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山下美月センター曲で振り返る、愛に溢れた卒業コンサート - 乃木坂46 山下美月卒業コンサート -


アイドル・山下美月が乃木坂46を卒業した。


5月11日、12日と2日間にわたって開催された東京ドームでの卒業コンサートをもって、乃木坂46から卒業し、アイドルとしてのおよそ8年間の活動を締めくくった。

彼女自身が構成したという今回の卒業コンサート。初期から応援しているコアなファンも震えるほど嬉しい選曲でありながら、誰もが夢中になって楽しめるパロディ的なVTRを挟むことで、乃木坂の歴史や曲自体を知らない方でも楽しむことができる、誰のことも置いていかない、彼女らしいセットリストだった。

乃木坂を代表するヒット曲やライブでの鉄板曲、ユニット曲や期別曲など、さまざまな楽曲の披露。彼女は全ての楽曲に参加し、ファンを魅了し続けた。

セットリストは2日間違うことが事前に明言されていたが、彼女がシングル曲でセンターポジションを務めた3曲は、2日間共通して披露された。

推しの卒業コンサートを終えたいまの気持ちを整理しておくため、山下美月センター楽曲3曲を振り返りながら、卒コンの感想を記します。


山下美月はエンターテイナーであることを再認識させた、卒業シングル「チャンスは平等」


卒コンのオープニング、エンディングとして1日目の1曲目、2日目のラストで披露された35枚目シングル「チャンスは平等」。

彼女が卒業シングルとしてセンターポジションを努めたディスコソングで、3月のライブで初披露され、ファンのなかでは少し意見の分かれる曲だった。

可憐、清楚、儚さのような、ファンが想像するいわゆる「乃木坂らしさ」みたいなものが感じられず、聴き馴染みのないディスコソングだったこと。それが乃木坂のエース山下美月の卒業曲だったこともあり、違和感を感じるファンが多かったように思う。

これまでの卒業生の卒業シングルは、イントロが流れただけで泣けてくるようなエモーショナルな楽曲が多かったこともあり、あまりの曲調の違いに私も戸惑っていた。

それが、卒コンの1曲目。

イントロが流れ始め、白いキラキラの新衣装に身を包んだメンバーが登場し、山下美月がステージ上部から月に乗って降りてきた途端、東京ドームが湧いた。

卒業してしまうのが寂しい…複雑な気持ち…とか言ってメソメソしていた気持ちを吹き飛ばしてくれるような、最高のオープニングだった。

この卒コンは、メンバーもファンも思いっきり楽しんで、笑顔で見送るお祭りなんだ!ということを会場中が一瞬で理解した瞬間だった。

思えば、5期生楽曲として彼女がセンターを務めた「自分じゃない感じ」も乃木坂の王道ソングではない楽曲だったが、ライブでの彼女の煽りとパフォーマンスで魅了され、いまではイントロが流れると会場が沸く、ライブ鉄板曲になっている。

王道がすべてじゃない。どんな楽曲でも自分のものにして、楽曲本来の良さを楽しませてくれる。彼女はエンターテイナーだと再認識させられた。

オープニングから会場を沸かせ、寂しい気持ちは大事にしつつも、最後はみんな笑顔で見送ることができた、山下美月の卒業曲だった。


乃木坂の未来が見えた、ダブルセンターシングル「人は夢を二度見る」


昨年発売され、同じ3期生の久保史緒里さんとダブルセンターを務めた、32枚目シングル「人は夢を二度見る」。

1期生と2期生が全員卒業し、3期生、4期生、5期生のみのメンバーとなって初のシングルのダブルセンターのひとりだった。

さまざまなステージを経験した3期生だからこそ見せられる凛とした表情で、2人で先頭に立って歌い上げた、希望に溢れた楽曲。

今回のライブでは、メンバー全員で、2日間ともライブ終盤に歌われた。卒業コンサートであるにも関わらず、別れを惜しんで悲しいだけの気持ちにはならなかった。

彼女がこれから見る新たな夢と、これからの乃木坂の未来。ずっと希望を見せてくれるグループで有り続けると確信できるステージだった。

曲の最後、久保ちゃんと背中合わせになって、これまでにないほど安心しきった笑顔をみせてくれたのが印象的だった。自分のことを「一匹狼だ」と言っていた彼女が、背中をあずけて笑っていた。


変化を見せ続けてくれた、初センターシングル「僕は僕を好きになる」


彼女が初めて乃木坂46のセンターを務めたのが、26枚目シングル「僕は僕を好きになる」。

グループを支えてきた1期生、2期生の卒業が続いているなかでの3期生がセンターを努めたシングルで、「世代交代」と注目を浴びた。

杉山勝彦さんという、乃木坂楽曲といえばこの人!の作曲家さんの曲でもあり、楽曲自体も素晴らしい。衣装やMVも美しく印象的で、私はいまでも乃木坂の好きな曲といえばこの曲というほど大好きな曲だ。

彼女がセンターであることが発表され、応援してきたファンとしては彼女の活動が報われたような気持ちで、単純に嬉しかった。

しかし、この曲の発売当時、彼女は少し表情が固いときが多かった。
彼女自身も卒コンで語っていたが、とにかくプレッシャーに感じていっぱいいっぱいになっていたようだった。

発売当時こそ、新世代といわれていた3期生だったが、時が経つにつれて後輩も増え、彼女自身が名実ともに乃木坂のエースとなって活動して行くようになった。その後、ライブの大切な場面で披露される機会も多く、楽曲としても多くのファンに愛され、乃木坂を代表する楽曲になっていったように思う。

今回の卒コンでは、晴れ晴れとした笑顔で、歌詞を噛みしめるように大切に歌っているように見えた。大サビ前、ステージ奥の階段にひとり登っていき、メンバー全員が振り返った状態で大サビを歌った。メンバーへの想いを綴ったサプライズメッセージがステージ画面に映し出され、メッセージを読むメンバーを、彼女が愛しそうに笑顔で見つめる。ステージ上が、メンバー同士の愛に満ち溢れた空間になっていた。

彼女がアイドルとして、グループのエースとして走り続けた日々は孤独ではなかった。乃木坂というグループで、周りの人を愛して、愛されて、彼女は自分のことを好きになれたんだということを、ファンに見せてくれたステージだった。


ファンを愛し、肯定し続けてくれたアイドル・山下美月


乃木坂に加入しておよそ8年。悔しいことも、つらい時期もあったと思う。

それでも、いつでもファンの方を向いて、感謝や愛を伝え続けてくれた。

卒業スピーチで語った、「アイドルというお仕事が救いだった」「生まれ変わってもアイドルになりたい」「皆さんとまた会いたい」という言葉。口先だけの言葉ではないと確信できるほど、彼女は全力で、最高のアイドルであり続けたことを、ファンはみんな知っていると思う。

勝手に好きになって、笑顔にしてもらって、応援してきただけなのに、こんなに感謝と愛を言葉にして返してくれる。こんなに自己肯定感を上げてくれることなんてないと言い切れる。

こちらこそ、出会ってくれて、幸せな思い出をたくさんありがとう。

乃木坂を愛し、乃木坂に愛された山下美月というアイドルは、最後まで最高のアイドルで、彼女からの愛と彼女を愛するみんなの愛が東京ドームに溢れた、最高の卒業コンサートだった。


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