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台湾に行きたいわん(クラフトビールを飲みに)①

ゐのすビールは複数人の友人で営んでいる団体です。営業部長である足立くんは現在台湾に住んでおり、台湾総経理も兼任している。(足立くんはゐのすビールの「生活」というビールの元になった人。ゐのすビールの社交性を一手に担っている)
そんな彼が台湾にいることもあり、「東京の泥棒猫」というビールを一緒に作らせてもらったFar Yeast Brewingさんが台湾の直営店で泥棒猫を繋いでくれることになったので、みんなで飲みに行きがてら台湾・ビールツアーを開催した。
わたしも8年ほど前に台湾に住んでいましたが、その時は台湾で(日本でも)クラフトビールは全く流行っていなかったし、自分も飲んでいなかった。クラフトビール観点ではわたしは台湾に初訪問と言える。

Ugly Half

初日。3月だがことしはまだ涼しく、長袖を着ている人もいる。
足立くんが仲がいいブルワリーの一つがUgly Halfというブルワリー。そこの醸造所を見学させてもらえることになった。
台北駅から地下鉄紫線に乗って、工業団地へ(思えば8年前は紫線も無かった)。新北產業園區駅からさらに10分ほど歩くと、工場が並ぶ中にUgly Halfがあった。

工場群の中にぽつんと立つ

日本だと奈良醸造に似ている。奈良駅からバスで15分、そこから徒歩10分、工場が並ぶ中にある、という感じ。Ugly halfという名前はOther Halfがレファレンスなのだろうか。酉鬼醸造という漢字は、Uglyを意味する醜を2文字に分けている。おしゃれ。

脇の扉から入ると、右手に醸造設備を見ながら廊下を進み、タップルームに至る。タップルームは水曜と金曜のみ営業している。売上を立てる場所というより、ファンとの接点としての場所なのだろう。ブルワリースタッフがかわるがわる挨拶に来てくれた。足立くんは顔が広いのだ。

タップルーム。広くて快適
タップルームから醸造所を一望できる

Toastea
トーストとティー(茶)。
仄かにモルティーなボディの上を紅茶の甘さが軽やかに漂う。甘い香りをうまくコントロールし、使いこなしている。しっぽりと美味しく、大きいグラスでもらってごくごくと飲み続けたいような一杯。

Toastie。グラスがかわいい

ビールを飲んで気持ちよくなっているとブルワーのみなさんがやってきて、醸造所案内が始まった。

設備は事前に聞いて思っていたよりも大きい。台湾有数の規模であろう。

醸造所を見ながら、いろいろな話をした。
「さすが台湾のブルワリー、果物を使うのが上手いですね」と言うと、「日本でもイチゴやメロンがすごく美味しいからビールに使ったら?」と返されたが、高すぎて使えないね、と笑った。
Ugly Halfのメンバーは日本市場に興味があるらしく、東京・大阪・福岡・北海道のビールトレンドの違いについて話したりした。また、タンクから新作を注いで飲ませてもらった。「こんなビール、日本で受け入れてもらえるかな?」とのことだった。しっかりシトラスなハイアルコールのWCIPAでとても美味しかったので、きっと日本でよく売れます、と伝えた。みなさま日本で飲める人をお待ちください。

新作に舌鼓を打つ足立くん

しばらくタンクの前でビールを飲みながらわいわいしてから、タップルームに戻って引き続きビールを飲んだ。Ugly Halfの人たちが優しく、かわるがわるいろいろなビールを試させてもらった。

恋夏 365日 Endless Summer Saison
軽く気持ちよいセゾン。真夏の暑い台湾で、キンキンに冷えたこのビールで喉を潤したら美味しいに決まっているし、暑くない時に飲んでも、どこからともなく夏の抜けるような空を感じられる。このビールは夏の再生装置だ。

恋夏365 Endless Summer Saison

Guava Gose
台湾の夜市ではグアバに梅粉をかけて食べるのが定番。それをビールで表現したのがこれ。
ボディはグアバを使用したゴーゼ。甘みは無く、酸味も穏やか、グアバのみずみずしい果実みが感じられる。グラスのふちに梅と砂糖を和えた粉が付いているので、ちびちびと舐めながらビールを飲む。梅粉はしっかりと甘く、ビールと合わせるとお互いの甘さと酸っぱさを引き立てあうような不思議なマッチ。
南国らしい素晴らしいフルーツ使いと遊び心を見せつけられて、この1杯でUgly Halfが決定的に大好きになってしまった。
このあと台湾3泊でこのビールを5杯くらい飲むことになる。とてもおいしい。

Guava Gose

夜市で本物も食べてみた。梅がクセになり、シャクシャクシャクシャクと食べ進めてしまう。

梅粉まぶしグアバ

全体として、Ugly Halfの人たちは話していてとても気持ちよかった。レイドバックで肩の力が抜けていて、素直に人とビールが好きなことが端々から伝わる。
ビールにもそれは反映されている。強いホップフォワードなビールや果物の味があからさまなものは無い。暑い台湾ということもあるが、どの液種も軽めのバランスで成り立っている。気取ることなく、さらっとしている、だけど新しい味を探索し、ちゃんと美味しい。そんな素敵なギャップに萌えてしまった。

チルいブルワーたち

Mikkeller Taipei

Ugly Halfのみなさんにお礼をしてお土産をごっそり買ったら、台北市外に戻って次のお店、Mikkellerに向かった。Mikkellerにはこのあと4日で4回来ることになる。

Mikkeller。海外で見るとふるさとに帰ったような安心感がある。

伊藤沙莉に似た見た目と声の店員さんが、「あら足立さん~いらっしゃい~」と迎えてくれた。ここでも足立くんは有名人だ。

旧交を温める足立くん

店員さんはベロニカという。「べろべろベロニカだよ~。彼氏が日本人だから日本語ちょっと分かるよ~」。他の店員さんも少し日本語を話せる方が多い。

タップはアメリカと台湾のみ。
いつもそうらしく、アメリカと台湾の国旗マグネットが常備してある。


フードも台湾情緒があって美味しい

北歐系莓果酸啤酒 (Taiwan Head Brewers Brewery x Mikkeller)
直前にUgly Halfで飲んだグアバのゴーゼが美味しかったので、台湾の果物ゴーゼはどれも美味しいのではないか?という期待を持って頼んだ、そして実際に美味しかった。ウェルバランスドなゴーゼ。いちごのほのかな酸味と気持ち良い甘さが綺麗に表現されている。

北歐系莓果酸啤酒(北欧系イチゴ酸味ビール、の意。)

Craft never die no14 蘋果桶陳 (Taiwan Head Brewers Brewery)
リンゴのバレルエイジドワイルドエール。ビールをリンゴ果汁と一緒に樽熟成している。野性味は本場ベルギーの本格派ランビックほど強くはない。酸味、樽感、果物の甘い香りが良いバランス。

蘋果桶陳(リンゴバレルエイジ、の意。)

醉心酸的滋味 (Taiwan Head Brewers Brewery)
ミッケラーのハウスサワーエール。ミッケラーにTaiwan Head Brewers Breweryのビールが多くつながっているのは、Taiwan Head Brewers Breweryのメンバーが台湾ミッケラーのオーナーを勤めているから、らしい。
ハウスビールは大サイズを頼むと、さらに大きい「巨」にしてくれる。そんなに飲めないので小杯を頼んだ。
ハウスビールらしく、スタンダードなサワー。軽すぎず、酸っぱすぎず、甘くない。ぽくぽくと一生飲んでいられる。

醉心酸的滋味(酔いと酸味の滋味、みたいな意。)

Guava Gose (Ugly Half Beer)
また飲んだ。Ugly Half自社タップルーム以外では梅粉は別包で提供される。

梅粉包もかわいい

グアバ然りイチゴ然り、全般に癖っけがなく素直に気持ちいいフルーツビールが東南アジアのクラフトビールらしい。果物のリッチさによって、やや軽いボディに説得力が増す。日本のフルーツビールと明確に違うのは、台湾のフルーツビールはどれも多少甘いこと。日本だと甘さを切って、酸味と香りで果物を残すビールをよく見るが、それは台湾にはなさそうだ。台湾人にとって、果物を果物たらしめる核心は甘さなのだろうか。

このあともう2軒ビール屋をはしごして、夜市で魯肉飯を食べて帰った。

魯肉飯。足立くんはさっぱりめな雞肉飯。

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