。

”「生産性が低い」のは、女性のせいではない。お前たち経済人の計算が間違っているせいだ”
と。


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