春が訪れる予感
「ハロー 今君に素晴らしい世界が見えますか」
.
自分が好きな音楽を聴くようになった。
色んな色の服を着るようになった。
遠慮することなく好きなものを食べるようになった。
好きな時に寝て、連絡をして、仕事を頑張る日々が続いた。
風に乗って自由へ。
...
なんだか違う
久々に顔を見た日、最近聴いているアーティストが
貴方と同じだったと知った日々。
変わらない煙草と脚を組む癖と楽しそうに笑う顔。
同じものを半分ずつ分け合うこともあったなぁ。
手の温かさも 低くて聞き心地の良い声も、
その人の外身が持つものに何の変化もなかった。
中身も、相変わらず という言葉がお似合いです。
わたしはまだ肌寒い夜の風に逆らうように佇む。
.
異性に依存するわたしには初めての自由な時間だった。
好きな時間に起きて、ダラダラ過ごす日曜日。週末必ず実家に帰り家で過ごす日々。
いつしかそれに慣れていたから、何とも思わなかった。
いつもそれをブッパしてくるのがそこの君です、君。
なんの情もない君からの連絡で、わたしは久々に夜を抜け出す。街へ出る。
春の風に吹かれながら、あの頃好きだった音楽を耳にかけて。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?