なんでもない日の特別な午後3時
午後3時。
2階の部屋から駆け足でキッチンへ降りて、ポットに入っているお湯を沸かしなおす。
あたたまったカップに熱々のコーヒーを作る。
冷蔵庫を覗いて、「今日のおやつは…」と手に取る白い箱。
中を開けると宝石が4つ。
母の分と私の分が2日分。
今日のおやつはチョコロールケーキ。
上にゼリーがのっていて、オレンジやイチゴが閉じ込められている。
桃色のお皿に乗せて、コーヒーと一緒に自室に持ち込み、机の上に置くと日光に当たったゼリーがキラキラ光る。
思わずスマホでパシャリ。
口に運ぶと懐かしい思い出が蘇ってくる。
昔ながらのケーキ屋さんが作るケーキのホイップは、見た目でわかるぐらいかなり濃厚で、スポンジはしっとり系。
小さい頃、お誕生日ケーキはここに頼んでいた。甘いものが苦手で一口しか食べられなかったのに、大人になって久々に食べたら、あっという間にペロリ。
濃いめに作ったコーヒーと絶妙にマッチする。
そう、私の一番好きな時間は午後3時。
毎日ドライフルーツやら果物やらをつまんでいる。
今日は誕生日?
いや違う。
なんでもない日だけど、今日は特別。
ケーキなんて普段買わないけど、なんでもない日に食べる贅沢を噛み締めた。
明日はいちごのショートケーキだ。
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