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自分より酔っている人、自分より怒ってくれる人のありがたさ


お酒の席でひどく酔っぱらっている人を見ると、自分も酔っていたはずなのに、急に酔いが醒めたという経験はないだろうか。

わたしはめちゃくちゃある。ちょっと飲みすぎて、なんだかいつもより上機嫌にしゃべり始めた自分に「あー、やばいな」と内心思っているときに、ほかの誰かがありえないくらい真っ赤な顔で熱く語っていたり、なにかに悲観して号泣し始めたりするほどに酔っているのを見ると、急に酔いが醒める。

まるで素面のような顔で、「あの人、酔ってんな~」とか言いながらその後過ごせてしまうのだ。

これはなんなのだろう。なんだかちょっぴり性格が悪いことのような気がするので、まわりに聞いてみたことはないけれど、けっこうあるあるなのではないだろうか。

自分より酔っている人を見て、酔いを醒ます。飲み会ライフハック。


これと同じだ、と思った出来事がある。


自分より怒ってくれる人の存在


昨日のわたしは、ひとりでパソコンの前で怒っていた。

理不尽というかなんというか、そっちの説明不足なのでは?と思うようなことで一方的に責められて、でも何も言い返さずにあやまった。大人の対応ができた。

……いやでも、大人の対応って何?そっちも悪いじゃん!なんで一方的にこっちが悪いことになるの?と、ものすごく腹が立ってきた。相手にも、すべて飲み込んで平あやまりをした自分にも。

リモートワークでひとりで仕事をしているからこそ、こういうときに愚痴を言える相手がいない。ひとりでパソコンに向かって、ずっと怒っていた。

夜になり、帰宅した夫に「聞いてくれ!」と、その件について興奮状態で説明した。

夫はわたしの話を聞いて、「なにそれ、ひどいよ!ちゃんと相手に自分が悪いって気付いて謝ってもらわないと!ほかの人から言ってもらってでも改善した方がいい!」と、強めの口調でわたし以上に怒ってくれた。

そこでふと我に返った。「いまの説明、相手が一方的に悪いみたいに誇張してしまっていたな」と。

わたしにはそういうところがある。自分の信頼している相手に話を聞いてもらうとき、自分主導の都合がいいエピソードにしてしまうところだ。

今回も、自分のミスでもあるのに、そこをすっとばして、すべて相手のせいということにしてしまっていた。最低だ。

急激に怒りから冷め、冷静になった。夫に事実を細かく説明し、相手も自分も非があって、お互いに改善するように話した方がいいかもね、という建設的な結論に至った。

ああ、お恥ずかしい。怒りに支配されて、興奮状態で相手を一方的に悪者にしていた。こういうこと、ほかにもしてきてしまってるんだろうな。こわい。


自分より酔っている人との共通点


これは、「飲み会で自分より酔っている人を見て酔いが醒める」という状態と、同じではないだろうか、と思った。

「自分より怒ってくれている人」を見たことで、怒りによる興奮状態から冷め、冷静に物事を考えることができた。

「自分より怒ってくれている人」というのは、「自分の味方だ」と表明してくれている人ということだと思う。自分の味方がいる、と安心するからこそ、虚勢を張ることをやめて、客観的に自分を見れるのかもしれない。

「自分より酔っている人」に関しては、味方ってわけじゃないな。じゃあなんだろう。反面教師?ああならないようにしようと思うから、冷静になれるのか。

……あんまり共通点なかったですね。

でも、「自分より酔っている人」、「自分より怒ってくれている人」、どちらもありがたい存在だ。変な感謝だけど、わたしより酔ってくれて、わたしより怒ってくれて、本当にありがとう。


だれより酔っていたのは自分だった


つらつら書いておきながら恐ろしいことに、お酒の席でありえないくらい真っ赤な顔で熱く語ったり、推しの話で号泣し始めたりするほどに酔っぱらうことが過去に多々あった。なんと、わたし自身が「だれより酔っている人」になったことが何度もある。

もう思い出したくもないし、あの場にいた人みんなの脳みそを借りてきてメモリから削除したいほどに恥ずかしい……恥ずかしい恥ずかしい……

けれど、そんなわたしも、だれかの「自分より酔っている人」として、だれかの酔いを醒ますことに、お酒の失敗を減らすことに貢献できていたらいいな、と思う。

(いい感じに書いたけど、泥酔するのはまったくいいことではありません。以後気を付けます)

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