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富山で美味しいコーヒー豆を買った

金沢ジャズストリートに出演したので、遠征ついでに富山にも遊びに行った。

富山旅行は毎度、鯨飲馬食、酒池肉林の旅になる。富山には友達が住んでいて、うまいもんに大変詳しいので、会うたびに新しいうまいもんに連れて行ってくれる。なので飽きが来ず、年に何回も懲りずに行っている。行き過ぎ。友人ははっきりと断れるような正確でもなさそうなので、実はもう来てほしくないのかもしれない。ちゃんとありがとうと言おう。

今回の富山で一番美味しかった飲み物はこれ。スズキーマというカレー屋で飲んだアイスコーヒー。豆を液体に漬け込んで香りを付けた、いわゆるインフューズドコーヒーで、これは生豆の時に満寿泉の純米酒に漬け込んでいるとのこと。

お茶請けも富山産

スズキーマでは水出しで飲んだ。焙煎時にアルコールは飛ぶからノンアルコールだけど、日本酒由来の旨い香りとボディの重みがあるので、お酒を飲んでいるような、しっかりとした満足感がある。コーヒーのようでもあり、日本酒のようでもある。美味しい。

美味しかったので店主にそのことを伝えた。味について一通り話したあと、店主は、
「美味しいよね。東京の人気ロースタリー以外のお店はなかなか差別化が難しいけど、これはそういうのともまた違う、富山らしいオリジナリティがあっていいよね」
と言っていた。

聞くとこの豆を作っているコーヒー屋はスズキーマから徒歩5分くらいとのこと。冷やし印度(スズキーマの夏メニュー。美味しい)で満ちたお腹を抱えていそいそと向かった。

冷やし印度。真ん中の冷たいスープを全体にかけて、しゃばしゃばに混ぜて食べる。

なんということもない、街外れにある、昔からやっているようなコーヒー屋さんだった。

オレでなきゃ見逃しちゃうね。

店に入ると、店員さんは50代くらいのご夫婦のふたり。浅煎りの日本酒インフューズドコーヒーなんて、尖った若者が作っているに違いないと(勝手に)思っていたので、意外だった。店はもともと喫茶店として営業していたようで、カウンターがあるけど、豆や器材がぱらぱらと散らばっていた。豆は多様で、喫茶店系の深煎りから今っぽい浅煎りまである。これも意外だった。日本酒インフューズドコーヒーを作るような店は今っぽく、浅煎りしかやらないに決まっている、と(勝手に)思っていた。思い込みは良くない。
全ての豆の前に小さいポットが置いてあって、水出しコーヒーを少量ずつ試飲できた。一通り飲んでみてから満寿泉インフューズドを注文した。

店員さんに、スズキーマで飲んで美味しかったから買いに来たこと、自分はビールを作っていてコーヒービールをよくやるから気になっていることを伝えると、コーヒービールにとても興味を持ってくれた。
コーヒービールでは雲南やエルパライソを使っていて、嫌気性発酵で果汁をインフューズした豆を使い、その果物自体も少量加えて香りを作っている、と言うと、店員さんは、
「自分たちも果汁に漬け込んだ嫌気性発酵のコーヒーに関心があり、雲南を数回仕入れたけど、ロットによって味が違った」
「自然な発酵だから品質に差が出るのは当然。それなら生豆を仕入れてから自分たちでお酒に漬ける方が安定するんじゃないか? という考えで、地元の美味しい満寿泉の純米酒に漬けた」
「漬けるスケジュールは企業秘密だから教えないよ」(聞けたら自分でもやってみたかった。まだ試行錯誤している、ということでもあるらしい)
「ちなみにエチオピアが多くのコーヒーリキュールのベースになっているから、エチオピアを使えばみんながコーヒーと想像する味が出せる。」
こんな話が連射砲のように、途切れることなく早口に流れ続けた。
自分用と、バリスタの友達へのお土産用に豆を買って店を出た。

とても良い店だった。たぶんまた行く。

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