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150:ページをめくる行為の中で見る

Lucas Lucas Blalock - Windows Mirrors Tabletops
の『Windows Mirrors Tabletops』の紹介動画を改めて,見てみる.ページがめくられる,ページにプリントされた写真もめくられる.ページにプリントされた写真はPhotoshopで加工されている.写真集をめくるという行為では,Photoshopで加工されたことが明らかにわかる写真もそうでない写真も,Photoshopなどで加工していない写真も同じである.ページとしてめくられるときは,「めくられるページ」と触れられ,モノとして扱われるが,めくられ開かれたページは平面として見られて,写真も平面的に見られる.そして,まためくられる.

ページをめくる繰り返しの中で,写真自体は常に平面であるが,そこでPhotoshopで明らかに加工された写真は奇妙な凹凸を見せているような気がする.アーティストの永田康祐は「シミュレートされた重なり」と指摘していたが,実際にはそこにはないけれど,レイヤーの重なり順による「凹凸」が,Lucas Blalock の作品にはある感じがする.けれど,ページをめくる行為の中で見ると,その「シミュレートされた重なり」が弱まっている感じがある.モノとしてのページに印刷されて,紙と一体化したものになっていると思うからであろうか.そうだとすれば,Photoshopで明らかに加工した写真もそうでない写真も,写真集でめくってしまえば一緒だということになるだろうか.

前回のnoteでは『Windows Mirrors Tabletops』の写真に触れてみたけれど,そこにはやはり凹凸は感じられなかった.今回はめくる行為の中でLucas Blalockの写真を見たけれど凹凸は感じられなかった.けれど,最初に写真を見たその瞬間は「シミュレートされた重なり」というここにも,そこにも,どこにもないけど「重なり」を感じているのも,私の感覚としては確かである.

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