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会社のルールづくりの3つのコツ

会社には大小様々なルールがあり、そのルールに沿って業務が行われています。今回は、業務を適切に行うために重要な会社のルールづくりにおいて特に留意したいポイントについて取り上げたいと思います。

目的を明確にする

新しいルールを導入する際には「何のためにそうするのか」を明確にすることが重要です。ルール策定の目的が明確であれば、目的を達成したとき、または目的が達成できなくなったときにルールを見直すための意思決定をスムーズに行うことができます。

例えば、感染症の拡大防止を目的としてリモートワークを導入した場合、感染のリスクが低いと判断された時点で「廃止する」という決定を行うことができます。
なお、リモートワークを導入した結果、多様な働き方を受け入れることが可能になったことで社員のスキルの活用が進んだというメリットがあり、制度を継続したいと判断した場合は、今度は「社員のスキルを活用する」ことを目的にリモートワークを実施し、継続・廃止の判断基準とします。

必要以上に複雑にしない

細かすぎる制約や条件は、複雑な手続きを生み業務工数を増やします。目的を達成するために必要な範囲でルールを定めましょう。

「公共交通機関が遅延した場合のみ、始業から30分間は職場にいなくても労働したものとみなす」というルールを設けたとしましょう。始業時間に間に合わなかったときに、遅れた側は「公共交通機関が遅延したこと」と「遅延しなければ遅刻しなかったこと」を証明する必要があり、管理者側は「その証明が真実であること」を確認する必要があります。その際には、証明書の作成、提出やその回収、チェックなどの業務が発生します。
この例では、背景として従業員に非がない状況で「遅刻」をカウントさせないという目的がありそうですね。業務をシンプルにするという観点でルールづくりをするならば、フレックス制度を適用することで、遅刻に該当するか否かを判断する必要がなくなり(フルフレックスであれば制限なし、コアタイムを設けた場合はコアタイムまでに出社すればよい)、当然に証明や確認の工数も発生しないということになります。

定期的に見直しや改善の機会を設ける

人口動態、経済状況、法改正等によりたった数年でも(ときには1年単位やもっと短いスパンでも)ルールを定めた際に前提となった状況は大きく変わります。変化する状況に応じてルールを見直すことが必要でしょう。

例としては、勤怠の「丸め処理」があげられそうです。歴史の長い会社さんでまれに(しばしば?)みられるルールのひとつです。打刻時間を10分や15分単位のきりの良い時間に定めて労働時間を算出するというルールですが、勤怠時間の集計や給与計算を手計算でやっていた時代に、計算の手間や間違いを減らすことを目的に導入されたものではないかと思います。目的から考えると、打刻の集計も給与計算もシステム化できる現在の業務環境では、集計後に丸め処理を行うという工程があることで逆に業務が煩雑になってしまうため、廃止を検討すべきルールのひとつではないでしょうか。

※念のため注釈すると労働時間を短くするような丸め処理は違法であり、是正する必要があります。また、従業員に有利になるような丸め処理を廃止する場合は不利益変更にあたらないかどうか管轄の労基署等にご確認ください。

以上、会社のルールづくりの3つのコツでした。
次回は、「労務業務の書類の分類、保管方法」について取り上げたいと思います。

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