老後資金4000万円?首相に勧めたい本2選
先日X(旧ツイッター)をみていたら、“老後資金4000万円”というワードがトレンドに上がっていた。
老後を安心して暮らすには、2000万円貯めておく必要があると、これまで言われてきた。それが20年後には4000万円になっているというのだ。
物価上昇率が3.5%のまま20年続くと、現在の2000万円の価値は、20年後には4000万円になるというシミュレーションだそうだ。
前提条件になっている3.5%のインフレは続かないとは思うが、人口減(厳密には労働者人口の割合の減少)によるインフレは覚悟しておいた方がいいだろう。
人手が足りなくなることによって、社会が軋んでいるのは、今さら言うまでもない。
人手が足りなくなれば、自然と賃金も高くなりインフレになる。今起きているインフレは円安によるインフレだが、これもある意味、人手不足によるものだといえる。これだけ円安になっても輸出が増えないのは、輸出材を作っている分野に人材が配置できていないという問題がある。例えば、一昔前は、素材の分野では日本は世界を牽引していたそうだが、人材不足から世界に張り合えなくなっているそうだ。そういうことがあちこちで起きている。
だからといって、それらの分野に人材を配置すると、他のところで人手が足りなくなる。
農業の後継者も、官僚も、学校の先生も、すでに足りていない。
高齢者人口が増えると社会保障費が増えると言われているが、そもそも医療関係者が足りなくて対応できなくなるだろう。
働く人の割合が減るわけだから、生産性を上げない限り、生産される物やサービスは足りなくなる。それらを手に入れることをある程度、我慢するか、働く期間を長くする(定年65歳を75歳にするとか)しかなさそうだ。
過去にもnoteで書いた気もするが、それぞれが2000万円貯めても4000万貯めても、安心して暮らせるわけではない。全体で生産される物やサービスが足りなくなるのだから、他の人よりも多くのお金を貯めている人だけが不自由なく暮らしていける。
「きみのお金は誰のため」の第3話にも書いたが、みんなでお金を貯めても意味がない。
国民に資産運用をがんばってもらえばどうにかなると考えているこの国は本当にやばい。
ちょうど今、平野啓一郎さんの「本心」を読んでいるのだが、このままでは、この小説に描かれている2040年の未来は避けられないと思うのだ。
この世界では社会の分断は進んでいる。裕福ではない「こっちの世界」に生まれた主人公たちは、なんとか生きていくため、「あっちの世界」に住むお金持ちたちの手足として働かされる(文字通り、手足となって働くシーンもある)。もちろん、「あっちの世界」とはリアルに繋がっているのだが、「こっちの世界」の主人公たちは、「あっちの世界」の住民になることは難しく、それよりも仮想空間に救いを求めることのほうが現実的なのだ。
そして、彼らを待ち受けている選択肢は、高齢になってからも働き続けるか、それとも主人公の母のように”自由死”を選ぼうとするか。
気になる方は、ぜひ読んでみてください。現実的にありえる未来だと、ゾッとしてしまいました。
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半径1mのお金と経済の話
お金や経済の話はとっつきにくく難しいですよね。ここでは、身近な話から広げて、お金や経済、社会の仕組みなどについて書いていこうと思います。 …
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